グーグルから内定を勝ち取るためには、いくつか秘訣がある。
Reuters
ジェフ・サイプ(Jeff Sipes)はグーグルの採用担当を5年間務めた後、現在は個人で技術者のキャリアコーチをしている。以下は、これから職探しをしようとしている人への彼からのアドバイスだ。
私は、2013年から2018年までグーグルに勤務している間、数千人の採用に関わり、個人的には約150人を採用した。今は個人で技術系のキャリアコーチをしており、候補者の面接や給与交渉のスキルアップを中心に支援している。
職種にもよるが、LinkedInは通常、技術系のリクルーターが候補者を見つけるために使う情報源としてよく使われている。グーグルでは、独自の内部データベースを使って人材を探すことが多いが、それ以外の方法ではLinkedInを使うことが多い。
グーグルの採用担当を5年間務めたジェフ・サイプは、最善の準備をしたものだけがグーグルに採用されるという。
Jeff Sipes
仕事を勝ち取るためには、その会社の社員を通じて就職活動をするのが一番有効な手段だ。紹介なしで応募した人が実際に採用された例はあまり見たことがない。
大手テック企業の採用担当者に印象付けようとするクライアントの求職者に最初に私が教えるのは、「与える姿勢」でネットワーキングすることだ。
グーグルでの5年間で私のところに届いたメッセージは、たいてい次のようなものだった。
「こんにちは、これが私の履歴書です。私に仕事を探していただけないでしょうか?」
採用担当者は、求職者から毎週何百通ものメッセージを受け取っている。上記のメッセージより好印象なのは、こんなメッセージだ。
「こんにちは! 機械学習に関するとても素晴らしい記事を目にしました。御社で機械学習エンジニアを募集していると伺ったので、この記事を紹介させていただこうと思いました」
そんなメッセージの後であれば、キャリアアドバイスや特定の職務についての話題に移すことが可能だ。そうすることで、採用担当者の注意を引き、あなたが会社に貢献しうる人物だと伝えることができる。
また、最新の履歴書だけでなく、メールや電話番号をメッセージに記載し、採用担当者があなたに連絡しやすいようにすべきだ。簡単なことのように思うかもしれないが、こうした情報を書いてくる求職者はあまりいないため、こちらからコンタクトするのが難しいのだ。
自分のやりたい職種を念頭に履歴書を書く
そのために有効なのが、履歴書の一番上に自分の能力を箇条書きで簡潔にまとめることだ。ほんの数分かけるだけで、採用担当者にも分かりやすくなるし、私自身の経験から言ってもこういう候補者には連絡する可能性が高くなる。応募する仕事によって箇条書きの形を調整することも大切だ。
LinkedInのプロフィールは履歴書から大きく変えるべきと言う人は多いが、私はそれには反論したい。私は、履歴書の箇条書きをそのままプロフィールにコピーして貼り付けるようクライアントに伝えている。LinkedInを利用する採用担当者の大半は、履歴書に書かれたキーワードを基に検索するからだ。
候補者のプロフィールでよく見かける2番目の大きな間違いは、プロフィール写真がないこと。プロフィールに高画質の顔写真があり、それを裏付けるデータがあれば、採用担当者はほぼ間違いなくあなたにコンタクトを取る(笑顔で写っているものを選ぶこと!)。
ほとんどのポジションの採用プロセスは、リクルーターのスクリーニングから始まる。これは採用担当者と電話でカジュアルに話す形式で、通常30分以内に終わる。その後は、グーグルの採用委員会のメンバーに会う前に、少なくとも3回面接がある。採用委員会は、基本的に候補者が配属される可能性のある部署の社員で構成されていて、それまでの面接のフィードバックを確認し、あなたの経歴やスキルについて質問し、あなたがその職種に適任かどうかを判断する。
それがうまくいけば、候補者は採用担当者と報酬について議論し、決定ということになる。
グーグルが他社と異なる点は、質問が自由形式の問題に偏る傾向があるということだ(グーグルは面接でひねった質問を好むという間違った認識があるようだが、実際にはもうそのような質問はしていない)。
面接で質問にうまく答えるための鍵
まず、あなたがどのようにその問題の解決方法にたどり着いたか順を追って示すフレームワークを示す必要がある。そうすれば面接官が視覚的にイメージしやすくなるため、実際にその問題解決方法を説明しやすくなる。
事前に質問例を書き出しておき、後で必要に応じて手直しをするとよい。友人やメンターを相手に練習するのもおすすめだ。どんなキャリアコーチも、「自分の答えを声に出して練習するかどうかで全然違う」と言うはずだ。そしてもちろん、自分の職務やその会社についての十分な下調べも必要だ。
(アドバイスをもう一つ:ネットワーキングの際には、適切な相手に連絡を取るようにすること。LinkedInで私にメッセージをくれた人の約40%は、どうすればインターンシップに参加できるかと尋ねてきた。私はインターンの担当ではないし、これではリサーチもしないズボラなやつだととられかねない)
グーグルで働きたい人は報酬の交渉をすべき
給与を提示する際、グーグルは市場評価を行う。例えばあなたがニューヨークに住んでいる場合、ニューヨークのソフトウェア・エンジニアの給与を評価し、中央値を50とした場合75ぐらいに合わせる。つまり、平均よりも高い金額を提示することになるが、それでもグーグルにとっては低い数字である。そのため、給与に関しては一般的に柔軟性が高いと言える。
交渉の間ずっと丁重に対応しつつも高い報酬レベルを維持して交渉しているなら大丈夫。これが、年収アップを要求する際の成功の鍵だ。
グーグルはハーバード大学よりも入りにくいと思われているが、そんなことはない。大手テック企業の出身である必要はないし、グーグルの製品やサービスについて隅々まで記憶している必要もない。自分のスキルとポジションが合致しており、正しい方法で準備し、十分な練習をすれば、誰でも門をくぐることができる。私はそういう人たちをこの目で見てきた。
※この記事は2022年4月28日初出です。