ドイツのハルターンの湖の水上太陽光発電所に設置されるソーラーパネル(2022年4月1日)。
Martin Meissner/AP Photo
- イケアは2022年、カリフォルニア州の一部の店舗でソーラーパネルの販売を開始すると発表した。
- 同社は2013年からヨーロッパの一部の店舗でソーラーパネルを販売している。
- イケアはイーロン・マスクの会社テスラ・エナジーの直接競合する可能性もある。
イケア(Ikea)は、アメリカで住宅用ソーラーパネル分野に進出すると発表した。
世界最大の家具量販店でもあるイケアは、住宅用エネルギーサービスを提供するサンパワー・コーポレーション(SunPower Corporation)と提携し、「ホームソーラー(Home Solar)」という新たな取り組みを立ち上げると2022年5月1日に発表した。ホームソーラーは2022年の秋、カリフォルニア州の一部の店舗で開始される予定だ。
イケア・アメリカのCEO兼チーフ・サステナビリティ・オフィサー、ハビエル・キニョーネス(Javier Quiñones)は「ホームソーラー・ウィズ・イケア(Home Solar with IKEA) を立ち上げることで、より多くの人たちが、自分たちのエネルギー需要をより適切にコントロールできるようになる。将来的な目標は、さらに多くの店舗でクリーンエネルギーサービスを提供することだ」と、プレスリリースで述べている。
2021年、イケアはスウェーデンで家庭向けに再生可能エネルギーの販売を開始した。各家庭が太陽光発電所や風力発電所からエネルギーを購入し、毎月固定料金でアプリを通じて電力の使用量を確認できるというものだ。イケアはイギリスを含む他の11の市場でもソーラーパネルも販売している。
イケアはこの新たな事業の立ち上げにより、住宅用ソーラーパネルを手掛ける各企業や、イーロン・マスク(Elon Musk)のテスラの子会社で住宅用ソーラーパネルの設計・施工を行うテスラ・エナジー(Tesla Energy)と直接競合することになる。Insiderは以前、このマスクの会社のカスタマーサービスが質が悪さや7万5000ドル(約963万円)もの値上げに関する苦情が立て続けに寄せられたことを報じている。
グランド・ビュー・リサーチ(Grand View Research)のデータによると、2020年の住宅用太陽光発電パネルの市場規模は、約91億ドル(約1兆1684億円)と推定され、今後10年間は成長を続けると予想されている。CNBCの報道によると、2021年秋の時点でテスラが住宅用太陽光発電市場に占める割合は約2%に過ぎない。2022年3月の太陽光発電業界誌のランクによると、テスラ・エナジーのアメリカ市場でのシェアは、サンパワー・コーポレーションを僅差で上回る4位だった。
テスラとサンパワーはともに、住宅の屋根の上に設置する従来型のソーラーパネルを提供しているが、マスクの会社では既存の屋根をスマートな黒いソーラーパネルに置き換える、より合理的な製品も提供している。
住宅用太陽光発電市場は今後数年間の成長が見込まれているが、現在業界はサプライチェーンの混乱による逆風にさらされている。テスラは最新の決算発表で、輸入の遅れの結果、2022年初めに、ソーラーパネルの設置がほぼ半減したと述べている。
イケアは、ソーラーパネルの設置費用と月額使用料を明らかにしていない。消費者庁(Consumer Affairs)によると、アメリカのソーラーパネル平均設置費用は、連邦政府の税制優遇措置後で約1万2000ドル(約154万円)だという。
カリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utilities Commission)によると2021年の時点でカリフォルニア州には全米の住宅用太陽光発電容量の約40%が集中しており、イケアによるホームソーラー構想の立ち上げには理想的な市場だと言える。
[原文:Tesla's Solar Roof has a new competitor — Ikea]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)