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南場智子氏が語る、「日本のスタートアップの現状」…スタートアップスタジオ協会設立会見

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意外にもこの日が初対面だったという南場智子氏(左)と入山章栄氏(右)。

撮影:太田百合子

起業へのハードルを低くし、より多くのスタートアップの創出を目指して4月12日、一般社団法人スタートアップスタジオ協会が発足した。

設立イベントには、同協会の顧問に就任した早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏と、ディー・エヌ・エー会長で、デライト・ベンチャーズのマネージングパートナーでもある南場智子氏が登壇。「スタートアップエコシステムにおけるスタートアップスタジオの意義」をテーマに対談した。

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起業マインドを調査した「GEM 2021」。日本人にとってまだまだ起業が身近でないことがわかる。

撮影:太田百合子

冒頭、世界各国での起業家精神を調査したデータを取り上げ、日本が最下位であることを紹介した南場氏。他の調査データでも日本では、

「起業家の知り合いが周りにいるか」

「起業に必要な知識と経験を持っているか」

「近い将来、起業のチャンスはあると思うか」

の3つの設問のいずれも、ぶっちぎりの最下位となっている。

「日本ではまだ起業が、覚悟を持って取り組まなければならない、特別なこととして捉えられている」(南場氏)

南場氏がDeNAを創業した1999年当時は、起業家が個人保証を求められるなど、覚悟が必要なケースもあったという。今はベンチャーキャピタルの数も増え、9割失敗しても1割当たればいいという時代になり、「日本でも失敗ができるようになってきた」(南場氏)という。

入山氏は、起業が盛んな国とそうではない国の比較として、倒産法が緩いなど「撤退にかかるコストが低いと、起業が盛んになる」という研究があると指摘する。また「日本の倒産法は厳しくない」とも語る。

それにも関わらずいまだに起業には覚悟が必要だと思われているのは、「かつて、失敗すると人生の落伍者のような、キャリアがおしまいになる時代があったから」(入山氏)だと言う。

しかし、今はDeNAなどのメガベンチャーがそうした人材を積極的に雇用しているほか、大企業でも出戻り制度を設けるなど、状況は大きく変わってきている。

「トライできる場」になるのがスタートアップスタジオの役割

スタートアップの裾野も広がり、スタートアップスタジオのように起業をサポートするエコシステムも整ってきている。スタートアップスタジオの役割について南場氏は、「トライできる場」と説明する。

いつか起業したいとアイデアを温めているような人が、起業家や起業を志す人が集まるスタートアップスタジオという環境に身を置くことで「起業に向けたエネルギーチャージがケタ違いに高まる」(南場氏)という。

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学生の起業家精神に関するグローバル研究プロジェクト「GUESS」では日本が最下位。

撮影:太田百合子

こうした背景もあり、日本のスタートアップへの投資額は順調に伸びているが、それでも世界の国々と比べると、日本は成長率で大きく負けているという。

「スタートアップエコシステムも今やグローバル競争。アメリカ、中国、イスラエル、インド、ヨーロッパ各国など、世界はハイスピードで成長しているので、このままではどんどん水をあけられてしまう。日本からはまだ世界で大勝ちするスタートアップは出てきていない。スタートアップエコシステムにおいて負けている」(南場氏)

また、南場氏は「日本の社会課題は言語も含めて独特で、日本の課題解決の延長線上にグローバル事業がないところも、一つの足かせになっている」と分析する。

「国内の課題解決も重要だが、デイワン(起業初日)から世界を目指すようなスタートアップの割合が増えてこないと、世界との差は埋まらない」(南場氏)

そのためには、エコシステムをグローバルに開く必要があると指摘した。

例としてあげたのは、シリコンバレーと日本のスタートアップの違いだ。シリコンバレーでは、5~6人のチームだとアメリカ生まれアメリカ育ちの人が一人いるかいないか程度だという。

一方、日本では多くの場合、メンバー全員が日本人だ。

「エンジニアなど、アジアの優秀な人材をもっと日本に呼んでこないといけない。エコシステムを育てていくためには、世界のトップティアを連れてくるなど、一流のベンチャーキャピタルに参加してもらうことだ」(南場氏)

もし日本に世界から優秀な人材が集まり、世界トップティアのベンチャーキャピタルやアクセラレーターが参加するようになれば、「日本のスタートアップも、自然に世界に目が向く環境になる」という南場氏に、入山氏も「大賛成」と応じた。

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