大祖国戦争(第二次世界大戦)におけるソ連軍「勝利の旗」の複製。2016年、モスクワの大祖国戦争中央博物館前で。
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- CNNによると、ウクライナのロシアが占領した地域に、ソ連の第二次世界大戦の戦勝旗が出現しているという。
- ロシアは5月9日の「戦勝記念日」に向けて準備を進めている。
- イギリスなどの情報機関は、ロシアがその日に先立ってウクライナで象徴的な勝利を得ようとしていることを示唆している。
CNNは、ロシアが占領したウクライナの町に第二次世界大戦の「勝利の旗」が出現していると報じた。西側の情報機関は、ロシアが5月9日の「戦勝記念日」を前に、侵略の大きな進展を確保したいようだと述べている。
CNNは2022年4月21日、ロシアが占領したウクライナのいくつかの地域にこの旗が「現れ始めている」と報じた。旗には、ソビエトのハンマーと鎌が描かれ、「第150狙撃師団、クトゥーゾフ二等勲章、イドリツァ師団、第79ライフル隊、第3突撃軍、第1ベラルーシ戦線(150th Rifle, Order of Kutuzov Second Class, Idritz Division, 79th Rifle Corps, 3rd Shock Army, 1st Belorussian Front)」と書かれている、とCNNは報じている。
ニューズウィーク誌も21日、ロシア軍がウクライナの都市ケルソンでこの旗を掲げたと報じた。
戦勝記念日とは
ロシアでは戦勝記念日は5月9日で、1945年5月9日にナチス・ドイツ軍の降伏がソ連を含む連合国によって受理されたことを記念している。一方、西ヨーロッパでは、ナチス・ドイツに対する勝利を5月8日に祝う。
ロシアでは、毎年この日にモスクワで大規模な軍事パレードなどが行われる。
2021年5月9日、モスクワで行われた戦勝記念日の軍事パレードで、赤の広場に向かって走るロシアの2S35 コアリツィヤ-SV 152mm自走榴弾砲。
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ロシアのウクライナ侵攻はここ数週間、ほぼ停滞しており、兵站の問題とウクライナ軍からの予想外の抵抗に直面し、ロシア軍は首都キーウを含む多くの地域から撤退している。その後、ロシア軍はウクライナ東部で部隊を再編成し、そこに兵力を集中させている。
ロシアは大勝利を望んでいる
しかし、ヨーロッパの情報機関は、ロシアが5月9日に先立って大きな成功を収めたいと考えていると示唆している。
イギリス国防省は4月21日、情報筋の話として次のように述べた。
「ロシアは毎年恒例の5月9日の戦勝記念日の前に大きな成功を収めたいと考えているようだ。この日に向けて、彼らは迅速かつ強力な作戦を実施しようとするかもしれない」
匿名のヨーロッパの当局者2人がCNNに語ったところによると、ロシア軍は戦勝記念日の前に勝利とみなされるようなことを達成するために「自らに課した圧力」に対処しているという。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)