リークされた最高裁判所の判決が、ロー対ウェイドの判決が覆されることを示唆している。
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- アメリカの大企業13社が、2016年から合計1520万ドルを妊娠中絶に反対する政治団体に寄付していたことが、ある調査で明らかになった。
- アマゾン、ウォルマート、コカ・コーラ、ウォルグリーン、ウェルズ・ファーゴ銀行、ゼネラルモーターズが含まれている、とPopular Informationは伝えている。
- 5月2日に公開された漏洩したアメリカ連邦最高裁の意見書草案によると、ロー対ウェイド裁判の判決が覆る可能性がある。
Popular Informationによる調査で、アマゾン(Amazon)、ウォルマート(Walmart)、グーグル(Google)、コカ・コーラ(Coca-Cola)ら、アメリカの13企業が、合わせて1520万ドル(約19億8500万円)を妊娠中絶に反対する政治団体に寄付していることがわかった。
寄付先は、全国共和党上院選挙対策委員会(NRSC:National Republican Senatorial Committee)、共和党州指導部委員会(RSLC:Republican State Leadership Committee)、共和党知事協会(RGA:Republican Governors Association)で、いずれも中絶に反対しているとPopular Informationは述べている。
ポリティコ(Politico)が2022年5月2日(現地時間)に公開した、連邦最高裁判所の意見書草案を見ると判事らが妊娠中絶の権利を保証するロー対ウェイド裁判の判決を覆す可能性がある。もしそうなれば、中絶はアメリカの多くの州で違法になるだろう。
中絶手術を医療保険プログラムの対象に加える雇用主は増えている。だが、アマゾンなどは過去数年間、中絶に反対の立場である政治団体に寄付を行っていることをPopular Informationの分析が示している。
InsiderはNRSC、RSLC、RGAにコメントを求めたが、回答は得られていない。
アマゾンは2016年以来、中絶に反対する政治団体に 97万4718ドル(約1億2700万円)を寄付している。Popular Informationによると、そのうち78万9718ドル(約1億320万円)はRGA、11万ドル(約1400万円)はRSLC、7万5000ドル(約980万円)はNRSCへの寄付だ。
アマゾンは5月2日、中絶など疾患の治療ではない医療に対しても旅費を年間最大4000ドル(約52万円)まで負担すると発表した。
コカ・コーラは2016年以来、中絶に反対する政治団体に 262万4000ドル(約3億4300万円)寄付している。うち232万5000ドル(約3億390万円)はRGA、19万4000ドル(約2500万円)はRSLC、10万5000ドル(約1400万円)はNRSCへの寄付だ。
グーグルは2016年以来、中絶に反対の政治団体に52万5702ドル(約6900万円)寄付している。うち22万5702ドル(約3000万円)はRGA、19万5000ドル(約2500万円)はRSLC、10万5000ドルはNRSCへの寄付だ。
ウォルマート含むその他の企業は2016年以来、総額114万ドル(約1億5000万円)をこれらの3団体に寄付している。AT&Tは総額147万2827ドル(約1億9200万円)、ベライゾン(Verizon)は90万1150ドル(約1億1700万円)、CVSは138万ドル(約1億8000万円)を寄付した。また、ゼネラルモーターズ(General Motors)は240万5900ドル(約3億1400万円)、コムキャスト(Comcast)は186万9604ドル(約2億4400万円)、ウォルグリーン(Walgreens)は49万6700ドル(約6500万円)、ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)銀行は47万1800ドル(約6200万円)、T-Mobileは34万3400ドル(約4500万円)を寄付したことをPopular Informationの分析結果は示している。
ウォルマートはInsiderへのコメントで「我々はこの問題に関するロビー活動を行わない。我々の献金は、両党を支援し、我々の顧客と会員の時間と金銭の節約に役立つ小売の問題に焦点を当てている」と述べている。
Popular Informationはシティグループ(Citigroup)も68万5000ドル(約9000万円)をこうした団体に寄付したとしている。シティグループが3月に出した委任状説明書によると、アメリカ在住で中絶のために自分の州を出なければならない従業員の旅費を負担すると述べた。Insiderはコメントを求めたが、同社はこれを拒否した。
Insiderは本記事で言及したすべての企業に対し、この報道に関するコメントを求めている。
NRSCは最近、中絶に関して「アメリカ人の主流から外れている」として民主党を批判した。5月3日には、3ページに渡る書状の中で「中絶はできるかぎり避けるべきだ」と述べている。RSLCは中絶に反対する州議会議員を、RGAは中絶に反対する知事を支援しているとPopular Informationは伝えている。
Popular Informationは創業者であるジャッド・レガム(Jedd Legum)が執筆するニュースレターだ。2008年の大統領選では、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)のリサーチ・ディレクターを務めた。レガムは自分自身を進歩主義者だと認めている。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)