2022年7月以降に登場するシャープの新型スマホ「AQUOS R7」。
撮影:小林優多郎
シャープが2022年夏モデルとなる新型スマートフォン「AQUOS R7」を5月9日に発表した。同日にはNTTドコモとソフトバンクが同機種の取り扱いを発表。いずれも7月以降の発売予定で、価格は未定だ。
AQUOS R7は、シャープのフラグシップシリーズの最新機種にあたる。前期種の「R6」(2021年5月発表)と同様にライカ監修の1インチという大型なセンサーサイズのカメラを搭載する。
発売までまだ時間があることから、実際のカメラの作例やアプリの見た目、外観は最終ではない部分も含むが、実機を触ったファーストインプレッションをお送りする。
ライカコラボ第2弾、新センサーでAFの遅さを改善
実機の様子を動画でもチェック。
撮影:山﨑拓実
最大の特徴は前述のとおり「カメラ」にある。
しかし、前機種R6も同じ「1インチ」「ライカ監修」とはいえ、センサーは全く別物になっている。
R7の新しい1インチセンサーは、R6と比べて約1.8倍もの集光量をもち、全面位相差オートフォーカス「Octa PD」に対応。最高で約4720万画素の非常に高精細な写真が撮影できる。
写真左から「AQUOS R5G」(2020年2月発表)、「AQUOS R6」、「AQUOS R7」に搭載されたイメージセンサー。
撮影:小林優多郎
R6でも「キレイで、高精細な写真が撮れる」ところは高い評価を受けていたが、オートフォーカスのスピードがやや遅い点などが指摘されていた。
R7は新しいセンサーで、ウィークポイントを改善。オートフォーカスの速度はR6の約2倍に高速化したという。「動いている人の目」もリアルタイムで捕捉できるまでに進化した。
突然現れる人の顔でも目をちゃんと捕捉できる、というデモ。なお、製品版では目に重ねる形で表示されている長方形は、非表示になる見込み。
撮影:小林優多郎
また、AIによる画像認識技術も向上させ、新たにペット(犬もしくは猫)もリアルタイムでフォーカスを追従できるようになった。
レンズの周辺にはライカ製で一定以上の明るさを持つことを示す「SUMMICRON(ズミクロン)」の銘が刻印されており、レンズの明るさを示すF値は1.9、焦点距離は19ミリ。
左からAQUOS R7のブラック、シルバー。
撮影:小林優多郎
なお、カメラ上部には「LEICA(ライカ)」ではなく「LEITZ(ライツ)」と刻まれており、AQUOS R7が載るさまざまな媒体にもトレードマークの「レッドドット」はない。
これはライカ側のブランド戦略の都合で、シャープ広報は「ライカとの協業内容に変更はない」としている。
フラットになったPro IGZO OLEDディスプレイ
1Hz〜240Hzで駆動する「Pro IGZO OLED」を搭載。フラットな形状になったので、すっきりとした印象がある。
撮影:小林優多郎
もう1つの注目ポイントは、同社の国内工場で製造している「Pro IGZO OLED」だ。
R7のディスプレーは6.6インチ、解像度はWUXG+(1260×2730ドット)。実質的な画面の描画速度は240Hzとなる。
新しく搭載した「AI超解像」や「フレーム補間」により、さまざまな動画(著作権保護機能付きのものを除く)が高画質化される。
静止画ではよくわからないが、同じ馬が走る動画を見た際、フレーム補間があったほうが背景を中心に鮮明に見えた。
撮影:小林優多郎
高画質化技術のオンオフを変えた実機で比較してみると、動きの速いシーンの背景は特に違いが顕著だった。
また、ディスプレイの形状も変更されている。R6は左右が側面にかかるようにラウンド形状になっていが、R7は完全な平面になっている。
この辺りの形状の違いは好みが分かれるところではあるが、「左右付近に何らかのボタンが表示された際に押しにくい」「手が縁に当たって誤タッチしてしまう」といったことは少なくなる。
驚きは少ないが、進化したカメラ性能には期待
AQUOS R7の分解モデル。
撮影:小林優多郎
そのほかの進化ポイントは、最新のクアルコム製チップセット「Snapdragon 8 Gen 1」搭載や、内部の放熱設計の改善などがある。
全体として、前期種で指摘されていたフォーカススピードの改善やディスプレイの形状変更など、「前期種の不満点は埋めてきた」という印象だ。
カメラ周りのデザイン刷新も相まって、「洗練された次世代機」といった具合だが、一方で「できること/活躍するユースケース」は増えていないため、R6登場時のような「驚き」は少ない。
もちろん、まだメインであるカメラ機能がレビューできる状態ではなかったため、完全な評価は製品版待ちだ。
より製品版に近くなった状態の実機が、想像を超えてくるか、確認してみたい。
(文、撮影・小林優多郎)