Charissa Cheong and Be Real
- 「BeReal」はユーザーが1日に1回 、フィルターなしの写真を投稿するソーシャルメディアのアプリだ。
- ベストな自分を見せようとするのではなく、リアルな姿を見せることを促すものだ。
- 実際に使ってみると、慣れるまでに少し時間はかかるものの、筆者はこのアプリが大好きになった。
気が付けば、筆者の周りでは誰もが「BeReal」について話すようになっていた
筆者のBeRealのプロフィール。
BeReal
アメリカでは「BeReal」という新しい写真共有アプリがZ世代の若者の間で人気となっている。
筆者は最初、このアプリのことを友人から聞いた。この友人はBeRealをものすごく気に入っていて、周りの親しい仲間全員に使ってもらいたいと考えていた。
すでにTikTokにはまり過ぎていた筆者は、スクリーンタイムを減らそうと努力しているところだったので、BeRealのアプリをダウンロードするのには抵抗があった。ただ、わたしの周りもBeRealを使い始めるにつれ、アプリを通じて友人同士つながるのがどれだけ楽しいか、あまりにも褒めるので、結局、仲間からのプレッシャーと取り残されることへの恐怖に屈した。
BeRealは2020年に作られたアプリだが、流行り始めたのは最近だ。トレンドに詳しいSocial Media Todayによると、BeRealのダウンロード数は2022年の初めから315%伸びていて、"最もダウンロードされているソーシャルメディアのアプリ"ランキングでは現在、インスタグラム(Instagram)、スナップチャット(Snapchat)、ピンタレスト(Pinterest)に次いで4位に入っている。
AppleのApp Storeの説明によると、BeRealはフィルターを排除し、演出したり、考え過ぎたり、写真を編集する機会をなくすことで、ユーザーに「自分の本当の姿を友人に見せる」ことを促すものだ。
評判を確かめるため、筆者はBeRealを1週間試してみることにした。
BeRealは「フィルターなし」の暮らしを見せるようデザインされたソーシャルメディア
BeRealのルール。
Be Real
BeRealでは、ユーザーが自分や自分の生活の写真を共有することができる。ただ、落とし穴がある。投稿できるのは、全員が同時に、1日に1度だ。
アプリはユーザーに「リアルになる時間」を不定期に通知する。ユーザーがアプリを開くと2分のタイマーがスタートし、ユーザーはいま何をしているにせよ、この時間内に写真を撮らなければならない。
写真はアプリが端末のフロントカメラとバックカメラの両方を使って撮るので、ユーザーは自分の姿と自分がどこにいるかを他のユーザーに見せることになる。
1日目はアプリの仕組みに軽く衝撃を受ける
Charissa Cheong
アプリをダウンロードした時は、その直後に2分のカウントダウンが始まり、初めての投稿を求められた。写真を撮る前に照明を調整したり、髪を直す時間もなく、わたしはすぐにこれがどんなアプリなのか、感覚をつかむことができた。
バックカメラでも撮られると認識していなかったので、自宅のゴミ箱が写ってしまってちょっと恥ずかしかったけれど、友人が買ってくれたかわいいマグカップも写っていた。
自分の投稿は、自分がアプリで「友達」に加えた人にしか見えないのはありがたかった。この見栄えのしない写真を親しくない、他の誰かに見られることはないからだ。
毎日、通知された時間に写真を投稿するプレッシャーは苦手だった
Charissa Cheong
BeRealでわたしが好きになれなかったところは、「2分」が過ぎた後に誰かが写真を投稿した時の通知の仕方だ。
ちょっと遅くなっただけでも、アプリがユーザーの友達全員に投稿が「遅れた」と知らせるのは、個人的には辱めのように感じられた。
わたしは毎日、時間通りに投稿することを目指していた。うまくいくと、達成感のようなものが感じられるからだ。ただ、アプリの通知が仕事中に来たりすると、慌ててしまったり、不便に感じるし、お茶を入れつつかわいい写真を撮ろうとすると、お茶をこぼしたり、ピントがぼけてしまったり、写真写りが悪くなることもあった。
アプリは"完璧でない画像"を受け入れさせた
1日に何度も撮り直すことをこのアプリは良しとしない。
BeReal
写りの悪い写真を削除しようとすると、なぜこの写真を削除したいのか、アプリから理由を選ぶよう求められた。
BeRealのウェブサイトによると、投稿を削除できるのは1日に1度だけだ。2分のカウントダウンの間なら何度でも好きなだけ撮り直しができるが、「投稿」ボタンを押したら、削除と撮り直しは1度しかできない。
どうやらこのアプリは何度もやり直しをさせないことで、ユーザーが1つの投稿に時間をかけ過ぎるのを防ごうとしているようだ。
わたしも最初はイライラした。何度でも好きなだけセルフィーが撮れることにあまりにも慣れ切っていたからだ。ただ、スクリーンタイムを減らすことができるし、完璧なショットを求めて時間を使い過ぎずに済むので、最終的にはこの機能が気に入った。
他のユーザーの投稿にリアクションしたい時は、自分の顔を使わなければならない
アプリには「リアル文字(realmoji)」という機能がある。
Charissa Cheong
BeRealでは誰かの投稿にリアクションをする場合、シンプルに「ハート」や「いいね」ボタンを押す… ことはできない。
ユーザーはアプリのテンプレートを使ってセルフィーを撮り、それを使わなければならない。これは「リアル文字(realmoji)」と呼ばれる機能で、絵文字の代わりに自分の顔の表現を使って相手の投稿にリアクションを残す。
これはものすごく楽しかった。自分の顔を見せることで、友人がやっていることに対して、よりリアルで自分らしいリアクションができるように感じた。
キャプションやコメントはいろいろと工夫ができることに気付いた
Charissa Cheong
わたしは当初、BeRealは写真を共有するだけのアプリだと思っていた。ところが実際に使い始めてみると、写真の下にキャプションを追加できることに気付いた。
投稿した写真の詳細や自分がやっていたことの説明を加えられるので、この機能がわたしはとても気に入った。
投稿の下にはコメント欄もあって、友人とやりとりすることも可能だ。
日々の生活を記録するアルバムとしての役割も
BeReal
わたしの好きなBeRealの機能の1つが「プロフィール」ページだ。アプリが「思い出(Memories)」と呼ぶこのスペースでは、自分の過去の投稿の全てを見ることができる。
これは2年ほど前にわたしの友人たちがはまった「1 Second Everyday」というソーシャルメディアのアプリによく似ている。ユーザーが毎日1秒の動画をアップロードすると、1年分をつなぎ合わせて映画にしてくれるアプリだ。
わたしは1 Second Everydayには手を出さなかった。毎日忘れずに投稿するにはかなりの努力が必要だと感じたし、1回でもアップロードし忘れたら、自分が嫌になるのが分かっていたからだ。
BeRealの場合、毎日投稿しなければというプレッシャーはあまり感じない。映画になったり、完成するのが楽しみな何かがあるわけではないからだ。気が向いた時に投稿することにも慣れたし、自分の「思い出」を見返して、何があったか思い出すことができるのもいい。
結論:使ってみるとBeRealがどんどん好きになったし、これからも使い続けるつもりだ… 人気が続いているうちは
Charissa Cheong
BeRealのユニークなフォーマットに慣れるのに、わたしの場合は数日かかった。自分の写真がこうあってほしいと思うような、完成された美しいものでないことにイライラしたこともあったけれど、ベストな自分を見せなければというプレッシャーがない状態がだんだんと心地良くなり始めた。
また、BeRealは何時間もだらだらと使い続けてしまうようなアプリではないということも分かった。自分の写真を投稿したら、ちょっとスクロールをして、友人の写真にリアクションをしたら終わりだ。ソーシャルメディアの楽しくて健全な使い方だと感じられるし、本当に感謝している。
アプリの人気が続いているうちは、わたしはBeRealを使い続けるつもりだ。過去にはHousepartyやClubhouseといったアプリが大人気になったこともあったけれど、しばらくしたらわたしの周りの人々は使うのを止めてしまった。BeRealはどうなるのか… 楽しみだ。
(翻訳、編集:山口佳美)