M-TAC社製のフリースを着て記者会見を行うウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領。
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- ウクライナのゼレンスキー大統領が着ていたM-TAC社製のフリースジャケットを購入したいと思う人が増えている。
- このジャケットの在庫は、この軍事侵攻が終わるまで補充されそうにないとはM-TAC社のマネージャーはInsiderに語っている。
- ゼレンスキー大統領の来ていた1着は、ロンドンで行われたウクライナ支援活動の資金調達イベントで9万ポンドでオークションにかけられた。
ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が法外な価格のデザイナーズブランドの服を着用する一方で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「普通」の人が買い物をする場所で服を購入しているとタラス・ルドニツキー(Taras Rudnytskyi)は言う。
ウクライナ人のタラス・ルドニツキーは、M-TAC社のアメリカ事業を運営するマネージャーだ。M-TACはウクライナのゼレンスキー大統領が着ているオリーブグリーンのフリースのパーカーを製造している。
ウクライナへのロシアの侵攻が始まって以来、同社製のジップアップジャケットの人気が高まり、世界中の人々から購入したいという問い合わせがあるとルドニツキーはInsiderに語った。
「(このフリースの)需要は非常に高い」
このフリースジャケットはすべてウクライナで生産されているが、紛争開始後は同社がウクライナ軍向けに特化した製品の生産に注力したため、すぐに在庫切れとなってしまった。
「我々は、いつの日か、おそらく勝利の後に、それを補充したいと思っている」とルドニツキーは述べた。さらに戦争が原因で、あらゆる種類の商品の生産を続けることが困難になっていると付け加えた。
「現時点で生産は不可能だ」
2022年4月に行われたアメリカのナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長との会談の際にも、ゼレンスキー大統領がM-TAC社製のフリースを着ている姿が見られた。また、ウクライナをはじめとする世界に向けてテレビ演説を行う際にも、このフリースジャケットは頻繁に登場している。
2022年4月下旬にウクライナの首都キーウを訪問したアメリカのナンシー・ペロシ下院議長と会見した際も、ゼレンスキー大統領はこのジャケットを着ていた。
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ロシア侵攻の際のゼレンスキー大統領のリーダーシップは、ウクライナ人からも国際的な支援者からも賞賛を浴びている。
「ゼレンスキーはいまやロックスターのような存在だ」とルドニツキーは、なぜ人々が彼の服を着たいのか、このフリースが欲しいという要望が多いのかという理由を説明した。
ロンドンのウクライナ大使館が主催した2022年5月5日のチャリティ募金会では、ゼレンスキー大統領がサインしたM-TAC社製ジャケットの1着が、9万ポンド(約1440万円)で出品された。
イギリスのボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相はチャリティの参加者たちに、収益がウクライナの戦争救済活動に寄付されるこのアイテムを高額で入札するよう参加者たちに促した。
ロシアの侵攻が始まって以来、M-TAC社製の他の商品に対するウクライナでの需要も高まっている。同社の製品は実用的で機能的であるため、ウクライナ軍も顧客になっているとルドニツキーは話している。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)