Meta Store1号店でのマーク・ザッカーバーグ。
Facebook/Meta
- フェイスブックから社名変更したMetaは、オンラインショップと小売店をオープンする。
- 「Meta Store」と名付けられたこの実店舗では、ヘッドセットを販売し、メタバースとつながるデモを提供する。
- 今後の同社の小売業の計画は不明だが、店舗責任者が就任してプロジェクトを統括している。
Meta(メタ、旧Facebook)が、物理的な小売り事業に初めて乗り出すことになった。2022年5月に販売拠点を開設し、潜在的な顧客にVRヘッドセットとスマートグラスを直接提供して体験してもらうことで、同社のメタバース(metaverse)構想に欠かせない製品の関心を高めようとしている。
「Meta Store(メタストア)」と名付けられたこの店舗は、2022年5月9日にサンフランシスコの南約15マイルにあるカリフォルニア州のバーリンゲームにオープンする予定だ。VRヘッドセットの「クエスト(Quest)」や、短い動画やインスタグラム(Instagram)のストーリーズを撮影して投稿できるレイバン(Ray-Ban)のスマートグラス「レイバン・ストーリーズ(Ray-Ban Stories)」とともに、ビデオ通話デバイスmの「ポータル(Portal)」も販売される。同社は2021年、社名をMetaに変更したが、これは同社が「メタバース」の構築に重点を移すハイリスクの転換を反映させたものだった。メタバースとは、没入型の超リアルなデジタル世界であり、参加するためにはVRハードウェアが必要だと考えられている。
メタストア1号店の店内。
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Metaの創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)は、「バーチャルリアリティを理解する最良の方法は、それを体験することだ」と声明で述べている。ザッカーバーグによると、Meta Storeはアプリや製品の「デモ」ができること 、 「メタバースを構築していく中で何が起こるのかという感覚」 を生み出すことに注力しているという。
2022年4月23日、彼はFacebookに店舗でヘッドセットを装着している写真をアップし、彼がどこにいるのか当ててもらうという投稿をした。
エントランスから見た Meta Storeの1号店。
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他の大手テック企業も、程度の差こそあれ、小売業に進出している。アップル(Apple)は2001年に直営の小売事業を開始し、現在では全世界で500以上の店舗を展開している。アップルは高級小売業のリーダーとみなされており、2021年には新型コロナウイルスのパンデミックの最中にもかかわらず、さらに出店する予定だと発表した。
一方、マイクロソフト(Microsoft)は2020年にすべての小売店舗を完全に閉鎖した。グーグル(Google)は、消費者向けに「Pixel」や「Nest」などのデバイスなどのハードウエアを展示するための実店舗に出店している。アマゾン(Amazon)は近年、伝統的な小売業に力を入れているが、これまでのところ苦戦が続いている。
Meta Store1号店のヘッドセット「Quest」のデモステージとスクリーン。
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新しいメタストアの大部分は、潜在的な顧客に同社が設定した環境で実際にハードウェアを試してもらう場所が占めている。店内にはヘッドセットを装着して自由に動き回れる大きなステージがあり、床から天井までのスクリーンに囲まれ、ヘッドセットの装着者が見ているものを、その場にいる人もそのまま見られるようになっている。
新しいストアに加え、Mrtaのウェブサイトでは、ショッピングタブを設けてオンライン販売を開始する。現在、同社はベストバイ(Best Buy)、ターゲット(Target)、アマゾンといったサードパーティの小売業者を通じてのみヘッドセットを販売している。2021年末のニューヨーク・タイムズは、メタが小売戦略を展開することを報じていた。
ヘッドセット「クエスト」や「メタポータル」が並ぶメタストア1号店。
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Metaによると、Meta Storeの責任者には、急成長しているMetaの直販活動を主導してきたマーティン・ジラード(Martin Gillard)が就任したという。広報担当者は、今後何店舗オープンするかについてはコメントしなかったが、ジラードの役割は、何らかの拡大計画を示唆している。
「Mera Storeは、我々の製品が将来メタバースへの入り口となりうるということを、人々に伝えるための場所だ」とジラードは話す。
「我々は店でメタバース自体を販売しているわけではないが、我々の製品がメタバースとつながるのにどんな風に役立つのかについて少し詳しくなってから、店を後にしてほしいと思っている」
スマートグラス「レイバン ストーリーズ」とヘッドセット「Quest」が並ぶメタストア1号店。
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Meta Store1号店はMetaの敷地内にあるため、週末は営業しない。店舗は通常、人通りの多い場所に置かれ、小売業のマーケティング戦略上、重要な位置を占めるものだが、現段階においてはユーザーから迅速に学べる場所にしたいとジラードは述べている。
「我々は実験の機会を増やし、カスタマーエクスペリエンスを開発の中核に据えることができる。ここで我々が学ぶことは、今後の小売戦略を決定するために役立つだろう」
Meta Store1号店の「Portal」のデモエリア。
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(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)