ウクライナのデミディウで。2022年4月6日。
Photo by Andre Luis Alves/Anadolu Agency via Getty Images
- ウクライナ軍は、キーウへのロシアの攻撃を阻止するために、意図的にデミディウ村を水没させた。
- 開戦直後に解き放たれたダムの水によって、ロシアの戦車は首都キーウへ前進することができなかった。
- 村の住民はニューヨーク・タイムズに、プーチンの軍隊からキーウを救うために喜んで犠牲になったと語っている。
ロシアの戦車がキーウに到達するのを阻止するために、意図的にデミディウ村を水浸しにしたことを住民は後悔していないと、2022年4月27日にニューヨーク・タイムズが報じた。
開戦からわずか1日後の2月25日、ウクライナ軍は近くのダムから放水し、キーウの北にあるデミディウ村とその周辺の田園地帯に洪水を起こした、とタイムズは報じている。
3月の衛星画像では、キエフの北西にあるイルピン川流域で洪水が起きていることが確認された。しかし、ウクライナ側はこの犠牲的な防衛行動の讃えたが、今まで誰が、なぜ洪水を起こしたのかは明らかにしなかった。
それはキーウへの戦車の進軍を防ぎ、現地のウクライナ軍に防衛準備の時間を与えるためだ。洪水は接近するロシア軍輸送隊の前に湖を作り、部隊の前進を妨げたという。
また、洪水によってデミディウ村は戦争の最前線になることもなく、キーウ近郊のブチャのような民間人の大量殺戮を回避することができたと言われている。
地元住民のアントニーナ・コストゥチェンコ(Antonina Kostuchenko)さんは、ニューヨーク・タイムズに「誰もがそれを理解しているし、誰も一瞬たりとも後悔はしていない」と語った。
「我々はキエフを救った!」
2カ月以上経った今も、デミディウには水が残っているが、キーウはまだウクライナの手に残っている。
ロシア軍は首都の占領に失敗し、3月下旬にはこの地域から撤退、東部のドンバス地方での新たな攻勢に力を注いでいる。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)