BUSINESS INSIDER JAPAN ビジネス インサイダー ジャパン

最高のチームで、変革に挑む。

最高のチームで、変革に挑む。

[ BUSINESS INSIDER JAPAN Special Feature ]

最高のチームで、変革に挑む。

2度の育休を経験した女性管理職に聞く、アクセンチュアが考える「リーダーの要件」

Sponsored

写真

画像:MASHING UP

この数年、ダイバーシティやインクルージョンの概念が企業にも随分と浸透した。不確実性の高い現代においては、旧来的な組織のままではビジネスが立ち行かなくなるという事実を、多くの企業が痛感したためだ。しかし、多様性や包括性に富む組織をつくるには、何から取り組めばよいのか糸口を見いだせない企業も多い。

2022年3月24日、MASHING UP SUMMIT 2022で行われたセッション「革新を生み続けるチームとは。最先端のI&Dが見据える未来の組織像」では、企業事例をもとに、これからの時代に求められるインクルーシブな組織づくりについて話し合った。

登壇したのは、さまざまな企業のデジタル変革を支援し急成長を続ける一方で、I&Dの分野でも先駆的な取り組みを推進している総合コンサルティング企業アクセンチュアの、ビジネス コンサルティング本部 人材・組織 プラクティス 日本統括 マネジング・ディレクター 植野蘭子さん。アジア最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」のオーガナイザーでもある&Co.代表取締役の横石崇さんが聞き手をつとめた。

3つのフェーズでジェンダー・ダイバーシティを推進

写真

アクセンチュアの植野蘭子さん。2006年に、大手日系メーカーからアクセンチュアに転職。プライベートでは2人の子どもを育てるワーキングマザーで、アクセンチュアで2度の育休・産休を経験している。

同社がI&Dの推進を始めたのは、2006年。所属や役職を越えた社内横断組織として、「Japan Women’s Initiatives(現:Gender Diversity Committee)」を発足した。取り組みを進めていく中で変化していく状況に柔軟に対応し、その時々の課題に向き合ってきた。

まず、フェーズ1にあたる2006年当初は女性社員比率が低く、育児休業を取得する社員もごく少数だったため、女性特有の課題に向き合い各種制度を整備。女性が働き続けられる環境が整った2009年からは、フェーズ2として女性管理職を増やすことに注力。管理職を目指す女性社員の成長機会を支援するスポンサーシッププログラムや研修などを充実させていった。

フェーズ3である2013年以降は、性別問わず男女共通の課題に向き合うことに取り組むことで、ジェンダー・ダイバーシティを推進している。

植野さんがアクセンチュアに中途入社したのは、フェーズ1である2006年。入社2~3年目は仕事が楽しく、「性別を意識することなく、自信を持って仕事に没頭していた。I&Dと言われてもピンとこなかった」というが、その後第一子を妊娠した時、キャリアに対するモチベーションが大きく下がったという。

「このままキャリアを続けられないのではないかと思い悩んだ時、I&Dの活動が非常にありがたく感じた」という植野さんは、I&Dの制度を活用することで精神的にも乗り越えられたと話す。その後、2度目の育児休業を経てシニア・マネジャーに昇進した直後に、自ら社内のI&D推進のプロジェクトマネジャーに志願しI&Dの施策プランニングに関わった。

「当時は育児休業の前後で辞める方が多かったのですが、育児休業の復帰直後だけでなく、復帰後1つ目のプロジェクトに配属されてから辞めてしまうパターンが散見されたこと。さらに、育休に入る前に管理職に昇進していた社員は仕事を続ける割合が高いことなどが、データから見えてきました。私自身も育休に入る前に昇進しており、その体験やデータを踏まえて、社内のI&D施策を提案しました」

これには、「自らI&Dの旗振り役になったのですね。I&Dを自分ごと化できている」と横石さん。

I&Dは組織に革新をもたらすための手段

写真

&Co.代表取締役の横石崇さん。『自己紹介2.0』(KADOKAWA)、『これからの僕らの働き方』(早川書房)など、働き方に関する著書の執筆も手がける。

そもそも、アクセンチュアがI&Dに重きを置く理由とは何か。

弊社のビジネスにおいて、人が唯一かつ最も重要な資産だからです。人材の重要性をマネジメントメンバー全員が共通認識として持っている。優秀な人材に、いきいきと働き続けてもらうことで、組織も成長を続けることができると考えています」(植野さん)

横石さんが「I&Dは、新しい組織能力を獲得する一つの手段なのですね」と語ると、植野さんは、次の成果事例を示してくれた。

2013年、新たにデジタルビジネス推進をミッションとする“Accenture Digital”という組織が立ち上がった際、性別に限らず、ケイパビリティやバックグラウンドの多様性が求められました。それまでコンサルタントばかりだった会社に、デザイナーやデータサイエンティストといった異能な人材が集まったわけですが、そうした人材をうまくインクルージョンしながらビジネスの成果につなげることができたのは、それまでに継続してきたI&D活動の賜物だと思っています

カルチャーの醸成を後押しする、2つのフレームワーク

image

画像提供:アクセンチュア

先進的な取り組みを数多く進めるアクセンチュアだが、その中で課題を感じるのが「カルチャーの醸成」だという。

「カルチャーを変えていくことに終わりはありません。一度できた良いカルチャーも、何もしなければ風化・劣化していってしまう。少しでも気を抜くと、元の状況に戻ってしまうということもあります。社員を常にエンカレッジし続けることや、取り組みを継続することには、ずっと力を入れ続けなければならないと思っています」

そのためにアクセンチュアは、2つのフレームワークを設けている

1つ目が、4Rスポンサーシッププログラムというキャリア支援。4つのR(RIGHT SPONSOR, RIGHT ROLE, RIGHT SKILL, RIGHT CLIENT)の観点で、管理職候補の社員が十分に成長機会を得ているかをモニタリングするものだ。成長機会が不足していると認識された場合は、新たな配属やスポンサーの変更を検討するなどのアクションが迅速にとられる。

そして2つ目が、アクセンチュアが新たな時代のリーダーに必要だと定義する8つ(信頼性、EQ、エグゼクティブプレゼンス、影響力、強いネットワーク、グローバルプレゼンス、Agility、交渉力)の要素を身につけるための育成プログラムだ。

「もともとは女性の管理職を増やすためにできたプログラムでしたが、現在は性別を問いません。すべての社員がキャリア構築できるカルチャーをつくるため、まだまだ努力は必要だと考えています」

社内のDXは進んでも、カルチャートランスフォーメーションは進まないという企業は多い。基盤・制度が整い、従業員の感情や意識も変わらないとうまくかみ合わないのですが、こうしたプログラムがあるのは心強いですね」と、横石さんも納得。

インクルージョンの第一歩は、傾聴と理解から

写真

撮影/中山実華

さらに植野さんは上記の要素に加え、今の時代のリーダーに求められるスキルとして「聞く力」を挙げた。

これからは、より『聞く力』、つまり相手への理解力が重要になってくると思います。社内で女性管理職と話す際に、聞く力に長けている人が非常に多いことに気づきます。『管理職としての自信が持てない』という方も多いですが、各種のプログラムを通して改めて自分が持つスキルや強みを認識し、自信をつけて欲しい」

横石さんは「確かに、相手の話を聞かなければ、インクルージョンは実現できません。インクルージョンの対義語は、『排除・無視』なのだとしたら、聞く人がいることは大事ですね」と賛同した。

では、アクセンチュアはこれまでのI&Dの取り組み、そして今後の展望をどのように描いているのだろう。

「インクルージョンもダイバーシティも、一筋縄ではいかないチャレンジし甲斐がある課題。次のステージは、単に組織の中に多様な人材が増えるだけでなく、その一人ひとりが自分らしさを出せる環境やカルチャーを整えていくこと。

例えば、女性管理職の数は増えても男性の上司のやり方に黙って合わせたり、男性管理職と同じようにやろうとして、悩んでいる人も多いと思います。多様な人材の一人ひとりが、変えるべきことがあると思ったら声をあげる、自分自身のスタイルを大事にする。それがI&Dをさらに推し進めるための大事なポイント

社内の制度やサポートなどのハード、そしてカルチャーや社員の意識などのソフトの両面からI&Dを推進するアクセンチュアの生きた事例が多数共有された。インクルーシブなチームづくりにおいて、管理職としても一チームメンバーとしても、すぐに取り入れられる視点に富んだセッションだった。

写真

MASHING UP SUMMIT 2022

革新を生み続けるチームとは。最先端のI&Dが見据える未来の組織像

植野蘭子(アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 人材・組織 プラクティス 日本統括 マネジング・ディレクター)、横石崇(&Co. 代表取締役)

アクセンチュア


MASHING UP”より転載(2022年4月25日公開)