加盟申請を受け取ったNATOのストルテンベルグ事務総長。
出展:nato.int
フィンランドとスウェーデンは5月18日、NATO(北大西洋条約機構)への加盟申請書を同時に提出した。両国の駐NATO大使はベルギーの首都ブリュッセルにあるNATO本部をともに訪問。ストルテンベルグ事務総長に面会し、申請書を手渡した。
ストルテンベルグ事務総長は「今日は良き日だ。我々の安全保障にとって重要な瞬間だ」と歓迎した。
フィンランドの駐NATO公式Twitterは申請書の提出に向かう両国大使の写真をTwitterに掲載。「歴史的な日だ」とツイートした。
フィンランドとスウェーデンはともにEU(欧州連合)の加盟国だが、これまで軍事同盟であるNATOには非加盟だった。
フィンランドはロシアと1300キロメートルにわたって国境を接しており、当面はNATOへの正式加盟はしないという立場をとっていた。過去には旧ソ連を相手に2度の戦争(1939〜1940年「冬戦争」、1941〜1944年「継続戦争」)を戦っている。第二次世界大戦の勃発直後の「冬戦争」では、ソ連がフィンランドに侵攻。当時の国際連盟はソ連を除名した。
かたやスウェーデンは約200年にわたって中立を国是とする伝統を維持してきた。
両国とも、ロシアのウクライナ侵略がNATO加盟のきっかけとなった。ともに加盟すればNATOは32カ国となる。新規加盟には現在加盟している30カ国の承認が必要だが、両国の加盟にはトルコが反発している。スムーズな加盟が実現するかは不透明だ。
(文・吉川慧)