職場で影響力を持つことは、あなたの将来にも影響すると言われている。
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職場で影響力を発揮するのは大事なことだ。
チームをまとめなければならないとき、同僚たちに、あなたのアイデアが資金を投入するのに値するものだと思わせたいとき、あるいは難しい仕事を手伝ってほしいときなど、あなたの成功は他者に対してどれだけ影響力を持てるかにかかっている。
しかし、職場で影響力を持つ人になるということは、必ずしも職場の全員と親友のような関係を築くことではない。
アマンダ・ニーモン=ピーターズは 「どうすれば周囲が自分に協力してくれるか」という視点が重要だと語る。
Amanda Nimon-Peters
ハルト・インターナショナル・ビジネススクールの行動科学の教授で、近日アメリカで発売予定の書籍 『Working With Influence』 の著者であるアマンダ・ニーモン=ピーターズ(Amanda Nimon-Peters)は、職場で影響力を高めるには、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)を築き、そこから力を得られるようにすることだと述べている。
「人がやりたがらないことをやらせようとするのではありません。単純にあなたがどんな成果を求めているのか、どのようなことを成し遂げようとしているのかを示し、他の人々があなたに協力するように仕向ける方法を見つけるのがポイントです」
共通点を見つけよう
影響力の大きさというのは、人間関係の強さと関係していることが多い。しかし、これは職場の全員と友達になるということではない。同僚と性格が合わなかったり、あなた自身が内向的な人だったり、同僚全員と特別親しくなんてなりたくないと思う人もいるだろう。
「 人が好きな人に影響を受けることは、よく知られています」とニーモン=ピーターズは言う。「しかし、ただ単に人々があなたを好きになればよいというわけではありません。科学的には、もし人があなたに親近感を抱けば、その人はあなたに影響されるということが分かっています」
2008年に大学生と専門学校生を対象に行われた、サム・ヒューストン州立大学のランディ・ガーナー(Randy Garner)教授による研究では、アンケートをとる時、カバーレターの名前が受取人の名前に似ていると回答率が上がることが分かった。また、本の登場人物と自分の名前が似ている場合、その登場人物に感情移入しやすいということも明らかになった。
共通点を見つけ、同僚の共感を生むことは、職場での自分のステータスを上げることにつながるということだ。
感情でリードする
人に影響を与えるために私たちが通常やっていることは、必ずしも成功につながるとは限らない。
「最も一般的なアプローチは、いわゆる合理的な説得です。これは、相手が自分の望んでいることをやるべき理由を論理的に説明することです」と、ニーモン=ピーターズは言う。「しかしそれよりも、人は自分が強く感じることや自分がよいと思うことによって意思決定をする傾向があります」
2017年に発表された「影響力を行使するための戦術に関する49の研究」のメタ分析では、合理的な説得が望ましい結果につながったのは12%程度だったことが明らかになった。
「あることが正しい理由」を伝えるのではなく、人々が「そのことを正しいと感じる理由」を見つけることが、より良い結果をもたらすのではないかという。
「人は感情と見返りを重視します。それをやる正当な理由があると説得されたからやるのではなく、それをやることによって何かを得られると判断したからやるのです」
リモートワークの利点を生かす
リモートワークで直接のコミュニケーションの機会が減ると、同僚との関係を築いたり、職場で影響力を発揮するのがさらに難しくなる。しかし、どんな戦略をとるかによっては、リモートワークならではの利点もある。
「対面であれば、その場で話さなければなりません。話しながら考える必要がありますが、何を話すかを事前に考え、それに沿って話すのは難しいものです。
メールを書いたり、オンラインで共有するスライドを作る際は、どんなことを言い、何を見せるかを自分でうまくコントロールして相手の関心を引くことができます。例えば、何かの画像を見せたり、自分の考えを裏づけるデータをビジュアル化して見せたりもできるでしょう」
(翻訳、編集・大門小百合)