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スウェーデンとフィンランドの加盟でNATOが得るものは…強力な陸・海・空軍に加えて「情報分野でも多くのものをもたらす」と専門家は分析

スウェーデン空軍の戦闘機、サーブ JAS 39 グリペン。

スウェーデン空軍の戦闘機、サーブ JAS 39 グリペン。

REUTERS/Ints Kalnins

  • スウェーデンとフィンランドが、NATOへの加盟に向けて動き出した。
  • この動きは、NATOの拡大を懸念してウクライナを攻撃したロシアのプーチン大統領に対する大きな反発だ。
  • この2カ国は、情報分野を含む貴重な軍事資産をNATOに提供することができる。

スウェーデンとフィンランドがNATOへの加盟に動き出した。数十年にわたる中立の立場を終わらせて加盟すれば、NATOのロシアとの国境を拡大し、NATOの戦闘力を強化することになる。

スウェーデンとフィンランドによる加盟の動きは、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に対する大きな反発と見ることができる。プーチンは2月に、NATO拡大への懸念を理由にウクライナに侵攻した。

元米国防総省・NATO高官のジム・タウンゼント(Jim Townsend)によれば、スウェーデンとフィンランドは、陸、海、空、そして情報分野において、軍事的に多くのものをNATOにもたらすという。

例えば、フィンランド空軍はヨーロッパで最も強力な空軍の1つであると、タウンゼントはInsiderに語った。

「彼らはアメリカの最新兵器を搭載したF/A-18を運用してきた。そしてさらにF-35を購入しようとしている」と彼は言う。F-35はフィンランドが数十億ドルで購入しようとしているアメリカ製の第5世代ステルス戦闘機だ。

スウェーデンには国産のグリペン戦闘機があるが、この戦闘機は以前、スホーイを倒すのに有効だと主張していた。ロシア軍のスホーイ戦闘機はドッグファイトでの機敏な動きで有名だが、スウェーデンは自国の戦闘機の方が有利だと言っている。

「グリペン、特にE型はスホーイを倒すために設計されている。そこにアドバンテージがある」と、当時スウェーデン空軍の司令官だったマッツ・ヘルゲソン(Mats Helgesson)は、2019年の発表会でYleに語っている。特に、これらの機体は電子戦において輝くという。

一方、地上でも、フィンランドには約1500種類の砲兵システムを持つヨーロッパで最強の砲兵部隊がある。また、比較的大規模で効果的な徴兵制や予備役を維持している。2021年12月の世論調査では、フィンランド人男性の90%、女性の84%が「国を全力で守る覚悟がある」と答えており、これはヨーロッパでもトップクラスの数字である。

そして、タウンゼントは「北極圏での戦闘、雪の中での戦闘では、誰もフィンランド人に勝てない」と、フィンランド陸軍の有能さと、冬の戦争におけるフィンランドの歴史的な戦闘力の高さについて言及した。

フィンランド陸軍の射撃手。2018年に行われた軍事演習で。

フィンランド陸軍の射撃手。2018年に行われた軍事演習で。

Ville Multanen, Finnish Defence Forces

さらに、スウェーデンもフィンランドも「非常に高度で近代的」な海軍を有していると述べた。

例えば、スウェーデンの潜水艦は、海戦の模擬戦においてその有効性を実証している。スウェーデンの静かなスターリングエンジンを搭載した小型ディーゼル潜水艦、ゴトランドは、2005年の演習で、62億ドルを投じたアメリカ海軍の空母ロナルド・レーガンに発見されずに接近し、撃沈することができた。その後数年にわたる模擬戦においても、ゴトランドは駆逐艦や核攻撃型潜水艦を攻撃することに成功している。

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