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アメリカの貧富の差は、毎年3000億ドル以上の経済損失を生んでいる…最新研究で明らかに

面接予約のために、再開したばかりの職業センターの外で列をつくる人たち。ケンタッキー州ルイビルで、2021年4月15日撮影。

面接予約のために、再開したばかりの職業センターの外で列をつくる人たち。ケンタッキー州ルイビルで、2021年4月15日撮影。

Amira Karaoud/Reuters

  • アメリカの貧富の差は、経済成長を妨げている。経済政策研究所は、最新報告書の中でそう結論付けている。
  • 1979年以降、所得シェアを拡大しているのは、上位10%の高所得者層だけだ。
  • そうした格差が全体的な消費を低迷させ、年間およそ3090億ドル(約39兆2840億円)の経済成長の損失につながっている。

アメリカにおける途方もない貧富の差を解消すれば、経済成長を大きく促進できる。そんな最新研究報告書を、独立系シンクタンクの経済政策研究所(EPI:the Economic Policy Institute)が発表した。

所得格差は、50年近くにわたってアメリカ経済を苦しめている。この現象が最初に現れたのは、1970年代のことだ。当時、物価の高騰により世帯の購買力が損なわれ、アメリカは低成長と物価上昇の時代に引きずりこまれた。貧富の差の急拡大は2000年代初めに減速したものの、以来、反転する兆しは見えない。

そうした格差により、総需要の成長が弱まり、2018年末まで毎年GDPの1.5%(およそ3090億ドル)ほどが目減りした。EPIのエコノミスト、ジョシュ・ビヴェンズ(Josh Bivens)とアシャ・バナジー(Asha Banerjee)は、2022年5月24日に公開された報告書の中でそう述べている。

低所得世帯にとって「出費せざるを得ない金」が、貯蓄の余裕がある最富裕層へ再分配された結果になり、その過程で消費全体が減速し、経済成長の燃料が少なくなったという。

言い換えれば、経済の足を引っぱる所得格差の影響を打ち消したいのなら、政府は、「うまく構成された」刺激策に毎年およそ3000億ドル(約38兆1400億円)を費やす必要があると報告者は指摘している。

消費が冷え込む理由は、限界消費性向(MPC)と呼ばれる経済指標に関係している。この指標は、所得の増加分のうち、消費者が、貯蓄ではなく消費に回す部分の割合を示すものだ。

低所得者では、余裕がなくてまだ買えていないモノがあるケースが多いことから、MPCが高くなる傾向がある。つまり、昇給したら、その収入の大部分を消費に回すということだ。それに対して、すでに日々の必需品や欲求のほとんどを満たすだけの金がある富裕層は、増収のほとんどを貯蓄に回し、預金口座や金融資産にためこむのが一般的だ。

そうした不均衡が需要低下の裏にある、とEPIの経済学者らは指摘している。同研究によれば、上位10%の高所得者の所得シェアは1979年から増加しているいっぽうで、それ以外の層のシェアは減少しているという。

同時に、上位1%の高所得者は、所得のうち貯蓄に回す部分の割合が他の人々よりも大きい。そのため、「消費に回す可能性が最も高い層」へ行く金が減り、それが全体的な消費を押し下げ、経済成長を妨げているというわけだ。

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