Alyssa Powell/Insider
私はアメリカ西海岸在住の32歳白人女性だ。人事のジェネラリストとして年収8万1120ドル(約1014万円、1ドル=125円換算)を稼いでいる。人事畑で働いて13年になるが、その間、人材マーケットが大きく様変わりするのを見てきた。
私が就職したのはリーマンショックが終わりかけているころだったが、大学3年のときに、この就職難の時代に内定をとるためには、大学生であっても多少の実務経験が必要だと言われた。そこで私は卒業前にインターンシップを2回行い、履歴書に箔をつけた。
就職後しばらくして、私はあることに気づいた。人事として働いていると他の人の収入に詳しくなるのだが、そのせいで自分の給料が少なすぎると分かってしまったのだ。同じ会社に長くいすぎて、自分を評価してくれない会社のために働き続けていた。
仕事はきちんとこなし、もっと業務内容を広げたいと話し、給与交渉もした。しかし、本当に自分に見合った収入を得ようと思ったら転職するしかなかった。
最初の就職から10年以上、3度の転職を経験してようやく、自分にふさわしい給与とワークライフバランスを手に入れることができたと実感している。自分の経歴の価値を、そして2009年の不況と比較してどれだけ経済が変化したかをもっと早く分かっていれば、もっと早く今の状態にすることができていたはずだ。
以下では、会社・肩書きごとの年収と仕事内容について変遷を明かしたい。
※編集部注:現在または直近の仕事についての書類をもとに、本人の収入と身元を確認済み。
人事スペシャリスト:時給19.25ドル
最初にフルタイムで働いた会社はメーカーで、年俸制ではなく、時給15ドルの人事アシスタントの仕事だった。
入社後まもなく組織変更があり、採用コーディネーターになった私は、電話面接の経験を積み、次第に入社前の対応や就活イベント担当の責任者も務めるようになった。1年後には昇給し、時給17.25ドルになった。
業務範囲を広げたいと上司に要望したところ受け入れられ、人事スペシャリストとなりさらに昇給した。それまでの業務内容にプラスして、人事部のIT周りもサポートするようになった。
上司との関係は特別良好という訳ではなく、仕事への不満がだんだん表面化していった。会社からはさらに昇給を打診され、時給19.25ドルとなった。昇給したこと自体はよかったものの、転職したい気持ちがなくなるには至らなかった。
人事ジェネラリスト:年収5万2000ドル
別のメーカーで人事のポジションを見つけ、初めての転職を経験した。これが初めての年俸制の仕事で、年収は4万2000ドル(約525万円)になった。
新入社員のオリエンテーション、退職対応、社員とのコミュニケーション、福利厚生、さらに、製造拠点1カ所の採用全てを担当した。1年後に工場2拠点がさらに追加され、年収は4万5000ドル(約563万円)にアップした。4年目には人事ジェネラリストに昇格し、年収は5万2000ドル(約650万円)になった。
その頃は本当に忙しく、残念ながら職場の離職率も高かった。ペースについていくのが大変で、その割に会社からのサポートは少なく、潮時だと思った。
シニア人事ジェネラリスト:年収6万4000ドル
3社目はずっとメーカーだった私にとっては新しい業界で、とある管理会社だった。最初は年俸制ではなく、時給22ドルで内定を承諾したのでかなりの収入ダウンだったが、前の会社を辞められたことに満足していた私は、次のキャリアのためのつなぎと考えていた。
この仕事を始めた年に婚約もした。パートナーのサポートのおかげで、収入ダウンもそこまで痛くはなかった。
転職した当初の業務内容はゆるかった。人事部はいいチームとは言えなかったし、自分の能力を示すのに少し時間もかかったけれど、業務の範囲も広がり、ある程度の評価は受けていたと思う。
入社4年目には採用コーディネーターの管理職になることを打診され、シニア人事ジェネラリストという肩書になった。年俸制になり、年収は6万ドル(約750万円)になった。
しかしその後、問題が浮上する。新しく入ってきた社員の収入を知ってしまったのだ。経営陣はまるで大ごとのように言って私の年収を6万3000ドル(約788万円)に上げたが、私より経験が浅いはずのその新入社員の年収が私と同額であることを、人事として書類を処理した私は知っていた。
納得できない私は昇給のための交渉を試みたものの、一筋縄ではいかず、そうこうしている間に私の上司が辞め、その上司の業務の多くが私に降りてきた。その分の報酬は上乗せすると上層部には言われたが、結局そうはならなかった。
その後、私より4歳下で経験も3年少なく、大卒でもない人事マネジャーが採用されたが、私より2万ドル(約250万円)高い年収をオファーされていたと知り、私はその2週間後に退職する意向を会社に伝えた。
人事ジェネラリスト:年収8万1120ドル
今の仕事はかなり気に入っている。この転職で収入はなんと1万7000ドル(約213万円)もアップした。交渉するまでもなく、採用担当から提示されたのがこの額だった。
人事ジェネラリストとしての仕事も前の会社よりかなり楽になった。同僚もいい人たちで、上司も助けてくれる。前職の会社を辞めた人たちから話を聞くと、年収が2~3割アップしているらしい。
私が社会人になったときと比べると、採用市場は大きく変わった。やっと自分に合ったワークライフバランスを実現できる仕事で、自分の能力に見合った報酬を得ることができるようになり、今は満足している。
(翻訳・田原真梨子、編集・野田翔)