BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
- BMWのアメリカ向け初の電動SUV、8万3200ドルのiXに試乗した。我々が試乗した車は9万6000ドルのものだった。
- iXの顔は奇妙に見えるが、快適でラグジュアリーなインテリアを体験すれば、そんなことは忘れさせてくれる。
- BMW iXは2022年初めにディーラーに到着している。
2022年型BMW iXのルックスについて、あなたは何と言うだろう。「出っ歯」だとか、「鼻の穴が開いている」、または「未来から来た目の細いビーバーロボット」とでも言うだろうか。
これらはすべて妥当な意見ではあるが、いずれにしても、BMWの新しい電動SUVは素晴らしいものだった。
BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
2020年末にBMW初のアメリカ市場向け電動SUVとして8万3200ドル(約1080万円)のこのモデルが発表されて以来、やはりその見た目が話題の中心となっている。フロントデザインを支配するような巨大なキドニーグリルに注目が集まっているのだ。
ここで言いたいのは、私は見た目がいいとか悪いとかそういう観念を捨て、数日iXに乗って、ありのままのiXを見てきたということだ。この車は驚くほど速く、驚くほどラグジュアリーで、行く先々で存在感を発揮する電動SUVだった。
BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
従来の価値観で見れば、iXは魅力的ではないかもしれないし、意見の分かれるところだろう。しかし確かなのは、この車には「存在感」があるということ。ドラマチックで大胆で、「私はBMW、私は高価、私はここにいる!」と声高に叫んでいるのである。
今回BMWに借りたBMW iX xDrive50は、スポーティなデザインを採用したスポーツ・パッケージ、アップグレードしたインテリア、そしてデスティネーション・フィーを含め、価格は約9万6000ドル(約1250万円)だ。
BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
iXのスタイリングには、好感の持てるところも多々ある。私はミラー、ドアのトリミング、グリルパネルなどに見られるゴールドのアクセントが気に入った。ドアハンドルにはボタンが付いた小さな溝があり流線型で、近未来的な雰囲気を醸し出している。ヘッドライトとテールライトはスリムでスマートなデザインだ。
また、BMWによると、キドニーグリルには、小さなへこみや小傷なら自己修復するポリウレタンコーティングを施しているという。これならこのグリルにいくら侮辱の言葉を投げつけられても大丈夫だ。
BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
iXの座席に着けば、その美しいインテリアで、賛否両論の外観を始めとする他の悩みもすべて忘れてしまうことだろう。車内に足を踏み入れれば、しなやかなレザーに包まれた豪華なパターンのシートが目に飛び込んでくる。そこには周囲から遮断された安らぎの空間が広がっている。
すべてが驚くほどよくできていて、手触りも上質だ。すべてのノブやスイッチ、特にインフォテインメント・システムを操作する大きなクリスタルグラス製のダイヤルは頑丈で満足のいく使用感だ。
BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
デジタルメーターとタッチスクリーンは曲面ディスプレイを採用。ダッシュボード上の曲面パネルにスタイリッシュに配置されている。タッチスクリーンはスワイプやタップにすばやく反応する。センターコンソールはダッシュボードとつながっていないため、脚も当たらず、開放感のある室内空間を作り出している。
後部座席はまるで宮殿のようなぜいたくさだ。空調は独立し、フロアが完全にフラットになっているため足元が広い。かさばってしまう駆動系の部品を取り付けなくていいことはEVの長所だろう。もしあなたが荷室を重視するならば、この車はガソリン車のX5とほぼ同じサイズであるにも関わらず、より広いスペース確保している。
他にもiXには多くの良い点があるので、いくつかを挙げてみよう。プレミアムパッケージには、マッサージ機能付き運転席シートが追加される。パノラマ・ガラス・サンルーフはボタンを押すだけで透明から不透明に切り替えることができる。センターコンソールの端には、スマートフォンを立てかけるためのよく考えられた細い小さな溝があり、もう座席間でスマートフォンを見失うことはないだろう。
BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
この車が一度走り出せば、その快適性はとどまるところを知らない。iXは静かに路面を滑るように走り、段差も難なく吸収する。聞こえるのは、タイヤが路面に接するかすかな音だけ。(作曲家のハンス・ジマーが手がけた近未来的な走行サウンドも好まれているようだが、私は気になったのでオフにした)。
BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
iXのマイルドな走りが、退屈なドライビング体験だと誤解しないでほしい。スロットルを少し強く踏めば、全輪駆動のiXは、516馬力と最大764Nmのトルクで可能な限りの力を発揮し、運転する人をシートに押しつけながら前へと突き進む。BMWは、時速60マイル(約96.5km/h)に4秒強で到達すると主張している。
BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
iXは高速道路の長時間走行でも十分な航続距離を提供する。アメリカ環境保護庁(EPA)によると、1回の充電で最大324マイル(約521km)、オプションの21インチのホイール装着時は305マイル(490km)を走行することが可能だという。ただその数字は、あなたがアクセルを踏み込めば踏み込むほど急速に短くなることを忘れないでほしい。おそらくあなたは誘惑に負けてしまうだろうが。
確かに、BMW iXの(意見の分かれる)フロントの造作は万人向けではないし、他にも不完全な点がある。私なら六角形のハンドルを普通の円形のハンドルに交換するだろうし、大型車であるのにフロントにトランクがないのも残念な感じもする。
BMW iX xDrive50。
Tim Levin/Insider
しかしそのどれもが、この素晴らしいiXから多くを奪うことではない。もしあなたが8万ドル(約1040万円)または10万ドル(約1300万円)の資金を偶然に持ち合わせているのならば、私はこの車を強く勧めることができる。
[原文:The $96,000 electric BMW iX's luxurious interior will make you forget all about its weird looks]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)