2019年のワールドカップで喜ぶアメリカサッカー女子代表のミーガン・ラピノー(Megan Rapinoe、右)とアレックス・モーガン(Alex Morgan)。
Zhizhao Wu/Getty Images
- サッカーのアメリカ女子代表チームが同一賃金を求める長年の争いに勝利した。
- 2022年5月18日、アメリカ合衆国サッカー連盟は男女両チームが同一の労働協定に合意したことを発表した。
- この画期的な協定によって、男子代表の方が圧倒的に高いワールドカップの賞金も平等に分配されることになる。
公正な報酬を求めて何年も自国の連盟と争ってきたアメリカ女子代表チームは最善を尽くし、勝利を得た。
アメリカサッカー連盟は2022年5月18日、男女の代表チームが同一の団体労働協定(CBA)に合意し、女子選手が男子選手と同一の賃金を得ることになったと発表した。最も注目すべき点は、ワールドカップ(World Cup)の賞金額が男女の代表チームで平等になったことだろう。
2019年のワールドカップで優勝し、歓喜するアメリカ女子代表選手たち。
AP Photo/Alessandra Tarantino
男子の方が圧倒的に高い国際サッカー連盟(FIFA)の賞金を男女で均等に分配する決定をしたのはアメリカサッカー連盟は世界で初めてだ。
「我々が今回達成した成果は、現チームより前の世代のアメリカ女子代表チーム(USWNT)の選手たちが築いてきた強固な基盤のおかげでもある。また、男子のアメリカ代表チーム選手協会(USNSTPA)やアメリカサッカー連盟と協力したことで獲得できた報酬だ」と、USWNTの選手兼選手会長ベッキー・サワブラン(Becky Sauerbrunn)は声明を出した。
「今回の歴史的な合意とその成果は、同一賃金の実現のみならず、アメリカ代表選手のトレーニングやプレー環境の改善にもつながるだろう。国内外での女子サッカーの継続的な成長の基盤になることを期待している」
2028年まで有効となる新しいCBAでは、男女チームに同等の報酬を与えるほか、健康と安全、移動、宿泊施設、人員配置、およびピッチの基準も区別なく設定されている。
2019年大会で優勝してワールドカップを掲げるアメリカ女子代表チームのリンジー・ホラン(Lindsey Horan)。
Michael Chow-USA TODAY Sports
この歴史的な合意により、女子代表選手たちがアメリカサッカー連盟に対し、男子と同等の給与と財源の提供を求めていた訴訟に終止符が打たれた。
裁判所がこの和解案を承認すれば、大きな反響を呼び、何年にもわたって続いてきた法廷闘争もようやく終わりを迎えることになる。
「これは本当に歴史的な瞬間だ。この合意はここアメリカでのゲームを永遠に変え、さらに世界中のゲームを変える可能性を秘めている」と、アメリカサッカー連盟会長のシンディ・パーロー・コーン(Cindy Parlow Cone)は声明で述べた。
「アメリカサッカー連盟と男女両チームの代表選手たちは、この新たな合意で関係をリセットし、サッカーをアメリカで傑出したスポーツにする使命を継続しつつ、相互の成長と協力という新境地へ向かっている」
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)