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労働者の43%が1年以内での退職を考えている…しかし日本の転職意欲は最低レベル

働く人

世界では昇給を求めて労働者たちが「大退職」を始めているが、日本の転職意欲は低いままだ。

撮影:今村拓馬

  • 世界の労働者の43%が1年以内の転職を考えており、その主な動機に記録的なインフレによる「昇給の希望」がある。
  • 日本は調査対象国の中で、「1年以内に転職したい」と答えた割合がもっとも低かった。
  • さらに日本は、コロナ禍で生産性が上がっていないと感じる人の割合も高いことがわかった。

大手会計事務所EY Japanは5月9日、同社グループがグローバルに実施した「EY 2022 Work Reimagined Survey(EY働き方再考に関するグローバル意識調査2022)」の日本語版のプレスリリースを発表した。

同調査は、同社が22の国と地域、1万7000人以上の社員と1575人の経営者を対象に、退職の理由や職場にとどまり続ける動機などを問うもので、オリジナル版は4月に発表されている。

日本の転職意欲は世界的にも低い

同調査では、労働者の43%は今後1年以内に今の仕事を辞める可能性が高いと回答した

国・地域別にデータを見てみると、インド、中東、インドネシア、シンガポールなどが上位を占め、アメリカでも約半数が1年以内に転職したいと回答している。

一方で日本は調査対象国の中では転職意欲がもっとも低い国となった(25%)。

EY 2022 Work Reimagined Survey

「1年以内に転職する可能性が高い」と答えた国のリスト。日本は最下位だ。

出典:EY

調査結果を見ると、コロナ禍での日本の働き方の改革の遅れや、生産性の低さも浮き彫りになっている。

勤め先がコロナ禍という困難を乗り越えていると感じる労働者は、世界では7割を超える(72%)のに対して、日本ではわずか3割(33%)にとどまる。

また、コロナ禍で勤め先の生産性は変わったか、という質問に対し、日本では約半数の労働者(47%)が悪くなったと回答しており、世界の25%と比較しても倍近く高い。

それだけにとどまらず、そもそも自分の仕事の生産性が正しく測られているかどうかに不安を感じる労働者も多い。

オフィス出社かリモートかに関わらず、自分の仕事の生産性が正しく把握されているかという質問に対し、世界では約7割(69%)が「そう思う」と回答したものの、日本ではその割合は約3割(32%)にとどまる

この世界的な転職意欲の背景には、コロナ禍に入ってから続く記録的なインフレ、そして欧米を中心に大きな動きとなっている「大退職(Great Resignation)」のトレンドがあると調査は分析する。

アメリカ合衆国労働統計局によると、3月のアメリカの退職者数は450万人にも登り、この1年足らずの間、毎月400万人を超える高水準が続いている

労働力不足により、2021年に昇給の交渉をした約半数が実際に昇給したというデータもある。こうした動きに後押しされて、人々が賃金アップのために転職を考えるのも自然な流れだと言えるだろう。

社員が求めるのは「給与増額」だが、経営者は……

また「なにがその人を職場にとどまらせるか」に対する、経営者と労働者の意識のギャップも顕著に見られた。

労働者側は1位「給与の増額」(35%)2位「フレキシブルな働き方」(32%)3位「昇進の機会・キャリアアップ」(25%)であるのに対し、経営者側の回答は1位「学びとスキル」(37%)「フレキシブルな働き方」(36%)そして「社員のウェルビーイングへの投資」(32%)と、その違いは明白だ(いずれも世界のデータ)。

EY 2022 Work Reimagined Survey

労働者が勤務先に望むこと。給料アップやスキルアップが上位に並ぶ。

出典:EY

EY 2022 Work Reimagined Survey

経営者が労働者に対して必要だと思うもの。スキル、働き方、福利厚生が上位に並び、給与は入っていない。

出典:EY

なお、労働者の42%が、離職率を改善する鍵となるのは昇給だと回答する一方、経営者側の18%しかそれに同意していないという。

「少なくとも2日間はリモートで働きたい」が8割

2021年の同社の調査によると、転職の主なきっかけはフレキシブルな働き方だったという。

しかしリモートワークの導入などが進んだことから、働きやすい環境にはそれほど大きな影響力はなくなっているようだ。実際、新しい仕事にリモートワークの柔軟性を求めたのは19%のみで、福利厚生が転職のきっかけになると回答したのは17%のみと低い水準だ。

一方で、「アフターコロナ」の働き方については、労働者と経営者でギャップがあるようだ。調査対象者のうち労働者の8割は、週に少なくとも2日間はリモートで働きたいと考えているが、経営者側では約2割(22%)が、週5日オフィス勤務に戻ることを希望している。

なお、この調査の詳細な分析はこのリンクから読むことができる。

(文・西山里緒


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