ソニーの2022年夏スマホ「Xperia 1 IV」などが発表された。
撮影:小林優多郎
ソニーはスマートフォン「Xperia」の新型3機種をグローバルで発表した。発表された機種名と日本での発売予定時期は以下の通り。
- Xperia 1 IV(ワンマークフォー)……6月上旬以降
- Xperia 10 IV(テンマークフォー)……7月上旬以降
- Xperia Ace III(エースマークスリー)……6月中旬以降
いずれも価格は未定だが、Xperiaは「1」シリーズが高価格帯のハイエンド機、「10」シリーズが中価格帯のミドルレンジ、「Ace」が比較的低価格なエントリー機となる。
3つの「動画配信ユーザー」を意識したXperia 1 IV
実機の様子を動画でチェック。
撮影:小林優多郎
Xperia 1シリーズの4世代目となる本機に最も魅力に感じるだろうユーザーは「動画配信をする人」だ。Xperia 1 IVは「Vlog系」「ゲーム配信系」「歌ってみた系」での利用に特化している。
Xperiaから直接YouTubeなどにVlogなどを配信可能に
写真左からXperia 1 III、Xperia 1 IV。一見同じに見えるが、1 IVの一番下のカメラは85〜125mmの範囲ですべて光学域となるズームレンズとなっている(1 IIIのズームレンズも可変だったが70mm/105mmの2点のみ光学)。
撮影:小林優多郎
まず、Vlog系については2021年12月に発売したプロ向け機「Xperia PRO-I」に搭載されたものと同じで、1発撮りの動画撮影向きな「Videography Pro」(以下、Video Pro)が搭載された。
さらに、そのVideo Proに「ストリーミングモード」が新たに搭載された。これはYouTubeもしくはRTMP(Real Time Messaging Protocol)対応の動画配信サービスに最大フルHD解像度のライブ動画を配信する機能だ。
Video Proに新設される設定。YouTubeへの配信は本体に設定されたGoogleアカウントでログインするだけ。
撮影:小林優多郎
ストリーミングモードに切り替わると、右下の丸ボタンが配信用のアイコンになる。
撮影:小林優多郎
当然、動画サービス純正のアプリでも配信は可能なわけだが、Video Proが配信機能を持つことで、フォーカス位置や細かな画質の調整が可能になる。
PRO-Iと同時に登場した外部ディスプレイの「Vlog Monitor XQZ-IV01」(税込2万4200円)やリモコン付きシューティンググリップ「GP-VPT2BT」(ソニーストア価格 税込1万2901円)といったアクセサリーにも対応するので、高画質な背面カメラでの自撮り配信も容易だ。
本体右側面のボタンも少し変更がある。写真下の1 IIIだと音量、電源兼指紋センサー、Googleアシスタントキー、シャッターキーの4つだが、1 IVではGoogleアシスタントキーが排除されている。1 IVの方がサードパーティー製のマウントをつける際などに便利だ。
撮影:小林優多郎
また、UVC(USB Video Class)に対応したカメラの映像を表示できる「外部モニター」アプリにもこのストリーミングモードが搭載されるため、例えば、ソニーのデジタル一眼カメラ「α」のより高画質な映像を配信することも可能だ。
なお、Video Proと外部モニターのストリーミングモードはXperia PRO-Iにも今後アップデートで提供される予定。
ゲーム配信機能を内蔵、音声のマルチチャンネル伝送にも対応
ストリーミング機能が追加された「Game Enhancer」。
出典:ソニー
続いて、YouTuberなどに向けた「ゲーム配信」については、従来より搭載してきたゲームアプリ支援機能の「Game Enhancer」の機能強化で実現する。
新しいGame Enhancerにもライブストリーミング機能を搭載しXperia 1台でゲーム配信が可能になる。また、配信中の画面レイアウトのカスタマイズ機能や視聴者から届いたコメントを画面上に表示する機能も備わった。
さらに、より凝った配信をしたいユーザー向けに、PCとの接続時にゲームの音と配信者の声をミックスして伝送できるようになった。もちろんプレイしている配信者にもゲームの音は聴こえる。
この環境を一般的なスマートフォンで実現するためには、別の機械や複雑な配線が必要だったため、利便性は大きいだろう。
Xperia 1 IV限定の新しい録音アプリ「Music Pro」
Music Proのアプリアイコン。Video ProやPhoto Pro、Cinema Proのデザインと統一されている。
撮影:小林優多郎
最後に「歌ってみた系」、つまり出演者が歌う動画に役立つ新しい機能だ。こちらは1 IV限定の「Music Pro」アプリで実現する。
Music Proは一言で言えば録音アプリで、録音した歌声や楽器の演奏音を録音・編集できる。
さらに、月額580円(税込)のクラウドサービスに加入すれば、ノイズや部屋の残響特性を除去した上で、ソニーの真空管マイクと同等の周波数特性を付与できる。すると、まるでプロが使うスタジオで録ったかのような音になるという。
Music Proの利用シーン。合唱やオーケストラの演奏など、複数人で歌う・演奏するシーンの想定はされていない。
出典:ソニー
なお、本機能はあくまでMusic Proアプリ内で実現する機能のため、前述のVideo Proや外部モニター、Game Enhancerでの配信時に高音質化されると言った機能ではない。
動画にしたい場合、音はMusic Proで録っておき、別の動画や静止画などと組み合わせて配信サイトにアップロードするといった使い方が想定される。
大容量バッテリーと軽量ボディーを両立したXperia 10 IV
Xperia 10 IV。カラーバリエーションは写真左からホワイト、ラベンダー、ミント、ブラック。
撮影:小林優多郎
1 IVは「配信者」に特化した新機能やスペックを備えているが、ミドルレンジであるXperia 10 IVはより汎用的なスマホを求める人向けの端末だ。
最大の特徴は、5000mAhの大容量のバッテリーでありながら、重量は161グラムに抑えた。これは、同容量のバッテリーを搭載した5Gスマホとしては世界最軽量(2022年5月11日時点、ソニー調べ)の軽さを実現している。
軽さの秘密は主に素材や内部構造の見直しによって実現している。特に背面は樹脂素材だがしっとりとした質感で本体カラーと相まって安っぽさははない。
加えて、立体音響の「360 Reality Audio」やハイレゾ相当に高音質化できる「DSEE Ultimate」、高音質伝送方式「LDAC」など、ハイエンド機にもひけを取らないオーディオ機能を持つ点も特徴的だ。
5G対応になったXperia Ace III
Xperia Ace IIIはテクスチャー加工が特徴的なエントリー機。
出典:ソニー
最後に「Xperia Ace III」は、前出2機種と比べて、ターゲットをさらに絞って初めてスマホを持つユーザーに向けた端末だ。
前機種の「Xperia Ace II」までは3G/4G対応機種だったが、Ace IIIでは同シリーズで初めて5Gに対応している。
3年間劣化しにくい4500mAhのバッテリー、傷の目立ちにくいテクスチャー加工の本体、ボタンの大きい「かんたんホーム」などを搭載する。
メモリーが4GB、ストレージが64GB、チップセットが2021年1月発表のクアルコム製「Snapdragon 480」である点を考えると、本当に3年間使えるかはやや疑問が残るものの、入門機としては不自由しない端末と言える。
(文、撮影・小林優多郎)