中国の習近平国家主席。
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- 「中国は2030年までに台湾を征服するために軍備を整えている」とアメリカの情報機関の高官が語った。
- アメリカのアブリル・ヘインズ国家情報長官は「ロシアのウクライナ侵攻が中国の計画にどのような影響を及ぼしているかはまだ分からない」と述べた。
- 中国は台湾が本土の一部であると主張しているが、台湾は独立の立場を強く守り続けている。
アメリカの情報機関の高官が、2030年までに中国が台湾を制圧できる自国軍の構築に着手していると述べた。
アメリカの情報機関を統括するアブリル・ヘインズ(Avril Haines)国家情報長官は2022年5月10日、「中国は台湾を軍事的に制圧できるような状態にするために努力しているというのが我々の見解だ」と上院軍事委員会で述べた。
ヘインズ長官は、現在から2030年までの間、中国の台湾への脅威は「深刻」だと述べた。
中国は海岸から100マイル(約160キロメートル)離れた人口2300万人の島国である台湾を、本土の一部であると長年にわたって主張してきた。しかし台湾は数十年の間、自主統治を続けており、その独立性を強く主張している。
アブリル・ヘインズ国家情報長官
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2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、専門家や欧米の政府関係者は中国を注視し、世界的なロシアへの反発と制裁が中国政府を抑止しているかどうかを見極めようとしている。
「ロシアとウクライナの危機から中国が学んだ教訓がどのように今後の予定に影響するのかを述べるのは難しい」とヘインズ長官は述べている。
台湾の政府高官たちは中国の侵攻を恐れており、今回のロシアの侵攻を受けて台湾のソーシャルメディアでは、「今日はウクライナ、明日は台湾!」というスローガンが広く拡散された。
アメリカの中央情報局(CIA)のビル・バーンズ(Bill Burns)長官は、2022年5月7日、「ウクライナの危機によって中国が計画を完全に後回しにしたようには見えない」と語った。
バーンズ長官は中国の習近平国家主席について、「台湾を支配しようという習主席の決意が損なわれたとは少しも思わないが、支配の方法や時期についての計画に影響を与えていると考えている」とした。
ヘインズとバーンズが警告したわずか数日前、チャールズ・リチャード(Charles Richard)戦略軍司令官は、アメリカの議員に対し、中国は 「将来的に核による威嚇を利用して有利に進めるだろう」 と述べた。
「彼らの意図は、2027年までに台湾を統一するための軍事力を獲得することだ」
ロシアがウクライナを侵攻した直後、「新しい時代に台湾問題を解決する」と中国は発言したが、これは台湾を支配下に置くという計画を婉曲的に表現したものである。「新しい時代」の具体的な時期は依然として不透明だ。
ロシアがウクライナに侵攻して以来、アメリカは台湾を支持していることを表明しており、2022年3月、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領はアメリカの元政府高官一行を台北に派遣している。
また、数週間前、バイデン政権は台湾に対し、中国が侵攻してきたときに効果を発揮するミサイルや非対称戦争用の小型兵器のようなアメリカの兵器を発注するように密かに指示していたと、ニューヨーク・タイムズが報じている。
「アメリカに後押しを受けた台湾当局が独立への道を進み続ければ、中国とアメリカが軍事衝突に巻き込まれる可能性が高い」と2022年1月、中国の秦剛駐米大使は公共放送のNPRに語った。
ここ数ヶ月間、中国の戦闘機は台湾の領空付近で複数回訓練を行っている。
[原文:China is building a military capable of taking over Taiwan by 2030, US intel chief says]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)