2022年式キアEV6。
Tim Levin/Insider
- 電気自動車のキアEV6は自動車市場で最も革新的な機能のひとつを提供している。
- オーナーはこの車をモバイル電源として、パソコンを充電したり、家電製品を使用したりできる。
- キアEV 6のパワーシェアリング機能をテストし、その性能と有用性を検証した。
ニューヨーカーは、地下鉄で足の爪を切っている人やその他の都会生活の中での奇妙なことを見ても眉をひそめることはない。しかし、公園にエスプレッソマシンとトースターを持ち込んで、SUVの側面にコードを差し込めば、人々はあなたを変な目で見始めるだろう。
しかし、私は注目されたくてそんなことをしたわけではない。科学のためにやったのだ。
具体的に言うと、最新の電気自動車に搭載されている最も魅力的な機能のひとつを検証するためだ。韓国の起亜自動車の最新電動SUV、2022年式「キアEV6(Kia EV6)」は、単に大容量のバッテリーを使って道路を走るだけの車ではない。その車の所有者は、SUVを巨大なポータブル電源のように使用することができるだ。
2022年式キアEV6。
Tim Levin/Insider
この電気自動車で移動すれば、どこであっても付属のアダプターを充電ポートに接続することで、通常12ボルトである車用コンセントの制限に縛られることなく、好きな電化製品を使うことができる。キアEV6は1900ワットの電力を供給できるため、ミニ冷蔵庫、テレビ、圧力鍋、電子レンジ、さらには他の電気自動車にも給電できる。
起亜はスーパーボウルのCMで、充電が必要になった愛らしいロボット犬を登場させ、その機能を披露した。2022年3月にキアからEV6を借り受けた時、私はこの機能がどのように動作するのか、実際に役立つのかどうかを試してみようと考えた。
2022年式キアEV6。
Tim Levin/Insider
まず、最初に取り組むべきこと…それは本当にこれ以上ないほど簡単だった。アダプターを充電ポートを差し込むだけだ。そこにトースターをつなぎ、スイッチを押すと通電する。コンセントの周囲を保護するために部品で固定してもいいし、私のようにそのままぶら下げておくだけでもいい。
私が持ってきたネスプレッソ(Nespresso)のコーヒーマシンも同じだ。コンセントを差してスイッチを入れると、機器を温めてから抽出を開始した。アダプターを充電ポートから外す方法がわからず、ちょっとパニックになったが、取扱説明書を見て、車のロックを解除する必要があることを知った。これは電気を使っている状態で少し車から離れたいというオーナーの要望に応えたものだ。
2022年式キアEV6。
Tim Levin/Insider
トーストを焼いたり、豆乳を作るのに夢中になってしまい、家に帰るための電力がなくなってしまう心配もない。EV6のタッチスクリーンで設定すれば、バッテリー残量が一定以下になったときには自動的に電源がオフになる。
私は大自然の中で温かいエスプレッソとアボカドトーストを楽しんだ。そして、自分が家を所有したときのことを想像し、このユニークな機能が何に役立つのかを考えてみた。EV6のパワーシェアリング性能は、マンハッタンの駐車場でテストするために作られていないことは明らかだからだ。
2022年式キアEV6。
Tim Levin/Insider
電動やハイブリッドのフォード(Ford)F-150にも同様の機能があるが、明らかにそれは業務用で、電動工具などのためのものだ。またEVベンチャー、リビアン(Rivian)の電動ピックアップトラック、R1Tはコンセントだけでなく、後部座席の後にある収納スペースからスライドさせてキッチンをまるごと設置するのが印象的な機能を提供している。キャンプなどアウトドアでの使用を想定したものだろう。
EV6でこの機能を実際にどのように使用するのかはあまり明確にされていない。ちなみに姉妹ブランド、ヒョンデ(Hyundai)のIoniq 5にも同じ機能があり、そのプレス用写真には、自動車をモバイルオフィスの電源にしている人たちが写っている。これは、今日の「どこでも仕事ができる」世界では歓迎されるかもしれないが、それほど刺激的なものではない。
2022年式キアEV6。
Tim Levin/Insider
私はEV6を使って自宅のキッチンから遠く離れた場所で、手の込んだごちそうを一から作るという壮大な計画を思いついた。でも、家電や食材を運び出すのはかなり大変なことだと気付いて考え直した。つまり、人々が外出先で楽しむ活動には制限がつきものなのだ。
それでもいつか、個人や企業がEV6を活用するための面白くて実用的な方法を見つけ出すのは間違いないだろう。
ガソリンを使う発電機で明かりを確保している移動販売業者は、より静かで臭いの少ないこの代替品を歓迎することだろう。停電時のノートパソコンの充電や食品の保冷に役立てることもできる。家族で屋外での映画鑑賞会を開いたり、オートキャンプでグランピングを楽しんだりすることもできるだろう。
森の中にいても、ボタンを押すだけで熱々のエスプレッソが飲めるなんて、本当にキャンプが好きな人たちを怒らせてしまうかもしれないが、私にはかなり素敵なことだと思えてしまうのだ。
[原文:I used the electric Kia EV6's coolest feature to make breakfast outside]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)