世界初の海上都市の完成予想図を公開…海面上昇や洪水などの気候変動対策として有効

海上都市の完成予想図。各プラットフォームは橋で連結される。

海上都市の完成予想図。各プラットフォームは橋で連結される。

OCEANIX/BIG-Bjarke Ingels Group

  • 韓国の釜山市は国連が支援する「世界初の海上都市」の受け入れに合意しており、現在プロジェクトが進行中だ。
  • この都市は、相互に連結されたプラットフォームで構成され、電力と水を自給自足する。
  • 海上都市の完成予想図が、2022年4月に公開された。

釜山市は人口約340万人の韓国第二の都市だ

高層ビルが立ち並ぶ釜山市。

高層ビルが立ち並ぶ釜山市。

Nattanai Chimjanon/EyeEm/Getty Images

Source: Busan Metropolitan City


釜山市は海事産業の中心地であり、その港は世界で最も混雑する港の10位以内にランクインしている。また、海面上昇の脅威にさらされている多くの沿岸都市のひとつでもある

釜山は海事産業が盛んな都市だ。

釜山は海事産業が盛んな都市だ。

Insung Jeon/Getty Images

Source: World Shipping Council


2021年11月、釜山市当局は、設計担当のオセアニックス(OCEANIX)と国連人間居住計画(通称:国連ハビタット)と共同で、世界初の「海上都市」を建設することに合意した

沿岸都市である釜山市。

沿岸都市である釜山市。

Insung Jeon/Getty Images

Source: Insider


2022年4月26日、オセアニックスは、釜山の北港に建設される海上都市のプロトタイプの完成予想図を公開した

釜山市海上都市の完成予想図。

釜山市海上都市の完成予想図。

OCEANIX/BIG-Bjarke Ingels Group


以下の画像では、相互に連結されたプラットフォーム上に、都市が徐々に建設され…

海上都市の完成予想図。

海上都市の完成予想図。

OCEANIX/BIG-Bjarke Ingels Group


…約6ヘクタールの面積にまで広がっていく様子が示されている。オセアニックスによると、約1万2000人を収容できるという

海上都市の完成予想図。

海上都市の完成予想図。

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海上都市は、居住、研究、訪問者の宿泊のためのエリアに分けられる

海上都市の建物の完成予想図。

海上都市の建物の完成予想図。

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建物は低層で、テラスがあり、豊富な屋外空間へもアクセスしやすい。温室で都市型農業も行われる予定だ

海上都市のストリートの完成予想図。

海上都市のストリートの完成予想図。

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各プラットフォームの面積は3〜4ヘクタールで、橋で連結される

海上都市の完成予想図。建物はソーラーパネルで覆われる。

海上都市の完成予想図。建物はソーラーパネルで覆われる。

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オセアニックスによると、このプロジェクトは「韓国の社会的、政治的、環境的、経済的側面を考慮に入れている」という。「これは、港湾都市ならではの文化、芸術、交易が盛んな釜山の、古いものと新しいもののユニークな共存によってもたらされる」

海上都市の完成予想図。

海上都市の完成予想図。

OCEANIX/BIG-Bjarke Ingels Group


海上都市では、屋根や海面に設置されたソーラーパネルですべての電力をまかなう。廃棄物もゼロで、電気自動車のみ乗り入れることができ、水も自給自足する

海上都市の完成予想図。

海上都市の完成予想図。

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オセアニックスの共同設立者は、この都市の建設費用は約2億ドル(約255億円)で、早ければ2025年までに最初の部分が完成するだろうと、以前Insiderに語っていた。オセアニックスは、2022年4月26日にニューヨークで開催された「第2回持続可能な水上都市に関する国連ラウンドテーブル」に先立ち、完成予想図を公開した

海上都市の完成予想図。

海上都市の完成予想図。

OCEANIX/BIG-Bjarke Ingels Group

Source: Insider


2021年11月、サウジアラビアは紅海に浮かぶ8面体の海上都市を建設する計画を発表した。「オクサゴン(Oxagon)」と名付けられ「世界初の完全自動化港湾と総合物流ハブの拠点になる」という

オクサゴンの完成予想図。

オクサゴンの完成予想図。

Neom

Source: Insider


海面上昇のスピードが加速している。国連によると、世界の海面は1993年から2002年の間に年平均0.2センチ上昇したのに対し、2013年から2021年の間には年平均0.4センチ上昇したという

フロリダ州の海岸線は、特に海面上昇の影響を受けやすい。

フロリダ州の海岸線は、特に海面上昇の影響を受けやすい。

Ashley Cooper/Getty Images

Source: United Nations Framework Convention on Climate Change


国連は、2022年4月26日のラウンドテーブルで、海上都市は「深刻な住宅不足に直面し、海面上昇と気候変動に適応しながら、海に進出する持続可能な方法を探している沿岸都市にとって、新しい土地を作り出す革新的な方法」だと述べた

海上都市の完成予想図。

海上都市の完成予想図。

OCEANIX/BIG-Bjarke Ingels Group

Source: UN-Habitat


「海上都市は浮力があるため、洪水に強いという特徴があり、気候変動への対応策になる」と国連は述べている

海上都市の完成予想図。

海上都市の完成予想図。

OCEANIX/BIG-Bjarke Ingels Group


さらに「海上都市は、白紙の状態から気候変動に左右されない都市を設計するときの候補になる。災害救助やその他の人道的緊急事態にも理想的だ。曳航して必要な地域に迅速に展開し、住宅、医療施設、エネルギー源などの重要なインフラを運ぶことができる」とも述べている

海上都市の完成予想図。

海上都市の完成予想図。

OCEANIX/BIG-Bjarke Ingels Group

[原文:Take a look at plans for the 'world's first floating city' in South Korea, designed to adapt to rising sea levels

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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