銀座が100円〜300円ショップの激戦区になっている。なぜ低価格雑貨ブランドは銀座を目指すのか?
撮影:竹下郁子
大創産業が東京・銀座にグローバル旗艦店をオープンした。銀座初出店となる「DAISO(ダイソー)」、新ブランドの「Standard Products」、そして300円ショップ「THREEPPY」の3ブランドからなる複合ショップだ。
この地域には、向かいには「無印良品」、目と鼻の先には「3COINS」が関東最大級の店舗開店を予定している。低価格帯の雑貨ブランドによる銀座の顧客争奪戦が始まる様相を呈している。
世界の生活インフラ目指す
撮影:竹下郁子
大創産業がグローバル旗艦店を構えるのは、商業施設のマロニエゲート銀座。約500坪の広さに、約2万7000種類の商品ラインナップで客を出迎える。
会見に登壇した大創産業の鈴木拓取締役は、銀座に出店する狙いについて、
「国内では『生活インフラ』としての認知が定着してきた一方、世界に目を向けるとその認知が弱く、営業が難しい国も。今回の銀座出店をきっかけに、世界の生活インフラとなるべく歩んでいきたい」
と語った。
大創産業・取締役の鈴木拓氏。4月13日にマロニエゲート銀座で開かれた会見にて。
撮影:竹下郁子
大創産業は、世界25の国と地域に「ダイソー」「Standard Products(スタンダードプロダクツ)」「THREEPPY(スリーピー)」の3ブランド合わせて6338店舗を構えている(2022年2月末時点)。
売り上げ、出店ペース共に順調だが、2022年度は国内外にさらに約500店舗の出店を見込んでおり、今回の銀座出店はグローバルな認知度を高める目的がある。
ダイソー、ユニクロ、無印が1枚の写真に収まる「新しい銀座」の姿
大創産業とユニクロのグローバル旗艦店、そして無印良品が1枚の写真に収まる。それが新しい銀座の姿だ。
撮影:竹下郁子
前出のとおり大創産業がグローバル旗艦店を構えたマロニエゲート銀座には、「ユニクロ」の国内最大級となるグローバル旗艦店もある。
道路を挟んだ真向かいには「Standard Productsの雰囲気が似ている」などとSNSなどで言われている「無印良品」、そして歩いてすぐの距離に300円ショップ「3COINS」の関東最大級となる店舗のオープンが控えている。
MAPアプリの画像をもとにBusiness Insider Japan作成
THREEPPYと3COINSは女性が主な顧客であること、また「くすみカラー」にこだわった商品展開など共通点も多い。
日本の経済状況を象徴するような出店攻勢だが、一方で原材料価格や輸送費、円安など低価格帯のショップには不安材料もある。前出の大創産業取締役の鈴木氏は言う。
「確かに原材料の高騰など状況は厳しいです。為替の関係で海外で作るより日本で作るほうが安くなるケースもあるので、国内で作るように変更したり、(輸送時の)積載効率を上げたりしながら、価格を抑える努力を続けていきます」(鈴木さん)
銀座で始まった低価格帯雑貨の顧客争奪戦。制するのは一体誰なのだろうか?
大創産業のグローバル基幹店のポイントを整理していこう。
脱キャラクター、くすみカラーで「大人路線」へ
撮影:竹下郁子
目玉となるのは300円ショップ「THREEPPY」だ。大創産業50周年となる2022年、リブランディングを実施して以降、今回が初出店となる。
ポイントは、これまでの「キャラクター」路線を脱したこと。そして流行の「くすみカラー」を多数の雑貨で取り入れたことだ。今後はより幅広い年代の女性たちに受け入れられることを目指すという。
商品は300 円(税込330円)が8割を占め、その他 150円(税込165円)から1500円(税込1650円)の物も。
写真と共に、売り場を見ていこう。
撮影:竹下郁子
入り口正面に並ぶのはダイヤ型の美濃焼の食器たち。焼く時にできる表面のひび模様が一つ一つ異なっており、使っていくうちに色合いの変化も楽しめるという。
撮影:竹下郁子
タオルは世界三大綿と呼ばれるエジプト綿を使用。使うほどに柔らかさがでるそうだ。
撮影:竹下郁子
ルームフレグランスは定番のアールグレーやサボンなどに加え、マグノリア&ローズやピオニー&チェリーなど花の香りを多数用意したのが特徴だ。
撮影:竹下郁子
フレグランスはスプレータイプもある。どちらも中に花びらが入っており、インテリア性もある。
撮影:竹下郁子
夏の必携品になりつつある、携帯できる小型の扇風機も、もちろんくすみカラーだ。
撮影:竹下郁子
まつげ用カーラーや顔用クレンザーなど、低価格雑貨ブランドの定番となった美容家電も取り揃えている。
2年で400店舗まで一気拡大する「Standard Products」
会見で示された資料。大創産業の「Standard Products」への意気込みがうかがえる。
撮影:竹下郁子
一方、大創産業の新ブランド「Standard Products」は東京・渋谷、新宿に続き3店目の出店だ(新宿店は過去に取材記事「ダイソーが挑む脱大量生産・消費。新ブランド「Standard Products」が300円で作った世界観」として取材して取り上げている)。
こちらも商品の7割が300円(税込330円)の、ほぼ300円ショップ。
短いサイクルで買い替える必要のない品質と、年齢性別問わず長く使い続けてもらえるようジェンダーレスで飽きのこないデザインが特徴だ。
人気の高まりを受けて、2024年度にはなんと400店舗まで急拡大する計画だという。
撮影:竹下郁子
間伐材を利用したサステナブルな商品や国内の伝統産業とコラボした商品がウリで、銀座店では東京・葛飾区の町工場の職人が作った鉛筆や、愛媛県・今治産のタオルが購入できる。
撮影:竹下郁子
ダイソー経済圏は駄菓子からフリマ対応まで
撮影:竹下郁子
一方、銀座に初出店となるダイソーには「下町情緒を感じて欲しい」(担当者)ということから、駄菓子や和玩具・和雑貨のコーナーが設けられている。
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ほかにも「ワンコインではじめる環境配慮」がキャッチコピーの「脱プラ・減プラ」商品や、
撮影:竹下郁子
フリマアプリ「メルカリ」とのコラボコーナーも。「フリマ用品は非常にニーズが高まっている」(担当者)という。銀座の旗艦店には非対面で発送ができる「メルカリポスト」も設置されており、ダイソーで梱包資材を購入してすぐに投函できる仕組みだ。
(文・撮影 竹下郁子)