マーク・ザッカーバーグ。自身で富を築き上げた億万長者だ。
KENZO TRIBOUILLARD / Contributor / Getty
- ドイツの科学者が億万長者1125人を調査し、彼らの行動特性を明らかにした。
- それによると、億万長者はオープンかつ誠実で、神経質な部分は少ないという。
- また、彼らはリスクへの許容度が高いが、これは権力を握ったときには危険だ。
イーロン・マスク(Elon Musk)やマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)のように自分自身の力で富を築き上げた億万長者は、平均的な人々や他の富裕層と違うところがあるのだろうか。
ドイツの科学者が超裕福な人物1000人以上の性格特性について調査し、その答えを導き出した。
その結果、億万長者、特に一代で富を築き上げた人物は、富裕層ではない人や財産を受け継いだ人と比べると、リスクを取り、オープンマインドかつ誠実で、さらに楽観的であると結論づけた。
だが、富裕層は大きな権力を手にすることが多く、その奔放さは社会にネガティブな影響をもたらしかねないと、科学者は警告している。
「富裕層」は100万ユーロ以上の資産を所有する人
この調査は科学誌「Humanities and Social Sciences Communications」に発表されたもので、研究者は3万人を対象にした世帯調査「German Socio-Economic Panel」のデータを調べた。
これには、裕福な個人や彼らが所有する資産、物資に関する情報も含まれている。科学者は、所得だけでなく株、資産、所有する事業など個人の資産について、富を反映する指標として着目している。
調査では、100万ユーロ(約1億4000万円)以上の資産を所有する人を富裕層、80万ユーロ(約1億1000万円)未満の人を非富裕層と分類し、その中間の資産の人は除外した。
残った2万3721人のうち、富裕層は1125人だった。さらに190人は資産が500万ユーロ(約7億円)以上、61人は1000万ユーロ(約14億円)以上だった。
調査の一環として、参加者はビックファイブ理論として知られる性格特性の5因子にもとづいて、性格とリスク許容度を評価するアンケートに答えた。これはアメリカ国立老化研究所(Institute of Aging)の心理学者によって開発されたもので、そのモデルでは人の性格が5つの要素によって決定されるという。
心配症や悲観主義などの傾向を示す「情動性」。クリエイティビティや創作などに関わる「開放性」。几帳面さや粘り強さの「勤勉性」。他人を信頼し協力する「協調性」。行動的で社会的な人物であるかどうかの「外向性」の5つだ。
アンケートの回答によって、それぞれの特性が高レベルから低レベルまでに判定される。
自身で富を築いた億万長者は、リスク許容度が高い
簡単に言うと、富裕層は一般的にリスクに対する高い耐性があり、開放性と外向性のレベルが高く、かつ誠実で、非富裕層に比べると神経症的な度合いや協調性が低い。
しかし、それは財産によって決定づけられたのではない。
富裕層の中でも、財産を受け継いだ人と比べると一代で富を築いた億万長者はリスクへの耐性が高く、神経質ではなかったのだ。
研究結果は社会に対してより広い意味を持つ
研究者は、この結果はより広い意味を持っていると述べている。富裕層は力を持っている。彼らは政治や社会に対する大きな力を持っているのだ。
「リスクに対する高い耐性を持つ、重要な意思決定者が、利益はあるがとてもリスクの高い計画を実行したら、その決定はリスクを回避する他の人々に不利益になる可能性がある」と、彼らは報告の中で指摘した。
また、この調査はドイツの億万長者に着目したものであり、異なる国で文化や考え方の異なる人にあてはめた場合には、結果も異なる可能性があるとも指摘している。
さらに、性格特性は経済的な成功を自動的に保証するものではなく、教育、リソースへのアクセス、能力も関係する。だが、一代で富を築いた人の特徴を持っている人は、裕福になる可能性は高いという。
超富裕層とビッグファイブ性格診断の関連性について調べた研究は、これが最初ではない。ドイツの研究者、レイナー・チーテルマン (Rainer Zitelmann)は、富裕層は神経質の度合いが低いが愛想もないと、Insiderに語っていた。
特にクリエイティビティや好奇心に対する「開放性」は、裕福なCEOに共通する性質としてよく取り上げられる。
アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)やグーグルのエリック・シュミット(Eric Schmidt)CEOのエグゼクティブアシスタントを務めたアン・ハイアット(Ann Hiatt)は、億万長者のCEOはよく質問し、立ち直りが早いとInsiderに語っていた。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)