米経済誌『フォーチュン』は2022年版の全米企業総収入ランキング「フォーチュン500」を発表した。
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米経済誌『フォーチュン(Fortune)』が年1回発表する全米企業の総収入ランキング「フォーチュン500」の2022年版(2021年の通年業績が対象)が公開された。
首位は10年連続でウォルマート(Walmart)、売上高は5727億ドル(約74兆4500億円、前年比2.4%増)だった。
4698億ドル(約61兆700億円、同21.7%増)のアマゾン(Amazon)が第2位、3658億ドル(約47兆5500億円、同33.3%)のアップル(Apple)が第3位と続いた。
トップ500社の合計売上高は16.1兆ドル(約2000兆円)、アメリカの国内総生産(23兆ドル、米商務省経済分析局による推計)のおよそ3分の2を占めた。時価総額の合計は37兆ドル(約4800兆円)、グローバルの合計従業員数は2970万人だった。
また、女性が最高経営責任者(CEO)を務める企業は500社中44社で、同誌によれば過去最多となった。
女性CEO企業の最高位はカレン・リンチ率いるドラッグストア大手CVSヘルス(CVS Health)で、アップルに続く第4位だった。売上高は前年比8.7%増の2921億ドル(約37兆9700億円)。
なお、2760億ドル(約35兆8800億円、同11.8%増)で第5位にランクインした医療保険のユナイテッドヘルス・グループ(UnitedHealth Group)まで、上位5社のランキングは前年から変動がなかった。
「フォーチュン500」2022年版のトップ10社ランキング。本文では特筆していないが、グーグル親会社のアルファベット(Alphabet)は1ランクアップの8位だった。
Screenshot of Fortune website
以下、ランキングの注目ポイントを挙げておこう。
1.エネルギー企業の復権
目立った動きとしては、資源高を追い風に売上高を大きく伸ばしたエネルギー企業の躍進が挙げられる。
エクソンモービル(Exxon Mobil)の売上高は前年比57.4%増の2856億ドル(以下、円換算省略)、4ランクアップの6位。
シェブロン(Chevron)は同71.6%増の1624億ドルで、11ランクアップの16位。
マラソン・ペトロリアム(Marathon Petroleum)が同58.5%増の1410億ドルで、13ランクアップの19位。
コノコフィリップス(ConocoPhillips)が同151.1%の483億ドル、79ランクアップの77位など、上位に食い込んだ。
2.新型コロナワクチン開発
新型コロナワクチンの開発に成功した製薬会社も大きく売上高を伸ばした。
独ビオンテックとの共同開発でいち早く緊急使用許可の認可を受けたファイザー(Pfizer)は812億ドルで前年比94%増、34ランクアップの43位。
ファイザー・ビオンテック連合とワクチン実用化競争を繰り広げたモデルナ(Moderna)も195位で初のトップ500社入り。売上高は184億ドルで、クレジットカード大手のマスターカード(売上高188億ドル)や半導体大手テキサス・インスツルメンツ(同183億ドル)と肩を並べた。
3.テクノロジー分野の注目株
Business Insiderのグローバルスタッフが取材を重ねてきたテクノロジー企業の成長ぶりも際立った。
イーロン・マスク率いる電気自動車大手テスラ(Tesla)は、中国・上海ギガファクトリーでの生産を軌道に乗せ、35ランクアップの65位に。売上高は前年比70.7%増の538億ドルだった。
ツイッター前CEOのジャック・ドーシー率いるフィンテック企業ブロック(Block、旧スクエア)も115ランクアップの208位に大躍進を遂げた。売上高は前年比86%増の176億ドル。
ポストパンデミックの経済再開とフードデリバリー事業の急成長を追い風に業績回復を続ける配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)は71ランクアップの210位、売上高は前年比56.7%増の174億ドル。
また、暗号資産(仮想通貨)ビジネスを展開する企業として初めて、仮想通貨取引所のコインベース(Coinbase Global)が437位にランクイン。売上高は前年比513.7%の78億ドルだった。
4.トップ500社の本拠地
トップ500社の本拠地を州別に見ると、最多はテキサス州の53社。ニューヨーク州は51社で2位、前年までの首位の座を明け渡した。3位はシリコンバレーを抱えるカリフォルニア州の50社。
都市別で見ると、ニューヨークが43社と他を圧倒し、ヒューストン(21社)、アトランタ(15社)、シカゴ(14社)、ダラス(11社)が続いた。
(文:川村力)