会社は仲良しクラブでいい。ヌーラボ・橋本氏が考える、VUCAを乗り越える組織のあり方

「グローバル創業・雇用創出特区」に指定されている福岡。スタートアップが元気な都市として注目されており、コミュニティのつながりも強い。そのコミュニティの中心的存在の一人が、橋本正徳氏だ。

「Backlog(バックログ)」「Cacoo(カクー)」「Typetalk(タイプトーク)」「Nulab Pass(ヌーラボパス)」といった、チームのコラボレーションを促進して、仕事が楽しくなるサービスを開発・提供している福岡のスタートアップ、ヌーラボで代表取締役を務める。

会社は仲良しクラブでいい。だって、社員同士の仲がいい会社が出すコラボレーションツールのほうが使いたくなるでしょう」と笑顔で語る橋本氏。世の中の企業と比べると、少しユニークなチームビルディング論について、チームのコラボレーションを支援する「インテル® Evo™ vPro®プラットフォーム」に準拠したノートPC「dynabook V83/HS」を触ってもらいながら話を伺った。

社員同士の仲の良さが企業価値につながる時代

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橋本正徳(はしもと・まさのり)氏/1976年福岡県生まれ。福岡県立早良高等学校を卒業後上京し、飲食業に携わる。劇団主催や、クラブミュージックのライブ演奏なども経験。1998年、福岡に戻り、父親の家業である建築業に携わる。2001年、プログラマーに転身。2004年、福岡にてヌーラボを設立し、代表取締役に就任。ヌーラボは、現在、チームのコラボレーションを促進するWebサービス Backlog、Cacoo、Typetalk、Nulab Passを開発・運営。また、福岡本社のほか東京、京都、シンガポール、ニューヨーク、アムステルダムに拠点を持ち、世界展開に向けてコツコツ積み上げ中。

「会社は仲良しクラブじゃないんだぞ!」。企業を描いたドラマなどでもよく聞く定型的な叱責の言葉だ。実際に先輩や上司から浴びせかけられた人もいることだろう。しかし、橋本氏は「会社は仲良しクラブでいい」と言い切る。

「「海外の従業員エンゲージメントを扱ったオンラインの記事などでは、Friendship(友情・友好・交友関係)という項目がよく出てきます。しかし日本では、ほとんど職場の仲の良さに触れられることはありません。仲良くすることについて悪いイメージがあるのでしょう。でも、仲良くしておくと報連相(ホウレンソウ)がスムーズに進むし、人間関係の悩みも減ります。社会人として仲良くするという戦略をとるだけで、仕事がスムーズに進むと思うんです」(橋本氏)

ヌーラボでは、怒りをコントロールするアンガーマネジメント研修を取り入れ、橋本氏自身もできるだけ怒らず、話しかけやすい雰囲気を作り出すようにしているという。

「昔は仲が良くないことが格好いいとされていましたが、最近は仲の良さをウリにしているような漫才師も多く、それが世の中で支持されている」と橋本氏。この先、企業でも仲の良さがバリューになっていく可能性もあると考えている。しかし、3人のプログラマーで創業したヌーラボも130人を超える組織へと成長した。大きな組織でも仲良し戦略は可能なのだろうか。

「そんなに難しく考える必要はなくて、一人が身の回りの8人くらいに対して仲良くすればいいんですよ。それができれば、組織が拡大しても大丈夫だと思っています」(橋本氏)

橋本氏は、仲良し戦略の先にある理想的なチーム形態を、柔軟性がありどんな形状にもフィットする「スライム」と表現する。

念頭にあるのは、VUCAとも称される未来予測が難しい複雑化した社会だ。社会が複雑化すれば、当然、ビジネスやサービスも単純ではいられない。

柔軟さからは、働き方に対するメリットも生まれる。ヌーラボでは昨今、育児休業を取得する社員も少なくない。タイミングによって社員の1割弱が育休を取る事態は、企業として厳しい。しかし、柔軟なチームだからこそ、つつがなく業務を回すことができたという。

ワーケーションをしながら現地の学校で授業も行う、独自の「リゾートワーク制度」とは?

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柔軟なチームであらゆる状況に対応するヌーラボ。しかし、それでもコロナ禍では厳しい局面もあった。

元々、福岡、東京、京都、アムステルダム、シンガポール、ニューヨークと複数の拠点を持っており、拠点同士をつないで業務を行っていたが、在宅勤務など個人がバラバラで働くことはなかったという。

リモートワークになると、仲良しクラブであるためのコミュニケーションも難しくなる。そのため、チャットを使った雑談やオンラインでも活動できる部活動などで、リモートワーク下でも交流を持てる工夫を重ねた。

部活動では、縄跳び、VR卓球、VRフィットネス、ランニングマシン、ラジオ体操など、室内で簡単にできるエクササイズをそれぞれ時間がとれるときに行い、内容や時間をオンラインで共有したそうだ。

また、年に一度、各国の拠点で働く社員が福岡本社に集まる社員総会も中止になった。コロナ禍最初の年は、オンラインで集まり橋本氏自ら経営方針などを話したが、本人曰く「凄くスベった」という。

「同じ(ネット上の)会議室に集まって僕が話す。これではリアルのやり方と変わらず、全員の参加感が得られませんでした。IT企業ならではのオンラインの活用法があるはずと考え、オンライン社員総会の2回目となる本年度は、僕が話す内容を文書にして事前に共有。それをネタにワークショップをやってもらう形を取りました。そうすることで、全員が主体的に参加することができたのです」(橋本氏)

さらに現在は、オフィス、在宅勤務、ワーケーションなど、自らの考えで働き方を決定できる。

「基本は在宅勤務で、人と話したかったり、新しいアイデアが欲しかったりするときはオフィスに出社というハイブリッド型勤務をする社員も多い。僕は、福岡の市街地から少し離れた場所に仕事用の部屋を借りています。30秒もすれば海に着くので、疲れたり悩んだりしたら外に出る。環境を変えることが好循環を生み出しています」(橋本氏)

自宅もオフィスもある福岡市内で、あえて自分の仕事用に部屋を借りるのも橋本氏のユニークなところ。海があることで、ちょっとしたバケーション気分が味わえるのかもしれない。

「ヌーラボでは『リゾートワーク制度』というものがあり、それを活用してワーケーションをしている社員もいます」と橋本氏。この現地の自治体と連携によって生まれた制度は、ヌーラボの従業員が家族と共にリゾート地に滞在し、小学校などの教育機関で特別授業を行うことを条件に、リモート勤務ができる教育研修制度だ。滞在先として、沖縄県宮古島市や北海道東川町、新潟県佐渡市などを選ぶことができる。

インテルとdynabook、ヌーラボで面白いことができそう

ヌーラボの働き方は柔軟で自由だが、NGもある。それは、カフェなどでの業務だ。その理由を尋ねると、「不特定多数の人間が居る場所はセキュリティに不安があるから」との答えが返ってきた。確かに、信頼性が低いWi-Fiを使うことは危険だし、不特定多数の人間が集まる場所ではモニターを覗き込まれるリスクもある。

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「社員が好きな場所で働けるのは、セキュリティが担保されてのこと。それは使っているパソコンでも重要視しています」と語る橋本氏。

そのような法人のIT関連の問題を解決するために、インテルが推進しているのが「インテル® vPro® プラットフォーム」だ。

また、「インテル® Evo™ プラットフォーム」は、モバイルノートPCに必要なスペックを搭載しつつも、薄形軽量ボディを実現し、インテルが定義する要件に準拠したPCに与えられる。

その両方の要素を兼ね備えるのが、「インテル® Evo™ vPro® プラットフォーム」だ。

今回、橋本氏にインテル® Evo™ vPro® プラットフォーム準拠の『dynabook V83/HS』を使ってもらい、その感想を聞いた。

「インテル® vPro® プラットフォーム」のPCは、ハードウェアベースで端末を防御していると聞きました。働く場所の自由度を高めるには、セキュリティが重要。そのベースとしては非常にいいですね」(橋本氏)

また、「リモートワークでノートPCが高度なテレビ電話化しているのでしょう。みんな、高音質・高画質での会話ができるスペックや機能を求めている」と橋本氏。実際、インテル® Evo™ プラットフォームに準拠したノートパソコンは、一定基準以上を満たしたマイクやカメラ、画面の解像度を満たしている。

さらにこのご時世に便利なのが、オンライン会議中の会話からキーボードのタイプ音や周辺ノイズを除去できる「AIノイズキャンセラー」だ。こういったツールはリモートワークの強い味方になってくれる。

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実際に『dynabook V83/HS』を手に持って驚いたのは、13.3型でありながら約979gという軽さだ。

「セキュリティの関係上、仕事用とプライベート用のパソコンは分けています。出張のときは常に2台持ち歩いているので、軽いと非常に助かります。軽くて薄い、それなのに、最大約24時間の長時間駆動も嬉しいポイントです」(橋本氏)

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使い勝手の面では、実際に自社サービスである『Cacoo(カクー:フローチャート、ワイヤフレーム、UML図、ネットワーク構成図などを作成して安全に共有するためのオンライン作図ツール)』を試してみたという。

起動も速いし反応も良い。『Cacoo』はマウスでの作図を前提としていますが、『dynabook V83/HS』は、タブレットスタイルでペンによる入力が可能。非常に書きやすかったです。

また、Wi-Fi 6対応やCPUの性能もあいまって、相手の『Cacoo』にこちらが描いたことが反映される共有スピードが速いので、入力しながらリアルタイムで話ができるのが凄い。これまでの体験がアップデートされました。

インテルさんの『インテル® Evo™ vPro® プラットフォーム』に準拠した『dynabook V83/HS』とヌーラボのサービスの組み合わせなら、新しい働き方ができそうです」(橋本氏)

常に面白いことを、仲良しクラブの組織で成し遂げようと企てる橋本氏。「企てるって表現は、ちょっといたずら心がある感じで夢中にさせる気がしませんか」と嬉しそうに笑う。そして、見据える未来を語ってくれた。

このまま仲良く、みんなで大きくなっていきたいと思っています。ヌーラボというチームで一緒に仕事ができて良かったという感覚を持ち続けたい。そんなヌーラボが作ったサービスを使って仕事をするチームにも、同じように感じて欲しいですね」(橋本氏)


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