新型コロナ対策で車を消毒する郵便局の従業員(2022年5月22日、平壌)。
KCNA via REUTERS
- 北朝鮮は妊婦を他の新型コロナウイルスへの感染が疑われる発熱者と同じように扱い、隔離しているとラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
- 妊婦には1日2錠の鎮痛剤が与えられているだけだと、北朝鮮の住民2人がRFAに語った。
- 十分な治療が受けられないことで死産につながり、住民は憤慨しているという。
北朝鮮では、新型コロナウイルスへの感染が疑われる妊婦が仮設施設で適切な治療を受けることもなく、強制的に隔離され、多くの死産につながっていると、ラジオ・フリー・アジア(RFA)が現地の住民2人の証言をもとに報じた。
平安南道では隔離された妊婦が受けられる医療は1日2錠の鎮痛剤だけで、これは北朝鮮の全ての新型コロナウイルスへの感染が疑われる発熱者に与えられるものと同じだと、住民2人がRFAに語った。
当局は急遽、隔離施設に作り変えた倉庫や共同農場、工場、ホテルに、新型コロナウイルスへの感染が疑われる多くの妊婦を収容しているという。
安州市で暮らす女性は、200人が収容されているホテルで2件の死産があり、このうち1件は医師が出産を手伝っていたとRFAに話している。
女性によると、当局は死児に対処する以上の医療を母親に提供することはなく、高熱や産後うつの症状を訴えようと、それは変わらないという。
「COVID-19の症状から回復したら、子どもを失い嘆き悲しむ母親は施設の外へ出すだけだという当局に対し、家族は憤慨しています」と女性はRFAに話している。
北朝鮮は5月12日、COVID-19の初めての感染者の存在を認めた。パンデミックが始まって以来、北朝鮮は「感染者はゼロ」と主張し続けていた。
新型コロナウイルスの検査キットが著しく不足しているため、こうした"発熱者"が高熱を伴うちょっとした体調不良以上のものなのかどうか、金正恩体制が見分けることは難しいが、その後、北朝鮮の感染者数は200万人を超えたと考えられている。
さまざまな問題を抱えた北朝鮮は、感染拡大をなかなか食い止められずにいる。住民には"治療"として、塩水でのうがいやヤナギバのお茶を飲むよう指示している。金正恩総書記は最近開かれた党の会合で、政府の対応を「やる気がない、怠慢、遅い」などと批判し、責任者を激しく非難したと国営メディアは5月18日に伝えた。
(翻訳、編集:山口佳美)