ボルボ XC40 リチャージ。
Volvo
- 電気自動車は、ガソリン車よりも車両価格がかなり高い。
- しかし、ある調査に寄ると、月々のローン支払いにメンテナンス代、保険料、燃料費など加えると電気自動車の方が維持費は少なくなることが多いという。
- F-150ライトニング・プロは、ガソリン車よりも月々のコストが低いという調査結果が出ている。
電気自動車の価格を見れば、その購入を敬遠してしまう人は少なくないが、決してそれを責めることはできない。なぜならアメリカで最も安いガソリン車は約1万5000ドル(約190万円)だが、最も安価な電気自動車でもおよそ2倍の価格なのだから。
しかし、最近の調査によれば、店頭価格を比較している消費者はまったく違ったことを考えているという。彼らは月々の支払いについて考えているはずだ。というのも、自分たちの車をローンで購入する人が圧倒的に多いからだ。
エネルギー・気候政策シンクタンクのエナジー・イノベーション・アンド・テクノロジーLLC(Energy Innovation and Technology LLC:EIT)の報告書によると、一括で支払う車両価格のことを考えるのをやめ、燃料の節約、メンテナンス費、電気自動車購入のための補助金などを考慮に入れた月々のコストに目を向けると、電気自動車を購入した方が同等のガソリン車を購入するよりもはるかに経済的に見えてくるという。
これまでの研究では、電気自動車の高い初期費用は、将来的に見れば、より安い燃料費や維持費となるため、我慢する価値があるだろうとされてきた。しかし、EITのレポートでは、アメリカのほとんどの州で、電気自動車を所有する方が同様のガソリン車を所有するよりも、すでに初日からコストは安くすむと判断している。
研究者たちは、ヒョンデのコナ・エレクトリックSEL(Hyundai Kona Electric SEL)とコナ・エレクトリック・リミテッド(Kona Electric Limited)、フォードのF-150 ライトニング・プロ(Ford F-150 Lightning Pro)、キアのニーロ EV EX プレミアム(Kia Niro EV EX Premium)、ボルボの XC40 リチャージ・プラス(Volvo XC40 Recharge Plus)、日産リーフの6つの電気自動車を調査し、各モデルを同ブランドの同等のガソリン車と比較した。
EITは、車両のローンの支払い、メンテナンス費、ガソリン・電気代、保険料、その他の税金や手数料などローン期間中の各車両を所有するために必要な月々の費用を算出している。研究者たちはクリーンカー購入に対する7500ドル(約95万円)の税控除や州独自の制度、州ごとのエネルギーコストを計算し、全米50州のコストをモデル化した。
コナ・エレクトリックSELとF-150ライトニング・プロの車両価格はガソリン車より1万ドル(約127万円)高かったにもかかわらず、どの州でも月々の所有コストは安くなった。それぞれの年間節約額は800ドル(約10万円)と1400ドル(約17万7000円)だった。ボルボXC40リチャージ・プラス、日産リーフ、コナ・エレクトリック・リミテッドの3モデルは、全米の約半数の州で月々のコストが安くなった。価格が高い州でも15ドル(約1900円)以下の差であることが多かったという。
同調査によると、電気自動車に優しい州はいくつかある。カリフォルニア州、コロラド州、デラウェア州、ニュージャージー州、オレゴン州、およびワシントン州だ。
電気自動車はガソリン車よりも効率がよく、メンテナンスも少なくて済むため、所有者がローンを完済すれば、節約効果はさらに高まる。報告書によると、支払いが完了すると、調査対象となった各電気自動車は、ガソリン車と比較して、年間のコストは1500ドル(約19万円)から3000ドル(約38万円)も安くなるという。
EITは、連邦政府による電気自動車の税額控除を1万ドル(約127万円)に引き上げることで、アメリカの大半の地域で電気自動車はより経済的な選択肢となると述べている。
この報告書は、耐用年数を通じて見れば、ガソリン車よりも電気自動車の方が安価であることを示す研究が増えていることを補完するものだ。しかし、今すぐ購入できる車を見つけるのは難しい。サプライチェーンの問題と大きな需要増で、市場の電気自動車の数は十分ではないからだ。
[原文:Why electric cars cost less to own each month than gas cars even though they're way more expensive]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)