「メタバース集中部屋」を無線キーボードで身軽にする…Quest 2とアップルMagic Keyboard、Magic Trackpad

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撮影:伊藤有

僕がOculus Quest 2(Meta Quest2)のアプリImmersed(イマースド)をつかったメタバース集中部屋をよく使っているという話は過去何度か書いてきた。

外部ディスプレイを用意しなくても、大画面で2枚以上のディスプレイを使ったり、遠方まで出かけなくてもまったく別の部屋や環境にうつったような気分で作業ができる、というのがそのメリットだ(詳しくは過去記事を参照)。

今回は、その発展系を試してみた話をしてみる。

僕のメインの仕事環境はM1版Macbook Airだ。この環境でImmersedを使うと、「ノートPCを開きながらVRゴーグルを被って、画面を見ずに仕事をしている」という、なかなかシュールな絵になる。

Immersedは、PC(Mac)の画面をリモートデスクトップ的にQuest 2に飛ばして表示させるアプリだ。

だから、技術的には、無線キーボードなどの入力デバイスを用意できれば、ノートPCを開いて画面に向き合う必要はない……ということになる。

ちょうど手元に、別の記事で試用していた新型Magic Keyboard(Touch ID搭載、10キー付き、税込2万800円)とMagic Trackpad(税込1万5800円)があったので、これを使って「Macの操作感を維持しながら、Quest2とキーボードだけで仕事はできるか」を試してみた。

なぜMagic Keyboardを選んだのか

Macic KeyboardとTrackPad

新型Magic Keyboard(Touch ID搭載、10キー付き、税込2万800円)と、Magic Trackpad(税込1万5800円)。質感は高いが、この手のデバイスとしては比較的高価な部類に入る。2つとも、3月に追加された新色(ブラック)と、のモデルだ。

撮影:伊藤有

入力デバイスは個人の好みや慣れがとても大きいカテゴリーだ。

アップルが近年のMacBook Pro/Airシリーズに採用している薄型キーボードは色々な評価があるが、僕自身はかなり気に入って長年使っている。

特にノート型Macシリーズの特徴の大きなトラックパッドは、個人的にはキーボード以上に重要だ(まったく個人的なこだわりなのだが、キーボードから手を離すと集中力が途切れるので、マウスをできるだけ使わないようにしている)。

無心で使えるという意味で、この環境はなるべく変えたくない。

欲を言えば、レノボの「ThinkPad トラックポイント・キーボード」のアップル版のような製品があれば言うことなしだが、そんな都合のよい製品はまだない。

ということで、Magic KeyboardとMagic Trackpadは、これらのノート型Macの使い勝手をかなり近いレベルで再現してくれる。

Magic TrackPad

本当は、2枚目の写真と同じようにノート型Macと同じ配置でトラックパッドを使いたいが、高さの関係で誤反応しやすい。結果、アップルストアでのデモのように横に並べて使うことに。

撮影:伊藤有

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新型のMagic Keyboardに、このTouch ID機能が入ったことは大きい。特にデスクトップMacと組み合わせて使うときや、遠隔操作時にも決済の認証が指先ひとつでできる。

撮影:伊藤有

Quest 2と無線キーボードで遊ぶ

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Immersed使用中の様子(再掲)。浜辺の360度写真の空間に、複数画面を表示させている。

筆者によるスクリーンショット

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撮影:伊藤有

これで、理論的にはBluetooth(キーボード類)とWi-Fi(Quest 2)が届く範囲ならどこでもVR集中部屋(Immersed)を広げられるようになった。

仕事部屋だけじゃなく、テラスみたいな場所でもいいし、別の部屋に移動して使っても良い。

さっそく、試しに、2フロア違う部屋でImmersedを起動してみた。

Wi-Fi接続はまったく問題なし。Immersed上で読み取れるレイテンシー(遅延)は10ミリ秒以下という水準で、目の前にMacを置いて使う場合とまったく変わりがない。

キーボードの入力も問題ない。木造家屋ということもあり、2フロア程度の距離なら、Bluetoothの電波も問題なく「接続はされる」ようだ(後述)。

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Bluetoothは床・天井を2回くぐり抜けてくるため、上のフロアでは接続性がやや厳しくなるようだ。

作図:伊藤有

一方、やや問題があったのはMagic Trackpadの接続だ。距離のためか、Magic Trackpadの固有の問題か、操作していて遅延をやや感じる。

接続自体はできているが、例えばMagic Trackpadで指を滑らせた1-2秒後にカーソルが動くこともあれば、いつもとまったく変わらず操作できることもある。接続状況にムラがあるような印象だ。

マウスなどの入力デバイスは遅延にかなり繊細で、ちょっとした遅延でも狙った場所にカーソルが動かしづらくなってしまう。

ということで、母艦から2フロア離れてMagic Trackpadを実用するのは難しい、ということがわかった。

場所を変えて、次は1フロア上の部屋(天井・床を隔てた真上)に移動してみた。こちらの部屋では、すべてまったく問題なく使用できた。

平屋の部屋に置き換えて考えると、隣の部屋くらいの距離なら、キーボード類とQuest 2を持ち運びながら自由な場所でマルチ画面環境を持ち歩けるということになる。


テスト結果とBluetoothの弱さを知っている人がみれば「ま、そうなるよね」という結果ではあるのだが、実験することに意味があるのだ。

ということで、この原稿は1フロア上の部屋で書き上げた。目の前にPCがなくても画面の表示遅延はないし、1フロア上の距離ならMagic Trackpadも快適に使えている。

PCがないところでQuest2とキーボードだけで仕事をする感覚は、数年分の未来が手元にやってきたような雰囲気があって、なかなか面白い体験だ。

最後に、別部屋に母艦を置いて使う際に必須の設定を1つ。

母艦(今回はMac)側の詳細設定で「Enable Audio」を有効にしておこう。

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母艦側にインストールするImmersedのコンパニオンアプリで、オーディオをQuest 2に飛ばす設定にしておくと、サウンドも問題なく使える。遅延は動画を見ていても違和感を感じない水準で実用的だ。

撮影:伊藤有

この設定をしておくことで、母艦で鳴っている全ての音が、頭に被っているQuest 2のスピーカーから鳴るようになる。

(文・伊藤有)

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