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- 筋力トレーニングは、有酸素運動と同じくらい効果的に脂肪を燃焼させ、体重を減らすことができると、新たな研究結果が示唆している。
- 体重を減らすには、カロリー不足にすること、つまり運動で消費するカロリーよりも摂取するカロリーを少なくすることが重要だと専門家は述べている。
- ウェイトトレーニングなどの筋力運動をすることで、筋肉がつき、代謝を高く保てるようになる。
筋力トレーニングは体重を減らすのに効果的であることを新たな研究結果が示唆している。
ウェイトトレーニングなどのレジスタンス運動と摂取カロリーを減らすことを組み合わせると、脂肪を燃焼させ、体脂肪率を減らす効果があると、2022年4月11日付けでObesity Reviewsに発表された研究論文によって明らかにされた。
オーストラリアのエディス・コーワン大学とブラジルのカシアス・ド・スル大学の研究者らは、運動と減量に関する116の先行研究から合計4184人のデータを分析し、ウェイトトレーニングなどのレジスタンス運動が体重減少に与える効果について分析した。
その結果、レジスタンス運動とカロリー制限の組み合わせは効果的であり、平均5.4kgの体重減少につながることが明らかになった。
論文の筆頭著者であり、エディス・コーワン大学の博士課程に在籍するペドロ・ロペス(Pedro Lopez)によると、今回の研究結果で、ランニングや高強度インターバルトレーニング(HIIT)などの有酸素運動が体重を減らす唯一の方法であるという神話が否定されたという。
「通常、肥満、体組成、減量について話をするときには、有酸素運動しか話題にならない」とロペスはプレスリリースで述べている。
この研究によって、膝などの関節に負担をかけるランニング等の有酸素運動に代わる方法を提供できるようになり、肥満のため減量したい人など、より多くの人が運動の恩恵を受けられるようになるだろう、とロペスは話している。
やはり、減量はカロリー制限が鍵
しかし、この研究成果について注意すべきことは、運動だけで減量できるわけではなく、適切な栄養摂取が必要になるということだ。
この研究で効果が明らかになった減量方法は、カロリー制限、つまり運動で消費するカロリーよりも、摂取するカロリーを減らすことだった。
「体重を減らしたいなら、摂取カロリーを減らさなければならない」とロペスは言う。
専門家によると、カロリー制限は減量と脂肪燃焼に不可欠だという。だが、カロリーを制限する方法はさまざまだ。例えば、食べたものを記録する、分量を減らす、野菜などボリュームのある食品を増やすといった方法がある。あるいは低糖質ダイエットや断続的断食に挑戦して食べる量を減らすこともできる。
カロリー制限は、ウォーキングやジム通いなどで体を動かす時間を増やし、消費カロリーを増やすことでも達成される。しかし、運動だけでは長期的な減量には不十分であることが、これまでの研究で示されている。
筋肉をつけると、基礎代謝が上がる
最新の研究では、レジスタンス運動は筋肉をつけるのに最も効果的であり、減量中の筋肉を維持するのにも有効であることが明らかになっている。
通常、減量の目標は体脂肪を減らすことであり、筋肉などの除脂肪量を減らすことではない。筋肉は、筋力や運動能力にとって重要なだけでなく、健康的な代謝にとっても重要だ。
パーソナルトレーナーによると、筋肉が多いほど消費カロリーが増えることから、ウエイトトレーニングは長期的に見て代謝を高めるのに効果的だという。一方で筋肉をつけるには時間と労力がかかるため、ウェイトトレーニングさえしていれば大して努力しなくても体が大きくなるというのは迷信だ。
筋力トレーニングを行うことで、見た目が良くなり自信を持てるようになるだけでなく、心臓や関節が強くなる、がんや心臓病などの病気のリスクが低くなるといった利点があることも証明されている。
ジムに足繫く通わなくても、ダンベル、バーベル、ケトルベルを用いたトレーニングであれば、すぐに始めることができる。ウェイトトレーニングは、筋力トレーニングの経験がなくても学ぶことができるとパーソナルトレーナーは述べている。
また、懸垂や腕立て伏せ、スクワットなどの自重運動でも筋力トレーニングを始めることができるので、ジムに行く必要はない。
どんな器具を使うにせよ、筋力トレーニングは自分の経験やスキルに合わせて行うことができるので、その効果を最大限に引き出すことができる。
[原文:You don't have to do cardio for weight loss — lifting weights works just as well, research suggests]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)