フロリダ州マイアミビーチにあるドミノピザのアシスタントマネージャー職の求人には、3000ドルの入社祝い金が提示されている。
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- アメリカ労働統計局の最新データによると、2022年4月も賃金アップの傾向が続いていた。
- 全労働者の平均時給は31.85ドルで、1年前より5.5%上がっている。
- だが小売業と公益事業では、3月から4月にかけて賃金は下がった。
過去1年でアメリカ人の給料はどんどん増え、この傾向は2022年4月も続いた。
アメリカ労働統計局(BLS)が発表した最新の雇用データによると、2022年4月の平均時給は31.85ドル(約4110円)だった。1年前は30.20ドル(約3900円)で、5.5%の増加となる。
これは新しいトレンドではない。雇用主は人員確保に奔走し、労働者は高い賃金の仕事を求めたため、賃金は過去1年で上がり続けてきた。
しかし、4月にも賃金は上がったが予想されたほどの増加率ではなかった。ブルームバーグの調査では、4月の平均賃金は0.4%アップになると予測していた。だが3月から10セントアップの0.3%増にとどまり、増加のペースはやや落ちている。
「賃金は、まれな上昇を見せた2021年を経て、全体的に現実的なレベルに戻ってきている。2021年は求人数が急増し、それに伴って賃金が上がった年だった」とグラスドア(Glassdoor)のシニアエコノミストを務めるダニエル・ザオ(Daniel Zhao)はInsiderに語った。
「2022年に我々が見ているのは、より穏やかなものだ。賃金アップは前年と比べて非常に健全だと言える」
賃金に対する期待は依然として高い。グラスドアの分析によると、求職者の新しい仕事における収入への期待は過去1年で43%も上がっている。これは賃金の上昇率以上に高い割合だ。ピュー・リサーチ・センターの調査によると、2021年に退職して現在は働いているアメリカ人の半分以上は、以前の仕事より多く稼いでいる。
2022年3月から4月にかけて、多くの業界で平均時給が上がり、鉱業・木材伐採がもっとも高い1.12%の増加だった。だが小売業と公益事業は同期間で賃金が下がっている。しかし、ここ1か月では下がったものの、どちらの業界も1年前に比べると依然として高い水準だ。
Indeed Hiring Labのエコノミック・リサーチ・ディレクター、ニック・バンカー(Nick Bunker)は、生産現場の従業員や管理職ではない従業員のここ数カ月の賃金上昇率の鈍化は、「雇用主は2021年時点ほど急速に賃金を上げる必要はない」と考えるようになったのかもしれないとInsiderに話した。
賃金上昇は、労働者の給与を減少させる最大の要因の1つに直面している。それは、インフレだ。
「賃金増加に関する議論で触れられないのは、インフレだ」とザオは言う。
過去1年間で物価は急上昇し、2022年3月にはインフレ率が過去41年間で最も高くなった。2021年3月から2022年3月で消費者物価は8.5%も上がり、同期間での賃金上昇率の5.6%を上回った。
「現在我々が目にしている賃金アップの矛盾やある種のジレンマは、名目賃金は過去数十年で最も上昇しているがが、インフレ率は明らかに非常に高いままということだ」とバンカーは述べた。
「インフレは利益を削っている」とバンカーは付け加えた。
「今ある非常に大きな問題は、いつこのインフレが落ち着くのかということだ」
しかし、アメリカ経済の回復は力強く、4月の失業率は3.6%と2020年2月の割合に近く、非農業部門の雇用者数は42万8000人だ。バンカーは、労働者市場はパンデミックの影響から急速に回復していると見ているいう。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)