フランス大統領選でマクロン氏が「再選確実」も投票棄権率は“1969年以来の高水準”に

決選投票で再戦確実となったことを受けて、勝利演説の会場で支持者の声援に応えるマクロン大統領。

決選投票で再戦確実となったことを受けて、勝利演説の会場で支持者の声援に応えるマクロン大統領。

REUTERS/Benoit Tessier

フランス大統領選の決選投票が4月24日(現地時間)に実施され、公共放送「フランス2」は情勢調査などから現職のエマニュエル・マクロン大統領(44、中道政党「共和国前進」)が再選を確実にしたと伝えた。任期は5年。

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イプソスの調査によると、予想得票率はマクロン氏が58.5%、右翼政党「国民連合」のマリーヌ・ルペン氏(53)が41.5%。一方、投票棄権率は28.2%と推定される。これはド・ゴール大統領の退陣後、ポンピドゥー氏が勝利した1969年の大統領選以来の高い水準となる。

フランスでは現在春休み中であることに加え、両候補や政治への不信感が反映され、投票率が下がったと見られる。

第五共和政における大統領選の投票棄権率

第五共和政における大統領選の投票棄権率

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第1回投票ではマクロン氏が27.84%、ルペン氏が23.15%。5年前の大統領選に続き、今回の大統領選も「中道」と「右翼」の両者が決選投票で対決する構図となった。中道左派「社会党」や中道右翼「共和党」の候補は前回に続き、初回の投票で敗退。マクロン氏によってまたも中道票を切り崩された形だ。

ルペン氏とマクロン氏

ルペン氏とマクロン氏

REUTERS/Sarah Meyssonnier/File Photo

争点の一つとなったロシアのウクライナ侵攻をめぐっては、マクロン氏は対ロシア政策でアメリカやEU(欧州連合)、NATO(北大西洋条約機構)との協調路線を訴えた。ウクライナ情勢によって懸念されている物価高騰にめぐっては、電気・ガス料金に引き続き上限を設けると公約した。

一方、ルペン氏はNATOの枠組みからもフランスは外れるべきだと主張。ロシアへの経済制裁の強化には慎重な姿勢を示してきた。一方で、従来の極右色の緩和に努め、市民生活に経済的打撃を与えている物価高騰はマクロン氏の失策だと指摘し、批判を強めていた。

(文・吉川慧

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