注目される男性育休だが、課題も少なくない。
撮影:今村拓馬
2022年4月から改正育児休業法が改正され、注目されている男性育休。
その男性育休をめぐって、上司と部下のギャップが浮き彫りになるアンケート結果が発表された。
上司の理想は「1カ月以下」が6割超え
上司と部下が理想とする育休期間にはギャップがある。
出典:サイボウズ チームワーク総研
サイボーズチームワーク総研が4月に実施したインターネットによるアンケート調査(部下に男性正社員をもつ上司ら2000人と、男性育休を取得意向のある1000人の社員らが回答)では、「理想的な男性育休の取得期間」を調査した。
アンケートの結果、上司側が考える理想の育休期間として最も多かったのが「1週間未満」で20.8%、続いて「1週間から2週間」と「2週間から1カ月」がともに18.6%だった。
「半年から1年未満」という長期の男性育休を理想とした上司も16.1%いたものの、1カ月未満を理想とする上司の合計は58%に上った。
部下側は「半年以上」希望が3割超え
一方で、部下側(男性育休の取得を希望する側)が理想とする男性育休の期間は「半年から1年未満」が最多の33.8%、次に多かったのは「1カ月から3カ月未満」で22.8%だった。
「1カ月未満」の育休を理想とした人の合計は30.4%で、上司側よりも30ポイント近く低い結果だった。
また現実的な育休期間については、理想との間に差を感じていることも分かった。
現実的な期間を聞くと、上司と部下の差は小さくなる。
出典:サイボウズ チームワーク総研
希望する期間として最多だった「半年から1年未満」について、部下側が「現実的な期間」だと回答したのはわずか8.3%。逆に部下側の希望が最も少なく5%だけだった「1週間未満」においては、「現実的な期間」と回答した部下側は36.9%におよんだ。
通知が義務化されたものの課題山積
男性育休をめぐっては、2022年4月から改正育児・介護休業法が段階的に施行されており、配偶者が妊娠した場合、企業は育休対象者に制度の周知と、取得の意向を確認することが義務化された。
また2022年10月からは、産後8週間以内に取得できる「産後パパ育休」が使えるようになるほか、2023年からは大企業を対象に育休取得率の公表が義務付けられる。
法的な追い風もあり、大企業を中心に男性育休の取得率が伸びている。しかしアンケートからも分かるように、実際には取得のための環境整備や上司側の意識改革が整っていないことに加え、育休から復帰後の支援についても課題が指摘されている。
(文・横山耕太郎)
編集部より:「1週間未満」を現実的な取得期間と回答したのは、上司側ではなく、部下側でした。訂正します。2022年5月20日16:10