経済学者のジュリエット・ショアは、パンデミックが週4日勤務制を「加速」させたと述べている。
Stacie McChesney / TED
- 経済学者のジュリエット・ショアは、パンデミックが週4日勤務制を「加速」させたとしている。
- ショアによると、従業員を確保するために勤務日数を短縮する企業が増えているという。
- 「我々は、今この瞬間の課題に立ち向かう必要がある」と彼女は語った。
1980年代から働き方を研究してきた経済学者は、パンデミックによって週4日勤務制の導入が「加速」されたと語っている。
ベストセラー作家でボストンカレッジの社会学者であるジュリエット・ショア(Juliet Schor)は、多くの企業が新しい働き方を導入しており、従業員は同じ給料で同じ量の仕事を、これまでより短い時間でこなすことを求められていると述べた。
「週4日勤務、32時間労働で、給料はこれまで通りの5日分という企業が増えている」とショアは4月12日に開催されたTED2022で述べた。
「これは新しい考え方ではないが、パンデミックがそれを加速させた」
COVID-19のパンデミックは、壊滅的な人命の損失と大きな社会的変化をもたらした。専門家によると、それによって何百万人もの記録的な数のアメリカ人が仕事を辞めることにつながったという。この現象は「大退職」と呼ばれるようになった。
退職者がInsiderに語ったところによると、彼らはより良いワークライフバランスやより高い給料を求めて、また不当な労働条件に立ち向かうために退職したという。
勤務日数の短縮は、従業員が職場に留まろうとするインセンティブにもなると、ショアは述べている。彼女の調査によると、週4日勤務制は従業員のストレスを軽減し、ワークライフバランスを向上させ、離職率を下げ、より質の高い人材の確保につながるという。
通勤日数が減ると、交通機関の利用に伴う二酸化炭素の排出量も減り、地球環境にも優しいとショアは言う。従業員が「急いでいる」場合には、より速く、より汚染度の高い交通手段を選びがちだという。
「最近、仕事の未来や就業機会について話題になることが多いが、それよりも重大な問題がある」とショアはTEDで述べた。
「燃え尽き症候群やうつ病の蔓延、人種や所得の不平等など、我々が今抱えている問題に立ち向かうことが急務となっているのだ」
ショアは、週4日勤務制を導入して成功した企業の例として、アイダホ州ボイシを拠点とする非営利団体ヘルスワイズ(Healthwise)を取り上げた。
ヘルスワイズの従業員が「大量に辞めていく」ようになったため、同社は2021年8月から短時間勤務の試行を開始し、同じ量の仕事をこなすのであれば、出勤する日数を週4日にすることを許可した。
6カ月が経過すると、ヘルスワイズの収益が増加しただけでなく、従業員は「かなり幸せ」になり、顧客満足度のスコアも「抜群」になったとショアが報告した。
「従業員の幸福は我々の使命の延長線上にあり、我々は彼らをサポートしている。特にパンデミックという困難な時期にはそれが重要だ」とヘルスワイズのアダム・ハスニー(Adam Husney)CEOはInsiderへの声明で述べている。
「従業員へのアンケートで95%近くの従業員が、ワークライフバランスを保ち、燃え尽き症候群に立ち向かうにあたって、週4日勤務制がプラスの影響を与えたと感じると回答したことに感激している」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)