被害を受けた建物の背後に見えるアゾフスタリ製鉄所。ウクライナ・マリウポリで。
REUTERS/Alexander Ermochenko
- ロシア軍が攻撃を続けるマリウポリでは、ウクライナの兵士と市民が製鉄所に隠れているという。
- アゾフ大隊の司令官は、ロシアが工場に地中貫通爆弾(バンカーバスター)を投下していると述べた。
- ウクライナ当局によると、そこには子どもを含む一般市民が避難しているという。
ロシア軍はウクライナ南東部のマリウポリの製鉄所に地中貫通爆弾(バンカーバスター)を投下しているとウクライナ軍司令官が述べた。そこには多数の兵士や市民が避難しているという。
AP通信によると、ウクライナ国家警備隊アゾフ大隊のデニス・プロコペンコ(Denys Prokopenko)司令官は2022年4月18日、ロシアがアゾフスタリ製鉄所に爆弾を落とし始めたと語ったという。プロコペンコによると、彼の部隊は民間人とともにそこにいたという。
製鉄所には地下トンネルがあり、マリウポリ市議会は18日にテレグラムで、最大1000人の市民がそこに隠れていると述べた。
地中貫通爆弾(バンカーバスター)は、地下深くにある標的を攻撃するために厚い防御を突き破るように設計されている。
プロコペンコは、ロシア軍は市民がそこに隠れていることを認識しながら攻撃していると述べた。
「ロシア軍は民間人の存在を知っていながら、製鉄所を攻撃し続けている」
ロシアは19日、製鉄所にいるウクライナの部隊に対し、生き延びたいならモスクワ時間の正午までに武装を解除するように指示した。ロイター通信によると、ロシア国防省は、「武器を置いた者は全員、生存が保証される」と述べたという。
ドネツィク地域の警察のミハイル・ベルシニン(Mikhail Vershinin)は製鉄所内の民間人には子どももいたと17日に述べたとポリティコは報じている。マリウポリはウクライナのドネツィク州にある。
港湾都市のマリウポリは、2月24日に始まったロシアの侵攻以来、ウクライナで最も打撃を受けた地域の一つだ。マリウポリを占領すれば、ロシアが支配するクリミアと、ロシア軍が19日未明に攻撃を開始した東部ドンバス地方からの陸路を実効支配することが可能になる。
ウクライナ当局は、マリウポリで約2万1000人の市民が殺害されたと推定しており、ドミトロ・クレーバ(Dmytro Kuleba)外相は17日に次のように述べている。
「街はもう存在しない。残ったウクライナ軍と大勢の市民はロシア軍に包囲されている」
残った人の一部は鉄鋼所に逃れており、そこが市内での最後の抵抗拠点となるかもしれない。
ロシアはマリウポリに残ったウクライナ兵に降伏を命じたが、彼らは拒否している。
ロシアが支援するドネツィクの分離主義勢力の顧問であるヤン・ガギン(Yan Gagin)は、ロシアメディアのリア・ノーヴォスチに対し、製鉄所の地下には「もう一つの都市」があり、爆撃に耐えられるように造られていると述べた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)