幸福度の高い働き方はどうすれば手に入る? 北欧のライフスタイルや週休3日制の事例を見てみよう

パンデミックから2年が過ぎ、リモートワークとオフィスへの出社勤務をどういうバランスで採用するか、ジョブ型雇用への移行なども含め、働き方に関する議論はますます切迫性を持つようになった。

もはや自分の親世代と同じ働き方はできない。モデルとなるキャリアが見つからない。そのような状況の中で、自分にとって最適な働き方を模索している読者も多いのではないだろうか。

Business Insider Japanの有料サービス「BI PREMIUM」では、これまで国内外で行われている働き方に関する新しいアプローチや知見を紹介してきた。今回は「幸福度」を中心的なキーワードに据え、「どのような働き方を目指せば幸せを掴むことができるのか?」という問いのヒントになる記事を紹介する。

笑顔が少ない日本人

ロンドン

Jonathan Chng/Unsplash

法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授は、ゴールデンウィークを利用してロンドンに渡った際、あることに気がついたという。それは、ロンドンでは日本に比べて「ビジネスパーソンの笑顔が多く見られる」ということだった。

田中教授が指摘するように、この違いは米調査会社のギャラップ社がまとめ、国連が毎年発表する「世界幸福度調査」にも裏付けられている。

世界幸福度調査

(出所)World Happiness Report/worldhappiness.reportをもとに編集部作成。

このレポートは、156カ国の人々に0〜10までの数字で幸福度を回答してもらい、6つの項目(1.一人当たりのGDP、2.社会保障制度などの社会的支援、3.健康寿命、4.人生の自由度、5.他者への寛容さ、6.国への信頼度)を加味してランクづけしたものだ。

例年日本人の幸福度の低さが話題になるが、2022年もまたランキング54位という低さを記録している。なお、2022年の結果は2019年から2021年の結果を平均化したものだ。

この幸福度の低さをキャリアの側面から解決する方法として、田中教授は「キャリアオーナーシップ」という概念を紹介する。「組織にキャリアを預けるのではなく、私たち一人ひとりがキャリアのオーナー(所有者)になる」ことこそが重要なのだ。

北欧人はなぜ幸福度が高いのか

ファニー・アバーグ(左)とマーカス・ホンカネン。

スウェーデンでエグゼクティブ人材紹介会社「Nordic Minds」を経営するファニー・アバーグ(左)とマーカス・ホンカネン。

Nordic Minds

田中教授の記事でも取り上げられていた「世界幸福度調査」のランキングで例年上位を占めるのが、北欧5カ国(フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランド)だ。そのような高い幸福度を下支えする働き方とはどのようなものなのだろうか。

フィンランド出身で、現在はスウェーデンを中心に展開するエグゼクティブ人材紹介会社「Nordic Minds」の経営者2人に取材したところ、北欧のライフスタイルには「家族優先」「年功序列ではなく、フラットな職場」という特徴があるという。例えばスウェーデンでは出社の義務がそもそもなかったり、管理職と一般社員の間に給与で大きな開きがなかったりもする。

さらに興味深いのは、そのようなライフスタイルは単に北欧の人々の「意識」「文化」といったものだけで実現されている訳ではない、という点だ。

北欧の「幸福な働き方」を下支えしているものとして、この記事では社会保障制度が挙げられている。例えば、全国民を対象とした健康保険、育児保険、障害保険、年金保険、労働災害保険は、プライベート重視の働き方をしていても、最低限度の生活水準を維持することを可能にしている。

そうした充実したセーフティーネットがあるからこそ、北欧の人たちはより幅広い選択肢の中から自分らしい生き方を選ぶことができるのかもしれない。

「週休3日」は社員を幸福にするか

北欧のようなプライベートを重視するライフスタイルは、日本に住んでいる人から見ると理想的に見えるかもしれない。だが、今の私たちの社会が北欧モデルにいきなりシフトすることは、「意識」「文化」の点でも「社会制度」の点でも困難だろう。

そこで次は、長時間労働かつ徹底的な成果主義をとるアメリカ・シリコンバレーで、ある企業が行った実験的取り組みを紹介したい。

サンフランシスコに本社を置くテック系スタートアップ企業のBoltは、2021年夏、全面的な週休3日制度導入を打ち出した。従業員数百人を抱える企業がこのような方針をとった背景には、従業員の「燃え尽き症候群」の問題があった。

InsiderはBoltの従業員たちに取材を重ね、週休3日制度導入からその後の従業員たちの意識の変化までを追った。

サポート・ディレクターのキンシー・クラーク

サポート・ディレクターのキンシー・クラークは、金曜日に何時間か休日出勤をし、残りの時間を家族との時間に充てている。

Jason Henry for Insider

ただでさえ毎日会議でびっしりなのに金曜日が休みになったらどうなってしまうのかと戸惑う者、金曜日にもつい気になってSlackを覗いてしまう者など、制度導入当初は従業員たちも試行錯誤の連続だった。なかでも顧客を相手にする部門にとっては、金曜日を休日にすることの負担は相当なものだったという。

それでも週休3日制度が実現できたのは、「どのようなコストを払ってもこの制度を確立させる」という同社トップの強い意志があったからだ。

エンジニアのヤン

エンジニアのヤンは、金曜日は洗濯をしたりマラソンの練習をしたりと一人で過ごすことが多い。

Jason Henry for Insider

Boltの事例において重要な点は2つある。一つは、週休3日にしたことで事業に支障をきたすことはなかったということ。もう一つは、週休3日を導入したことで実際に社員の「幸福度」が向上したことが数字でも裏付けられた点だ。

「社員の幸福度」と「業績」がトレードオフではないということは、キャリアを考える上でも、企業文化・制度を考える上でも重要なことではないだろうか。

パーパスを見つけよう

ここまでは企業文化や社会制度・企業の制度の変化によって「幸福度」を高めるヒントになる記事を紹介してきたが、最後に、私たち一人ひとりが今日から実行できる「幸福なキャリア」の作り方を解説した記事を紹介したい。

カリスマ転職エージェントとして知られる森本千賀子さんは、「自分にとってのパーパス」を見つけ、それを基準にキャリアを組み立てることの重要性を強調する。「パーパス(ライフワーク)」とは、人生の中でモチベーションの源泉となる「何か」を指す。

この記事では、そのようなパーパスの見つけ方が解説されており、「これなら自分もできるかも」と思えるようなノウハウがたくさん紹介されている。

パーパスを見つける上で重要なのは、自分を知り、人とつながることだと森本さんは言う。自分自身の軸を定め、何を求めているのかを明確化した上で、今回紹介した他の記事を改めて読み直してみると、また新たな発見があるかもしれない。


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