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- 調査会社のネッド・デイビス・リサーチによると、株価は底を打って上昇に転じるまでに、いくつかのプロセスを踏むという。
- 同社は、株価が底を打つのに必要な「4段階のプロセス」について紹介している。
- ここ最近の株価は、投資家が極めて弱気であることから、散発的な持ち直しの後に最終的に売りに動くことを繰り返してきた。
株価は、ヘッドフェイク(相場が一旦はセオリー通りに動くと見せかけ、すぐに逆方向に動くこと)を続けており、投資家が市場に対してますます弱気になるにつれて、それまでの最安値を下回る価格をつけている。
このことは、2022年5月23日に上昇を見せたナスダック100が、翌24日には3%以上下落したことに表れている。年初来でナスダックは30%近く下落し、S&P500は約18%下落している。
株価の下落時に投資を行うために、その底値をいかにして見極めるかということは、投資家にとって悩ましい問題だが、ネッド・デイビス・リサーチ(Ned Davis Research:NDR)は、そのヒントとなる4段階のプロセスを紹介している。
「金融市場は先を見ているので、下降トレンドから上昇トレンドに転じたことを最初に知らせるシグナルは、チャートの動きやテクニカル指標である可能性が高い」とNDRは述べている。市場では通常、以下に示す4段階を経て持続的な底値を確立し、株価が上昇に転じていくという。
1. 売られすぎ
「第1段階では、売られすぎの水準まで株価が下落することだ。いくつかの客観的な指標にそれが表れてくるだろう」とNDRは述べ、S&P500が7週連続で下落しており、これは1970年と2001年の続落記録に続くものだと強調した。
「売りは執拗に続いている」
2. 反転上昇
「サイクルはそれぞれ異なるが、ある時点で売り手が疲弊すると、相場は数週間上昇する」とNDRは述べ、現在の相場が経験している「滝のような下落」の後の上昇期間は中央値で25日で、14%の利益を上げると強調している。
「重要なのは、短期の移動平均線を上回る銘柄の増加や出来高の増加など、上昇傾向の拡大をよく観察することだ」
3. 安値を試す展開
「『滝のような下落』の後には、(反発が持続するかを確認するために)再び安値を試す展開になることが多い」とNDRは述べたが、一方で2018年と2020年の下落の際にはそのような展開にならなかったと指摘している。
「我々は安値を試す動きに注目しているが、今回はこの第3段階がスキップされる可能性もあると考えている」
「試す動きが成功したとしても、必ずしも価格が『滝のような下落』よりも高い水準になるわけではない。これまで12回の安値を試す展開があったが、そうなったのは3回だけだった。むしろ、安値を更新したセクターや銘柄が少ないこと、出来高や下幅が少ないことなど、ポジティブなダイバージェンス(逆行現象)に注目しよう」
4. ブレドス・スラスト
「持続的な上昇トレンドの初期には、多くの銘柄が一斉に上昇することがある。そうすれば、一部の業種が失速しても、他の多くの業種が平均価格を支えることができる。このように、上昇する銘柄の割合が極端に多いことを、ブレドス・スラスト(breadth thrust)と呼ぶ」とNDRは述べている。
「つまり、現在の市場は第1段階(売られすぎ)を達成し、第2段階(相場の上昇)を試みているところだ。第4段階(ブレドス・スラスト)に移行できるようになるまでは、(底入れ)プロセスは進行中と見ている」とNDRは結論づけた。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)