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企業は社員の給料を上げよ。これから日本に起こる「悪いインフレ」に備えるたった1つの方法【音声付・入山章栄】

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

外国為替市場で円安が加速しています。これから日本では何が起こるのでしょうか。入山先生が「悪いインフレ」が起こる可能性と、それに伴い日本企業がやるべきことを教えてくれました。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:9分33秒)※クリックすると音声が流れます


この円安、何が原因?

こんにちは、入山章栄です。

最近、円安が進行しています。この取材は4月末に行っていますが、1ドル129円まで来てしまいましたね(5月17日現在で128円98銭)。


BIJ編集部・小倉

そうなんです。円安の影響で光熱費や食費が上がり、一般家庭では年間でおよそ1.5万円ほど支出が増えるとの試算もあります。


僕はいまフィリピンのマニラに来ていますが、やはりここでも円安を実感しています。フィリピンの通貨はペソですが、少し前まで1ペソ2円くらいだったのに、いまでは2.5円くらい。カジュアル衣料品店「OLD NAVY」でTシャツなどをまとめ買いしたら、円換算だと合計2万円くらいになって「えっ」と驚いてしまいました。


BIJ編集部:常盤

私はBusiness Insider Japanの翻訳記事を掲載するとき、文中のドル表記にはカッコ書きで円換算も書き添えるんですが、日を追うごとに円安が進んでいるのを実感します。いったいなぜ、急に円安になったのでしょうか?


円安や円高など為替レートの話は国際経済学の分野なので、僕の専門ではありません。しかし僕は経営学だけでなく昔は経済学も少しやっていたので、その視点からお話ししますね。

円安になるとメディアでは決まって、「円安はいいことか、それとも悪いことか」みたいな議論が起こります。しかし円安にはいろいろな側面があり、一概にいいとも悪いとも言えないんですよね。

それより大事なのは、「何が原因で円安になっているのか」、そして「円安の結果、何が起きるのか」というように、原因と結果を分けて議論することだと思います。

原因その1:物価の調整

では、経済学者の方々を差し置いて僕が解説するのは僭越ですが、なぜ円安が起きているかを説明しますね。為替レートには、大まかに言って3つのファクターがあります。他にもいろいろとありますが、まずはこの3つが今回はポイントです。

1つめは国ごとの物価の違いです。国や地域によって物価の違いが大きくなると、為替レートは長期的にはそれを調整するように動く。

例えばマクドナルドは世界中にあり、品質もほとんど同じです。だからビッグマックは、本当はどの国でも同じ値段でなければおかしい。でも実際は国ごとに値段が違います。その国でビッグマックがいくらで売られているかで為替レートを評価する「ビッグマック指数」というものがあるほどです。

A国のビッグマックは200円だけれど、B国では700円だとすると、これは差がありすぎる。だから物価の違いを調整するように為替レートが動く。このように、「いずれどこかの時点で物価の水準が揃うはずだ」という考え方を、「購買力平価説」といいます。

ただしこれは長期的な推移を捉えるものなので、今回の円安にはこの「物価の調整」というファクターはあまり関係なさそうです。僕は今回の円安は、次の2つが主な原因だと理解しています。

原因その2・アメリカの金利上昇

2つめのファクターが、アメリカの金利上昇です。これが今回の最大のポイントですね。いま、アメリカはめちゃくちゃなインフレの最中。

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