出張経費は「2023年末でもコロナ以前の3割減」米デロイト最新調査。週3日以上出社の企業は「完全回復」視野に

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世界中で新型コロナ感染拡大の影響による移動制限の解除や経済活動の再開が本格化している。ビジネス出張の回復もコロナ以前の水準に……と単純にはいかないようだ。

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米大手会計事務所デロイトは4月18日、米企業におけるビジネス出張の現状と展望に関する調査レポートを公開した。

経営幹部クラスのトラベルマネジャー(=出張管理を担う責任者、欧米企業に多いポジション)150人の回答から、行動制限の解除や経済再開の進捗にもかかわらず、ビジネス出張の回復が大幅に遅れていることが明らかになった。

2021年時点の予測は楽観的すぎた。出張再開に大幅な遅れ

デロイトは2021年6月にも同様のトラベルマネジャー調査を実施している。

当時は各社とも、ワクチン接種が急速に進んで同年秋にはオフィス復帰が実現、社会経済活動の正常化が本格化すると想定していた。出張支出についても、コロナ以前の水準近くまで回復すると見込む回答が多かった。

しかし、そうした見通しがデルタ株とそれに続くオミクロン株の流行によって脆(もろ)くも崩れ去ったことは周知の通りだ。

2021年下半期、オフィス復帰計画の延期をはじめ社会経済活動の正常化が後ろ倒しになるなか、出張支出額はトラベルマネジャー150人の予測を大幅に下回った。

前回(2021年6月)調査では、全回答者の約3割(34%)が同年末までにコロナ以前(2019年末)の半分以上の水準まで回復すると答えたが、結果としてそこまでの回復を実現できた企業は約1割(9%)にとどまった【図表1】。

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【図表1】2021年のビジネス出張(支出額)は、トラベルマネジャーの予測ほどに回復しなかった。上からそれぞれ、2021年末まで、22年6月末まで、22年末までの予測(いずれも上段が今回調査時、下段が前回2021年6月調査時)。

Deloitte Insights

また、前回調査では回答者の過半数(54%)が2022年末までに完全回復すると予想していたが、今回調査では2割弱(17%)にとどまった。

デルタ株とオミクロン株に加え、最近では後者の派生型「BA.2」や新たな系統とされる「XE」の出現など、大方の予想を超える新型コロナの感染力を目の当たりにし、楽観的な予測を立てること自体が経営リスクになるとの認識が定着した模様だ。

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