リンカーンのSUV「スター」コンセプト。
Lincoln
- リンカーンは、将来の電気自動車の方向性を示すコンセプトSUVを発表した。
- 同ブランドは、2026年までに新しい電気自動車4モデルを市場に送り出す予定だ。
- そのリンカーンの「スター」は、乗る人にとって「究極のサンクチュアリ(聖域)」となることを目指している。
多くの自動車会社がそうであるように、リンカーン(Lincoln)も電気自動車の未来を見据えている。フォード(Ford)の高級車ブランド、リンカーンは2022年4月20日、2026年までにバッテリー駆動の4つのモデルを発売予定だと発表した。
その予告として、リンカーンは「スター(Star)」と呼ばれるコンセプトSUVを明らかにした。この超未来的な乗り物は実際に製品化されることはないだろうが、興味深い機能が満載で、見ているだけで楽しくなるものだった。
リンカーンは、スターを顧客にとって「究極のサンクチュアリ(聖域)」となるようにデザインしたと述べている。
リンカーンのSUVコンセプトカー「スター」。
Lincoln
すっきりとしたシルエットの「スター」は、ライト付きのリンカーンのエンブレムを前面に配置し、その周囲を星座のような小さなライトが囲んでいる。SUVのキャビンへの入り口は大きく開くスーサイドドアだ。全体的に見れば、「スター」は、創業100年の自動車メーカーよりも最先端のスタートアップ企業から出てきた自動車のように見える。
リンカーンのSUVコンセプトカー「スター」。
Lincoln
未来の自動運転車をイメージする「スター」は、実際に運転することを意識する車というよりも、車輪のついたラウンジのようなものを目指している。そのため、快適性がこのSUVの最大の関心事だ。フロントシートを後ろ向きにして、ステアリングホイールを格納することもできる。
リンカーンのSUVコンセプトカー「スター」。
Lincoln
全席がレッグレスト付きのワイドなリクライニングシートで、後部座席の間にはスパークリングワインを冷蔵するガラスケースが設置されている。またレッグレストに内蔵されている引き出しは、乗客のスリッパを入れるためのもの。コンピューターが運転しているのに靴を脱がないことがあるだろうか。
リンカーンのSUVコンセプトカー「スター」。
Lincoln
リンカーンによると、3つの 「元気回復ムード(ejuvenation moods)」という機能が搭載され、香り、音声、ライトを使用し、時間帯に応じてリラックスできる環境を作り出すという。「コースタル・モーニング(Coastal Morning)は、穏やかな海の音、潮の香り、柔らかく暖かい太陽の光をダイナミックな照明で表現し、日の出のビーチを散策しているような気分を再現する」といい、「イブニング・チル(Evening Chill)では、落ち着いた夜のサウンドと夜空の映像、常緑樹の香りを使って夕暮れを再現する」という。
リンカーンのSUVコンセプトカー「スター」。
Lincoln
「スター」は、収納にも工夫を凝らしている。このSUVのフロントトランクは、かさばるエンジンがスペースを占有することがないため、巨大な引き出しのようになっている。
ベンチシートを折りたたんで後部トランクを広げることができるので、この自動運転のリンカーンでテールゲートパーティ(駐車場などに車を停めリアゲートを開いて行うパーティ)を参加する時などに便利だ。
リンカーンのSUVコンセプトカー「スター」。
Lincoln
かつてリンカーンはアメリカで最も売れていた高級自動車ブランドだったが、消費者がドイツや日本の競合他社を好むようになったため、ここ数十年で売り上げは減少している。電気自動車の人気が高まる中、バッテリー駆動車の選択肢を安定的に提供できれば、リンカーンはかつての栄光を取り戻せるかもしれない。リンカーンは2025年までに売り上げの少なくとも50%を電気自動車にするという計画を立てている。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)