少なくとも、子ども1人が死亡し、17人が肝移植が必要だ。
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- 謎の肝炎が欧米で拡大しており、少なくとも子ども1人が死亡したとWHOが発表した。
- 専門家は、この肝炎の原因はまだ明らかではないとしつつも、アデノウイルスによるものである可能性が高いと見ている。
- 共通する症状は、下痢、腹痛、嘔吐だ。
原因不明の肝炎が欧米で流行しており、少なくとも子ども1人が死亡した。
2022年4月23日、世界保健機関(WHO)は、4月上旬以降に169件の症例を確認し、「少なくとも子ども1人の死亡が報告されている」と発表した。
(編注:日本でも厚生労働省が25日に、同様の症例を国内で初めて確認したと発表した)
これまでのところ、この肝炎は欧州11カ国とアメリカの2つの州で確認されている。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)はInsiderへのメールで、最初の死亡例はアメリカの事例ではないが、CDCがこの病気に関する勧告を行ってから、アメリカでの症例の報告を追加で受けており、現在確認中であると明かした。
この肝炎の原因はまだ明らかになっていないが、専門家はアデノウイルス41と呼ばれるウイルスが子どもの肝炎のきっかけになっているのではないかと疑っている。患者のうち、生後1カ月から16歳までの17人は、肝移植が必要だという。
アデノウイルス41による肝炎は一般的に、健康で幼い子どもには感染しないため、今回の流行は奇妙だ。WHOはアデノウイルス感染が肝炎の原因であることに関して「可能性のある仮説」としており、病原体については調査中だと述べている。アデノウイルスは少なくとも74人の患者から確認され、少なくとも19人は新型コロナウイルスとアデノウイルスの両方に感染していたと、WHOは発表した。
これまでのところ、少なくとも169人の患者が報告されており、17人は肝移植の必要がある。
World Health Organization
これまでのところ、アメリカの患者11人に加えて、以下のようにヨーロッパで150人以上の患者が確認されている。
- イギリス 114人
- スペイン 13人
- イスラエル 12人
- デンマーク 6人
- アイルランド 5人未満
- オランダ 4人
- イタリア 4人
- ノルウェー 2人
- フランス 2人
- ルーマニア 1人
- ベルギー 1人
現在まで報告されている患者の大半がいるイギリスでは最近、地域社会でアデノウイルスの増加が確認されており、これはオランダでも同様だ。
共通の症状には、腹痛、下痢、嘔吐がある。アデノウイルス41は、新型コロナウイルスと同様に、近距離での濃厚な接触によって感染が広がる。
[原文:A mysterious liver disease infecting kids across Europe and the US has now killed at least 1 child]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)