米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)が4月に続き5月もレイオフを実施した。
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米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)は5月17日、フルタイム従業員150人と傘下のアニメ制作スタジオ従業員70人のレイオフ(一時解雇)を実施した。計画中のアニメシリーズおよび映画作品のいくつかも併せてお蔵入りとなった。
また、同社のソーシャルメディア運用や公式ガイドサイト運営を担当する部門でも60~70人程度の人員整理が行われた。
黒人向けの「ストロング・ブラック・リード(Strong Black Lead)」、アジア系向けの「ゴールデン(Golden)」、ラテン系向けの「コン・トド(Con Todo)」、LGBTQに特化した「モスト(Most)」など視聴者コミュニティに特化したソーシャルメディア運用チームが整理対象になった。
エンターテインメント業界専門メディア「バラエティ(Variety)」が報じた(5月17日付)ように、制作計画が中止に追い込まれたアニメ作品には、ベストセラーファンタジー小説のアニメ版『ウィングス・オブ・ファイア(Wings of Fire)』、アカデミー賞候補マーク・オズボーン監督の「ウィズ・カインド・リガーズ・フロム・キンダーガルテン(With Kind Regards from Kindergarten)」など話題作が含まれる。
整理対象となった傘下のアニメ制作スタジオ人員は、打ち切り作品に関与していた脚本家や制作スタッフらで、フルタイム従業員は含まれない。
さらに、Insiderの独自取材によって、計画中止になった作品には、人気童話作家ロアルド・ダール原作『マチルダは小さな大天才』をアニメ化する待望の『マチルダ』シリーズなども含まれることが明らかになった。
ネットフリックスは2021年9月にダール作品の著作権管理を手がけるロアルド・ダール・ストーリー・カンパニーを買収。児童向け作品を展開していく橋頭堡(きょうとうほ)として、きわめて重要な知的財産権(IP)の獲得に成功したと戦略的に評価されていた。
また、Insiderが過去記事(5月11日付)で報じたように、ネットフリックスは2021年12月に開設したばかりの公式ガイドサイド「Tudum(トゥダム)」運営部門の人員整理に4月時点で着手している。
17日のレイオフ対象となったネットフリックスの契約社員はInsiderの取材に答え、「新しいマンションに引っ越したばかりで、何とか家賃を払えるようにといま奔走しているところです」と苦境を語った。
今回の大規模なレイオフは、全世界に散らばるネットフリックス1万1000人の従業員のごく一部にすぎない。
それでも、株価暴落で将来性に大きな懸念が生まれた4月に続いて、5月も小規模ながら人員削減が続いたことで、投資家など同社の動きをウォッチしている関係者にとっては先行きを不安視する材料になったはずだ。
なお、4月の人員整理では、マーケティング部門のフルタイム従業員25人および前出の「トゥダム」運営部門約10人がレイオフの対象となっている。
ネットフリックスは2022年第1四半期(1〜3月)だけで20万人の会員を失い、第2四半期(4〜6月)はさらに200万人の会員減を見込むと発表(4月19日)。
株価は4月後半に大暴落を経験し、現在(5月17日)は、グローバル会員数が2000万人程度だった2017年末の水準(190ドル前後)で推移している。
[原文:Netflix cuts 70 animation studio and 60-70 social media roles on top of 150 employee layoffs]
(翻訳・編集:川村力)