Z世代とミレニアル世代の雇用を確保するためには、リモートワークへの柔軟な対応がますます不可欠になっている。18歳から24歳の回答者のうち、オフィスで仕事をしなければならなくなった場合、「退職する」または「退職を検討する」と回答した人の割合は71%にも上っている。
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- 「ズーム疲れ」がよく話題になっているが、ほとんどの人は自分のテレワークの習慣に満足している。
- 実際、多くの人は、企業にオフィスへの復帰を求められた場合、新しい仕事を探す、もしくは探すことを検討するという。
- 特に若い世代は、就職活動でリモートワークができることを優先している。
2年前、「ズーム疲れ(Zoom fatigue)」という言葉が一般的に使われるようになった時、リモートワークに対する我々の耐性には限界があると思われていた。だが最近になっても、多くの人が在宅勤務のことを気に入っているようだ。
2022年5月にピュー・リサーチセンター(Pew Research Center)が発表した調査結果によると、ビデオ会議を利用している働く人の4分の3近くが、ビデオ通話に費やす時間に問題はないと回答している。また在宅勤務が可能なアメリカ人の10人に6人は、実際にすべてあるいはほとんどを在宅勤務にしているが、2022年に入ってからの同センターのデータでは在宅勤務者の数は減少している。
パンデミックが3年目に入り、アメリカの大半の地域で新型コロナウイルスの感染者が増加する中で、労働者の希望と雇用主との要求が対立している。新型コロナウイルスへの感染の恐れや、育児の選択肢の少なさに対応する、柔軟性のあるリモートワークを求める声が大きくなっていることが、この1年アメリカの「大退職」の大きなな要因となっているのだ。
多くの求職者にとって、リモートワークは就職する際の決め手にさえなっている。3万2000人を対象に実施した最近のADPの調査によると、世界の労働者の3分の2(64%)が、雇用主がフルタイムでのオフィス勤務を望んだ場合、他の仕事を探すか、探すことを検討すると回答している。
Z世代とミレニアル世代の労働者を確保するためには、リモートワークへの柔軟性がますます不可欠になってきているということだ。ピューの調査では、オフィスに復帰しなければならなくなった場合、現在在宅勤務をしている18歳から24歳の回答者の71%が、退職するか退職を検討すると回答している。さらに、18歳から49歳の在宅勤務者の59%がZoomのようなツールを頻繁に使用していると回答したのに対し、50歳以上で同様の人は48%だったことから、若い労働者の方が多くの経験があることが分かる。
「毎日オフィスに通う仕事をしていたときは、それで完璧だと思っていた」と、過去2年間に2回転職した28歳の人事担当者、レズリー・ラバーバ(Lesley LaBarba)はInsiderに語っている。
「リモートワークを始めて2時間の通勤時間を取り戻した途端、どうしていいか分からないほど、自分の時間が増えてしまった」
雇用主と労働者の綱引き
アップル(Apple)やグーグル(Google)などの巨大テック企業は、2022年4月、ほとんどの社員にハイブリッドなスケジュールでオフィスに戻ることを求め始めた。一部の企業はキッチンカーを呼んだり、コンサートを開いたりしてアピールしている。しかし、多くの人にとって、「家にいること」は妥協できない要素になりつつあるのだ。
2022年2月、ピュー・リサーチセンターのアソシエイト・ディレクター、ジュリアナ・ホロウィッツ(Juliana Horowitz)はInsiderのマディソン・ホフ(Madison Hoff)に「在宅勤務が人々の役に立っていることが分かってきた」と話している。
「これはリモートワークへの移行が一気に進んだ2020年にも見て取れた。ほとんどの人が、自宅で仕事をするために必要なもの揃え、締め切りを守り、生産性を上げ続けることが簡単だと考えていることが分かったのだ」
そして、前出のラバーバは「若者が労働者の要求を形成することで、職場全体が変化するかもしれない」と述べている。
ラバーバは、「ベビーブーマー世代が市場から去り、Z世代が市場に入ってくるにつれ、時間を商品として見なすようになる」と話す。彼女は、「職場で台頭してくる若い世代は、過去の世代よりも、自分の時間を大切だと考えている」と説明している。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)