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フルタイムの出社勤務に戻ることに反対している働き手にとって、いくつか良いニュースがある。
ワークスペーススケジューリングソフトを提供するCondecoが最近発表した調査結果によれば、調査対象となった社会人の3分の1以上が、ハイブリッドワークによって精神的・肉体的な健康状態が向上したと回答している。これは、ハイブリッドモデルが従業員のワークライフバランスを改善するという以前の調査を裏付けるものだ。
今や多くの人にとって、自宅のリビングやダイニングテーブルがサテライトオフィス代わりだ。調査によれば、従業員たちがハイブリッドワークに求めるのは、自律的にスケジュールを決められること、安定的にリモート接続できるテクノロジーだという。ハイブリッドモデルを採用し、従業員の意見に耳を傾ける企業が増えるほど、従業員はより健康で幸せで、生産性も高まる可能性がある。
CondecoのCEO兼創業者のポール・ステイサム(Paul Statham)は今回の調査結果から、今はまだ従業員が求めるテクノロジーと実際に企業が用意しているテクノロジーとの間に乖離があり、職場における「デジタル平等」に向けてもっと取り組む必要がある、と指摘する。IBM SecurityとMorning Consultが2020年に実施した調査によれば、在宅勤務の従業員の53%以上が個人所有のノートPCを仕事に使っていた。
またステイサムは、回答者たちはハイブリッドワークに関する意思決定に関わりたいと思っていることも今回の調査で浮き彫りになった点だと強調する。従業員はシンプルにこう言いたいのだ。「企業はこの大退職(Great Resignation)を食い止めたいなら、自分自身でベストと思える働き方を見つけさせてくれ」と。
以降では、調査で明らかになった、企業にとっては必読の3つのポイントを紹介する。
1. ハイブリッドワークに適したテクノロジーを用意する
フォーチュン誌が報じたところによると、2021年はノートPCとデスクトップPCの売上高が2014年以来最高水準だったという。この急増の要因は、コロナ禍による在宅勤務だ。現在、働き手の一部はオフィスに戻りつつあるが、大多数は今もノートPCやヘッドセット、スタンディングデスクなどのツールを必要としている。
Condecoの調査では、回答者の半数以上が「会社はハイブリッドワークを支援するのにふさわしいテクノロジーを利用していると思う」と答えているものの、会社はデジタルツールに関する従業員の懸念や意見に耳を傾けていないと感じている。
この問題に対処するには、オフィス内のすべての会議スペースをデジタル対応にし、自分を除く会議の出席メンバー全員が出社しているときでも疎外感を感じずにすむようにすることだ、とステイサムは言う。
2. 従業員のワークライフバランスを大切にする
コロナ禍を経て、従業員にとって最優先事項となったのが心の健康だ。つまり、働き手はワークライフバランスのとれた働き方を求めている。Condecoの調査では、回答者の34%がハイブリッドモデルで働くことが心身の健康にプラスに働いたと述べている。
「営利的な観点では、従業員が幸せかつ健康であればあるほど、生産性が高いということになります。これぞまさしく(ハイブリッドワークという)新しい働き方が促進しているものです」とステイサムは言う。
3. ハイブリッドワークのスタイルは従業員の意思に委ねる
Condecoのデータではもう一つ特筆すべき点として、回答者の大多数が、スケジュールを会社に決められるのではなく、出社日と在宅勤務日を自分自身で柔軟に決めたいと考えていることが分かった。
回答者の62%が現在のハイブリッドワークのあり方に満足している一方、フルタイムの出社勤務に戻った働き手の半数が、もっとハイブリッド型の勤務をしたいと考えている。ステイサムは言う。
「問題は、ハイブリッドワークのほとんどが依然として会社からの指示だということ。従業員に自由を与えないと悪影響を及ぼすことになります。
企業は従業員の話に耳を傾ける必要があります。従業員はあなたの事業そのもの。ですから事をうまく進めるためには、従業員に命令するのではなく、従業員と協力しなければいけません」
(編集・常盤亜由子)