北朝鮮の「フリーランサー」は、日本、韓国、中国、東ヨーロッパ、またはアメリカ在住のテレワーカーになりすましているという。
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- アメリカは、北朝鮮がIT技術者を世界中に派遣し、彼らは職を得て収益を上げているとしている。
- 彼らは中国、韓国、日本、東ヨーロッパ、またはアメリカを拠点とするフリーランサーを装うこともあるという。
- 多くの場合、彼らは身分証明書を偽造したり、VPNを利用してリモートで働いているとアメリカの情報機関は述べている。
北朝鮮は、他の国籍の人間になりすました熟練IT技術者を世界中に何千人も派遣している。アメリカの政府機関は2022年5月16日、孤立したこの国の主な目的は、核兵器開発のための資金を捻出するためだと述べた。
アメリカ国務省(DOS)、財務省(USDT)、連邦捜査局(FBI)は勧告の中で、北朝鮮のIT技術者の多くは中国やロシアで働いており、アフリカや東南アジアでは少数ではあるがその他、北米、ヨーロッパ、東アジアなど世界の隅々にまで就職先を求めている可能性があるとしている。
「北朝鮮の求職者たちは、中国、日本、韓国、東ヨーロッパ、アメリカ在住のテレワーカーと名乗り、裕福な国でフリーランスとして契約しようとしている」とこれらの政府機関は述べている。
「IT技術者たちは、ソフトウェアやモバイルアプリの開発といった特定のITスキルのニーズを利用し、世界中のクライアントからフリーランスの雇用契約を獲得している」と勧告には書かれている。
それによると、他に求められている職種としてはモバイルゲーム開発、グラフィック・アニメーション、デートアプリ開発、暗号通貨プラットフォームの構築などがあるという。
アメリカの政府機関によると、彼らが働いて稼いだ金のほとんどはそのまま北朝鮮政府に流れ、収入の多くは同国の兵器開発計画に使用されるという。
「北朝鮮政府は海外で働く人の賃金から最大90%も天引きし、年間数億ドル(数百億円)の収入を生み出している」と勧告は述べている。
北朝鮮のIT技術者たちの中には、北朝鮮の金正恩政権の厳しい監視のもと、人身売買や強制労働、長時間労働の対象になっているケースもあるという。
この勧告によると、彼らの多くは、雇用主と連絡を取り合うときは身元を隠すために仮想プライベートネットワーク(VPN)を使い、リモート勤務をし、ビデオ通話ではなくテキストメッセージでコミュニケーションを取っているという。また、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類を偽造する場合も多いとしている。
アメリカ政府機関は、求職者が給与の支払いを仮想通貨で要求する、ビデオ通話への参加を拒否する、彼らが記載した住所でノートパソコンなどの仕事道具が受け取れないなど、雇用主が注意すべきいくつかの点を強調した。
同勧告は「アメリカの企業に対し、(北朝鮮の)IT技術者と見られる疑わしい活動は、FBIに報告するよう促している」としている。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)