イギリスのノーフォーク州にあるチョーサー・バーン。「ハートブレイク・ホテル・リトリート」が初めて開かれた場所だ。
Chaucer Barn.
- 「ハートブレイク・ホテル(Heartbreak Hotel)」は、別れを経験した女性のための3泊4日のイギリスのリトリートだ。
- 参加者にはセラピーやヨガのセッション、毛布や温かい飲み物の入ったボトルが提供される。
- 参加費は2500ポンド(約41万円)。つまり、1泊あたり13万7000円だ。
「胸が張り裂けるような経験をした人たちはどこへ行くのか? わたしたちに行き場はない」
これは2021年9月にハートブレイク・ホテルを立ち上げる前の、共同創業者アリス・ハドン(Alice Haddon)さんとそのビジネス・パートナーのルース・フィールド(Ruth Field)さんの疑問だったと、フィールドさんはInsiderに語った。
ハートブレイク・ホテルは、イングランド東部ノーフォーク州でスタートした3泊4日のリトリートだ。別れや喪失を経験した女性だけが2500ポンド(約41万円)で参加できる。1泊あたり13万7000円の計算だ。
チョーサー・バーンの寝室。
Chaucer Barn.
ハートブレイク・ホテルという名前から、物理的な場所を示しているように見えるかもしれないが、これは宿泊施設ではなく、1年を通じてさまざまな場所で行われるリトリートのことだと、フィールドさんは説明している。初めてのリトリートは2021年11月、ノーフォーク州にあるチョーサー・バーン(Chaucer Barn)という9つの寝室がある場所で開かれた。
ハートブレイク・ホテルの公式サイトによると、リトリートでは参加者は心理カウンセラーとして25年以上の経験があるハドンさんのグループセラピーを受けることができる。他にも、ヨガや海岸の散歩、水泳、同社の「ハートブレイク・シェフ」が手掛けた植物ベースの食事といったアクティビティーが用意されていると、フィールドさんはInsiderに語った。
安心して寛いでもらうために、参加者には温かい飲み物の入ったボトルや毛布、ノートなども提供されるという。
チョーサー・バーンのリビングの様子。
Chaucer Barn.
フィールドさんによると、ハドンさんは2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最初のロックダウン中に自身の母親を亡くし、このリトリートの立ち上げを思い付いた。このことが、胸が張り裂けるような別れや悲しみと向き合わなければならない時に一番必要なものは何か、ハドンさんが自分自身に問うことにつながったという。
「何かを決めなくていいこと、毛布や暖かい飲み物の入ったボトルがあること、誰かが世話を焼いてくれることがいかに大切か、彼女は気付いたんです」とフィールドさんはInsiderに語った。
「わたしたち女性は周りの人間の世話をするのに忙しく、こうしたことはあまり経験できません」
一般的なセラピーとは異なり、このリトリートでは1日に計8時間ものセラピーが受けられると、フィールドさんは付け加えた。
「セラピーは50分のセッションに本当に向いているのでしょうか? (ハートブレイク・ホテルのセラピーは)より深い癒しの体験で、参加者は一緒にそれをやることで互いへの共感が高まります」
リトリートには別れや離婚、喪失を経験した人が自ら申し込んだり、友人や親族からプレゼントされて参加していると、フィールドさんは語った。多くの女性が1人で、知り合いのいない状態で参加しているという。
ハートブレイク・ホテルのサイトにある"体験者の声"のページには、リトリートに参加してみてどうだったか、匿名のレビューが掲載されている。ハドンさんのセラピーを称賛している人もいれば、自身が経験した胸が張り裂けるような思いや裏切りについて手紙を書くグループワークについて書いている人もいる。
「指導を受け、初日の夜にわたしは音を立てて燃える暖炉の前で温かい『お茶』を手に、わたしの裏切りの経験を手紙に書き、それを声に出して読みました」とある体験者は書いている。
「わたしはとても孤独で、自分は愛されていないと感じていて、ものすごく悲しくて動揺していました。その後、2度目の自分への手紙を書いたら、自分はこれまでとは違う1人の女性のように感じられたし、そう見えました」という。
ハートブレイク・ホテルでは2022年に2回のリトリートを開催予定だ。公式サイトによると、初回は『Moving Beyond Betrayal and Infidelity』(裏切りと不貞を乗り越えて)と題し、6月10日から13日まで。『Healing your Heartbreak』(胸が張り裂けるような思いを癒す)と題した2回目は9月に予定されている。いずれもノーフォーク州で催されるが、具体的な場所はまだ発表されていない。
(翻訳、編集:山口佳美)