ソニーの新型ワイヤレスイヤホン「LinkBuds S(WF-LS900N)」が登場した。カラーバリエーションは写真は左からホワイト、ブラック、エクリュ。
撮影:小林優多郎
ソニーは、新しい完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds S(WF-LS900N)」を発表した。
予想実売価格は2万6000円(税込)。6月3日にソニー直販サイトや家電量販店などで発売予定だ。
「LinkBudsシリーズ」は2月に発表されたばかりのソニーの完全ワイヤレスイヤホンシリーズだ。LinkBuds Sはその2機種目にあたる。その詳細を見てみよう。
ノイキャン対応でより多くのシーンで使える
LinkBuds Sはかなり軽いイヤホンだ。ノイズキャンセル利用時のバッテリー持続時間は本体だけで最大6時間、ケース側のバッテリーを合わせると合計最大20時間(いずれも公称値)。
撮影:小林優多郎
LinkBuds Sの特徴を一言で表すのであれば「軽量かつノイズキャンセリング性能が優秀なイヤホン」だ。
重さは約4.8グラム(本体のみ)で、ソニーによると2022年3月30日時点では、高音質コーデック「LDAC」対応の完全ワイヤレス型ノイズキャンセリングヘッドホンにおいては世界最小・最軽量を誇るという。
実際に持ってみたり、装着してみると確かに軽い。密閉型なので「耳栓をしている」ような感覚はあるが、かなりストレスフリーな印象だった。
実際に着けてみると、その軽さに驚く。
撮影:小林優多郎
気になるノイズキャンセル性能も性能的に十分なものだ。
ノイズキャンセルの効き具合を文章で表現するのは難しいが、ソニーによると1世代前の最上位機「WF-1000XM3」(2019年9月)と「同等レベル」と表現している。
なお、LinkBuds Sは現行のフラグシップモデルである「WF-1000XM4」(2021年6月発売)と同じ半導体「統合プロセッサーV1」を搭載している。
最新の処理チップを持ちながらノイキャン性能は1世代前と同等になっている理由について同社は、「イヤーピースやドライバーサイズが(WF-1000XM4と)異なるため」としている。
ハイレゾワイヤレスも対応し、お得感がある
本体やケースの外装部には再生プラスチックが使用されており、独特のざらっとした質感がある。
撮影:小林優多郎
そういう意味では、今回のLinkBuds SはWF-1000XM3/M4と被る部分は多い。
LinkBuds Sは、外音取り込み機能はもちろん、ハイレゾ級音質のワイヤレス伝送や、イヤホン側で音質をアップスケーリングする「DSEE Extreme」にも対応している。
それでいて、最上位機WF-1000XM4(ソニー直販価格で3万3000円)と、LinkBuds Sとで約7000円も差額があるのは、いくら音質やノイキャン性能に多少の差はあれど、かなりお得感のある設定だ。
LinkBudsらしさを実感する新アプリも登場
一方で、今度は「何をもってLinkBudsシリーズなのか?」という疑問がわいてくる。
2月に発売された「LinkBuds」は、振動板自体に穴をあけ、外音を自然に取り込める形状にしており、見た目的にも「長時間つけやすい」という特徴的にもエッジの立った製品だった。
一方で、今回の「LinkBuds S」は、軽いという特徴は共通しているものの、正直に言えば割と普通の特徴のヘッドホンだと言える。
LinkBuds Sの「お供」に欠かせないのが「Auto Play(β)」アプリだ。
撮影:小林優多郎
ただし、LinkBuds SをLinkBudsらしくする要素は、スペック以外にもう1つある。それがアプリだ。
LinkBudsの登場時にも「音のAR体験」ができる「Locatone」アプリに対応していたが、LinkBuds SはLocatoneに加えベータ版(試験仕様)として提供される新アプリ「Auto Play」も利用できる。
Auto Playは、スマホを直接操作せずともユーザーの行動に合わせて、自動で音楽や通知を読み上げてくれるアプリ。以下のような機能が搭載されている。
- Wear to Play ……本体を装着したら、対応音楽サービスで音楽再生を開始。
- After Call……音声通話やWeb会議など終了後に、対応音楽サービスで音楽再生を開始。
- On the Move……歩き始めたら、対応音楽サービスで音楽再生を開始。
- アプリの音声通知……カレンダーの通知リアルタイムで読み上げてくれる。SNSやメッセージアプリなどの読み上げは、歩行中など通知を受容しやすい時に読み上げる(逆に、カレンダー上で予定があるときは読み上げないようになっている)。
各機能は任意でオンオフを設定できる。アプリリリース直後の対応音楽サービスは「Spotify」と「Endel」となり、そのほかの音楽サービスやアプリは設定できない。
音声通知はアプリごとに、リアルタイムに読み上げるか、移動中にまとめて読み上げるか選べる。
撮影:小林優多郎
アプリの仕組みを考えてみるとそれこそ最上位機種の1000Xシリーズでも利用できそうなものだが、Auto Playはその機能上「長時間、ヘッドホンを着けっぱなしにしている」時に便利な機能になっている。
音質を重視し音楽をじっくりと聞きたい1000Xシリーズユーザーに対し、LinkBudsシリーズは自宅や外出先、勤務先での作業などの「ながら聞き」に最適な要素(軽量さや独自アプリ)を実現している。
なお、Auto PlayアプリはLinkBuds S発売当初はAndroid版のみだが、iOS版も後日対応予定。また、LinkBuds Sに加え、LinkBudsでも利用できるようになる。
今後、同シリーズで製品選びに迷った場合は、外音を取り込みつつストレスフリーに音楽を聴くなら「LinkBuds」、場所や場面によって周りの音をシャットアウトしたいなら「LinkBuds S」と選べばいいだろう。
(文、撮影・小林優多郎)