女性の職場とハラスメントに関する最新調査では、マタハラより「アルハラ」が上回る結果に(写真はイメージです)。
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お茶出しを強要、恋人の有無を尋ねられる、妊娠したら同僚の前で謝罪、飲み会に参加しないと人事評価に影響が出る……。
女性が経験した職場のハラスメントに関する最新の調査で明らかになったのは、いまだ根絶が程遠い実態だ。
上司からのハラスメントは8割超
出典:女の転職type
調査したのは、正社員を対象とした女性の転職サイト「女の転職type」を運営するキャリアデザインセンターだ。2022年3月から4月にかけて、同サイトの会員677人を対象にWebアンケートを実施した。以下にその結果を紹介する(小数点以下切り捨て)。
職場でハラスメントを感じたことが「ない」と回答した女性は23%。
一方、経験したハラスメントの中で最も多かったのは、パワハラで58%。その他にも、セクハラ(36%)、モラハラ(モラルハラスメント:35%)、アルハラ(アルコールハラスメント:9%)、マタハラ(7%)などが挙げられた(複数回答可)。
出典:女の転職type
ハラスメントをされた相手として最も多かったのは上司で85%。次いで同僚(39%)、社長(14%)、取引先(5%)という結果に。人事(5%)という回答もあり、ハラスメント被害に対応する担当部署が加害者になっている実態も浮かび上がった(複数回答可)。
アルハラの被害が多数
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自由記述には、女性たちの悲痛な声が並ぶ。
「女性一人だったため、電話対応とお茶だしを強要された。営業担当で他の方の対応をしているときでも、私が空くまで来客にお茶出しをしない。
就業時間後の取引先との接待では『お酌しろ』と強要された」(40代/介護・医療・福祉系/東京)
「新入社員研修で恋人がいるか全員立って回答させられ、いない場合はなぜいないと思うか答えさせられた」(20代/企画・マーケティング系/奈良)
「基本的に全員を『お前』と呼び、大声で下ネタは当たり前」(30代/事務・経理・人事系/愛知)
「上司に妊娠を告げた際、責任感がないと責められ、同僚全員の前で謝罪させられた」(30代/コンサルタント・専門職系/東京)
「あまりお酒が飲めないのにしつこく『飲んでないね、飲みなよ』と強要された」(30代/事務・経理・人事系/東京)
「人事評価で協調性がないと言われ、理由が飲み会に参加しないという理由だった。子どもがいて出席できなかったのに」(50代/事務・経理・人事系/東京)
相談しても改善しない
出典:女の転職type
ハラスメントを経験した女性たちは、その後どうしたのか。誰にも相談していない人が30%いる一方で、同僚(37%)、上司(26%)、人事(8%)、社内の相談窓口(7%)、弁護士(1%)などに相談した人もいた(複数回答可)。
しかし、相談しても「状況は改善しなかった」人が81%と圧倒的多数を占める。
その結果、「退職した(予定)」が41%、「転職した(予定)」は26%など、仕事を諦めざるを得ないところまで追い込まれた人もいた。
ハラスメントをなくすために必要なこととしては「上司の理解、対応力」を求める声が最も多く68%だった。また、相談しやすい窓口の整備(63%)、経営層からの定期的なメッセージ発信(28%)なども挙がった(複数回答可)。
「上司」や「社長(経営層)」は加害者としても多くを占めたが、ハラスメント根絶のキーパーソンとしての役割を求められているのは明らかだ。
(文・竹下郁子)