一般社団法人スタートアップスタジオ協会の発足イベントに登壇する南場智子氏。
撮影:太田百合子
4月に本格始動した一般社団法人スタートアップスタジオ協会の顧問に就任した、ディー・エヌ・エー代表取締役会長南場智子氏。
同協会の設立記念イベントでの早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授との対談で、特に印象に残ったのが、「世界を目指すスタートアップが増えてこないと、日本と世界の差は埋まらない」という言葉だった。
日本のスタートアップがグローバルを目指すために起業家をサポートするエコシステムにできることは何か。Business Insider Japanの取材に南場氏が応じた。
日本の課題解決の延長線上に、グローバル事業がない
── 日本のスタートアップが、グローバルを目指すためにできることはなんでしょうか。
南場:海外の市場がどう考えているのかを、早めに知ることが大切だと思います。日本では成功してから海外に行くんだっていう企業が多く、デイワンからグローバルを目指すところは少ない。
例えば、(シリコンバレーの著名なスタートアップ・アクセラレーターの)Yコンビネータに申し込むなど、海外のアクセラレーションプログラムに参加してみるとか。世界にネットワークを持っているベンチャーキャピタルの出資を受けるなど、グローバルに目を向けるところがもっと増えるとよいですね。
一般社団法人スタートアップスタジオ協会の発足イベントより。
撮影:太田百合子
── スタートアップスタジオのようなエコシステムができることは? 対談では「世界トップティアのベンチャーキャピタルを連れてくる」という提案をされていました。
南場:日本のスタートアップについて、世界に発信していくというのはありますよね。ベンチャーキャピタリストは、起業家がいるところに来ますから。さらに国内だけでなくアジアの起業家も集まるようになれば。彼ら(VC)は経済合理性のある場所で活動するので。
Deep Techなど、大学の研究テーマをネタとした起業も面白いと思ってるんですけど、それをもっと加速するために特化したファンドを作るのもいいかもしれない。
日本のVCで、専門特化領域について評価できるところは少ないんです。そういう評価能力を持った海外のVCを連れてくるというのは、あると思います。
(ファンドを通じて)面白い研究や技術のようなネタがあるってことを(世界に)知らしめることですが、それをすでにやっているところもあります。
たとえばBeyond Next Venturesという会社はバイオとかメディカル等に強みを持っていますが、アメリカのファンドと組もうとしていたり、キャピタリストを日本に連れてこようとしている。
(Beyond Next Venturesは)専門領域に強い学者などネットワークも持っています。
こういうVCやアクセラレーターが日本でももっと増えて、こういうネタがあるということを海外に発信して、できれば海外のVCと一緒に仕事してくれて、というアクティビティーが増えるといいですね。
(文・太田百合子)